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第一章 召喚、とやらをされたらしくて
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家に着くとコイツは俺を椅子に座らせてお茶を出してきた。
俺の向かいに座るとにっこり笑って口を開く。
「さて、何から話そうか?」
「ここはどこで何のために俺がこんなところに来る羽目になったのか、俺はこれからどうなるのか、元の世界に戻れるのか、から教えろ」
「随分たくさん聞くねぇ?」
「おい。勘違いするなよ?質問したいことはまだ山ほどあるんだからな」
「はいはい。分かっているよ。最初の質問は……ここはどこ、だっけ?ここはねぇ……聖なる庭さ」
「ホーリィーガーデン?」
「そう。人間界と天界の間にある世界だよ。人間界の言葉で言うと……魔法使いの国ってところかな。まぁ、人間型だけじゃなく獣人型、妖精型、巨人型、小人型と色々な種族がいるよ。もっと言うとその中でさらに魔族も紛れている。魔族は人間界の言葉で言うと悪人、かな。奴らに会ったらとにかく聞く耳を持ってはいけないよ。餌食にされるか体を乗っ取られてしまうからね」
「はぁ……」
いや、そんな説明されても俺はここに留まる気はこれっぽっちもないんだって!
そんなことを思いながらもとりあえず相づちだけは返した。
「次は~……あぁ、何のために君がここに来る羽目になったのか、だね。それはね?君は覚えてないかもしれないけれど……大事故に巻き込まれた君たち家族を助けたときにご両親と約束したんだ。君が人間界で言う高校生になるくらいに私が君を預かるって」
「はぁぁぁぁあっ!?」
そんな話聞いたことねぇよっ!!
いや、確かに俺が小さい頃に家族全員が大事故に遭った話は聞いたことあるけど……
俺たちが助かったのがコイツのお陰ってことなのか!?
命の恩人がいるなんて話聞いたことねぇよ!?
あの大事故は死なないどころか無傷なのが奇跡と言われたくらいで……
俺が困惑しているとクスクス笑う声がして睨み付けるように声の主を見る。
「いやぁ~……ごめんごめん。今の嘘。君がここに来る羽目になったのは私の気紛れだよ。なんとな~く、誰かを召喚したくなって召喚してみたら君が来ただけの話。そんな考え込むなんてちっとも思わなかったから驚いちゃったよ」
言い終わってもまだクスクスと笑っていやがるコイツをどうしてくれようかと思っているとふとした疑問が頭をよぎる。
何で、コイツ、俺が大事故に遭ったことを知ってるんだ……?
コイツの真意が図れずにじっと顔を見ていると不意に笑い声が止んだ。
「さて、話の続きをしようか。君はこれからどうなるのかってことだけど……その前に君はもう元の世界に戻れるのかと言う質問の答えを先に言っておくね。戻れなくはないよ。方法が一つだけある」
「その方法ってのは!?」
俺が身を乗り出して聞くと困った顔で笑いながら口を開いた。
「それはね?この世界で魔法を身に付けることだ。空が飛べるだけではダメだよ。召喚術や魔導の基本を身に付けるんだ。一番良いのは転送術も覚えることだね。それと、転送術を扱える友達を作ること。一人じゃダメだ。なるべくたくさん作ると良い。ただし……」
「ただし……?」
「元の世界に戻ると言うことはこの世界で紡いできた絆を断ち切ると言うこと。当然、こちらの世界と元の世界の時間の流れは違う。もし、戻って知り合いが誰もいなかった場合、君は天涯孤独になると言うことをしっかり肝に命じておくように」
さっきまでの半分ふざけたような言い方とは違い真剣な表情と声のトーンに思わず俺はビクッと肩を揺らす。
それを見た奴は柔らかく微笑むと口を開いた。
「と言う訳だから、君がこれからどうなるのかって言う質問にはここで暮らすしかないと答えるね!まぁ、選ぶのはシンヤ、君だ。君がここで学ぶと言うのなら私は精一杯協力をするよ!君がここにいる気がないと言うのならすぐにでも追い出そう!あぁ、でも、その場合は野宿を覚悟した方が良いね。魔法のことを何も知らない君が野宿だなんて魔族にはさぞ絶好の獲物だ。しかも、君みたいな黒髪黒眼の短髪少年はこの世界では最弱も同然だから一人で生きていく方がよっぽど大変だね!でも、それも君が選んだ道ならしょうがない。私は見送ることにするよ」
「ち、ちょっと待て!!」
今、コイツ、サラッと脅したぞ!?
魔族には関わるなって説明をしていたくせにここにいないなら魔族に殺させろみたいな言い方だったよな!?
コイツ、選択肢を与えてるようで全然選択肢がない!!
何が選ぶのは君だ、だ!
ここにいる以外を選んだら俺の残された道は死しかねぇよ!!
ギロッと睨み付けてやると奴は肩をすくめて口を開く。
「まぁ、要するにシンヤにはここにいて欲しい、と言うことだよ。私は一目見てシンヤを気に入った。私が召喚した以上、責任をもってシンヤを守るよ。あと、自慢じゃないけど私は過去にシンヤ以外の子たちも召喚したんだけど……みんな姿形が変わってしまったんだよねぇ」
おいっ!!
安心出来る要素が一つもねぇぞ!!
最初の方はちょっと良い奴かも……とか思ってた俺の気持ちを返せ!!
「あのなぁっ!勝手に召喚とやらをしといて責任も何にもねぇじゃねぇか!過去に召喚された奴は全員死んだってことか!?」
「……ちゃんとこの世界で生きているよ。でも、元の世界に二度と戻れなくなってしまった。そう言う意味さ」
「なっ……!?」
そんな奴を信用出来ると思ってるのか!?
だけど、コイツ以外頼れそうな奴はいない。
でも、もしコイツの傍にいて俺も二度と元の世界に帰れなくなったら?
もしそうなったら、元の世界に母さんは一人きりだ。
俺が帰らなくちゃ、一緒に、傍にいてあげなくちゃ母さんが泣く。
父さんが死んだときも母さんは何かを思い出したかのように毎晩一人で泣いていた。
そんな母さんに俺は言ったんだ。
俺が父さんの分も母さんを守るからって。
なのにこんな目にあって……
帰れる見込みもなくて……
今頃、母さんはどうしてるんだろう。
時間の流れが違うって言ってたな……
口振りからしてこっちの世界の方が元の世界に比べて時間の流れが遅いんだろう。
なら、今頃母さんは俺を探し回ってるかもしれない。
泣きながら俺の名前を叫んで……
そう思うと胸が苦しくなる。
俺が俯きながら悩んでいると突然ポカッ!と言う音とほぼ同時にあいたっ!と言う声が聞こえて顔を上げた。
そこには緑色でポニーテールをしている小さいテ○ンカー○ルがいた。
「カナのバカ!余計なことは言わなくて良いのよ!」
「え~、でも、エアロちゃん。隠し事はいけないと思うんだよ。私を信じてもらうには全て話しておかないと。知らない誰かにあることないこと言われるよりは自分で話した方が良いでしょ?」
「エアロ!?」
こんなチビが竜巻の正体?
あんなでっかくなったのに?
驚いているとエアロと呼ばれたチビは俺の方を向き偉そうに口を開く。
「ちょっと!アンタ、失礼なこと考えてるんじゃないでしょうね!」
「い、いや、そんなことは……」
「嘘仰い!顔に書いてあるわよ!こんなチビが俺を運んだ正体?って!失礼しちゃうわ。精霊なんて親指から人差し指くらいの大きさが普通なのよ!それにアンタの元いた世界じゃアタシたち精霊は認識すらされないんだからむしろ正体が見れて感激しなさい!」
な、何だこのチビ!
黙って聞いてれば偉そうに!
「こらこら、エアロちゃん。偉そうにしないの。シンヤが怒って出ていってしまったらどうするの?」
「うっ……ご、ごめん、カナ」
「ううん、良いんだよ。私のフォローをするために出てきてくれたんでしょ?ありがとう」
人差し指でチビの頭を撫でる奴の目は優しくて。
まぁ、信じてやってもいいかなと思った瞬間、奴が口を開いたので驚く。
「紹介するね。この子が風を操る精霊のエアロちゃんだよ。少し口が悪いけど根はとっても優しくて良い子なんだ。他にも後三人精霊がいるんだけど……どこかに隠れているみたいだね。また後で紹介するよ」
「そ、そうか……」
後三人もこんなのがいるのか……
少し不安になりながら心の中でため息を吐く。
本当にここで生活する以外手っ取り早く元の世界に戻る方法はなさそうだ。
あまり頼りにならなそうな奴だがいないよりかはいい。
お前の言う通りにしてやるよと口を開こうとしたら先に声をかけられてまた驚く。
「そうだ!家の周りと中を見てみる?絶対シンヤも気に入ると思うよ!」
「えっ!?い、いや、俺は……」
「エアロちゃん、案内してくれる?私はちょっと準備をしてくるから!」
そう言うと家を飛び出していってエアロと二人で残されたと思ったらすぐ戻ってきて写真を撮るのを忘れていた!と言っていきなりパシャッと俺の写真を勝手に撮り今度こそ家を出ていった――――
俺の向かいに座るとにっこり笑って口を開く。
「さて、何から話そうか?」
「ここはどこで何のために俺がこんなところに来る羽目になったのか、俺はこれからどうなるのか、元の世界に戻れるのか、から教えろ」
「随分たくさん聞くねぇ?」
「おい。勘違いするなよ?質問したいことはまだ山ほどあるんだからな」
「はいはい。分かっているよ。最初の質問は……ここはどこ、だっけ?ここはねぇ……聖なる庭さ」
「ホーリィーガーデン?」
「そう。人間界と天界の間にある世界だよ。人間界の言葉で言うと……魔法使いの国ってところかな。まぁ、人間型だけじゃなく獣人型、妖精型、巨人型、小人型と色々な種族がいるよ。もっと言うとその中でさらに魔族も紛れている。魔族は人間界の言葉で言うと悪人、かな。奴らに会ったらとにかく聞く耳を持ってはいけないよ。餌食にされるか体を乗っ取られてしまうからね」
「はぁ……」
いや、そんな説明されても俺はここに留まる気はこれっぽっちもないんだって!
そんなことを思いながらもとりあえず相づちだけは返した。
「次は~……あぁ、何のために君がここに来る羽目になったのか、だね。それはね?君は覚えてないかもしれないけれど……大事故に巻き込まれた君たち家族を助けたときにご両親と約束したんだ。君が人間界で言う高校生になるくらいに私が君を預かるって」
「はぁぁぁぁあっ!?」
そんな話聞いたことねぇよっ!!
いや、確かに俺が小さい頃に家族全員が大事故に遭った話は聞いたことあるけど……
俺たちが助かったのがコイツのお陰ってことなのか!?
命の恩人がいるなんて話聞いたことねぇよ!?
あの大事故は死なないどころか無傷なのが奇跡と言われたくらいで……
俺が困惑しているとクスクス笑う声がして睨み付けるように声の主を見る。
「いやぁ~……ごめんごめん。今の嘘。君がここに来る羽目になったのは私の気紛れだよ。なんとな~く、誰かを召喚したくなって召喚してみたら君が来ただけの話。そんな考え込むなんてちっとも思わなかったから驚いちゃったよ」
言い終わってもまだクスクスと笑っていやがるコイツをどうしてくれようかと思っているとふとした疑問が頭をよぎる。
何で、コイツ、俺が大事故に遭ったことを知ってるんだ……?
コイツの真意が図れずにじっと顔を見ていると不意に笑い声が止んだ。
「さて、話の続きをしようか。君はこれからどうなるのかってことだけど……その前に君はもう元の世界に戻れるのかと言う質問の答えを先に言っておくね。戻れなくはないよ。方法が一つだけある」
「その方法ってのは!?」
俺が身を乗り出して聞くと困った顔で笑いながら口を開いた。
「それはね?この世界で魔法を身に付けることだ。空が飛べるだけではダメだよ。召喚術や魔導の基本を身に付けるんだ。一番良いのは転送術も覚えることだね。それと、転送術を扱える友達を作ること。一人じゃダメだ。なるべくたくさん作ると良い。ただし……」
「ただし……?」
「元の世界に戻ると言うことはこの世界で紡いできた絆を断ち切ると言うこと。当然、こちらの世界と元の世界の時間の流れは違う。もし、戻って知り合いが誰もいなかった場合、君は天涯孤独になると言うことをしっかり肝に命じておくように」
さっきまでの半分ふざけたような言い方とは違い真剣な表情と声のトーンに思わず俺はビクッと肩を揺らす。
それを見た奴は柔らかく微笑むと口を開いた。
「と言う訳だから、君がこれからどうなるのかって言う質問にはここで暮らすしかないと答えるね!まぁ、選ぶのはシンヤ、君だ。君がここで学ぶと言うのなら私は精一杯協力をするよ!君がここにいる気がないと言うのならすぐにでも追い出そう!あぁ、でも、その場合は野宿を覚悟した方が良いね。魔法のことを何も知らない君が野宿だなんて魔族にはさぞ絶好の獲物だ。しかも、君みたいな黒髪黒眼の短髪少年はこの世界では最弱も同然だから一人で生きていく方がよっぽど大変だね!でも、それも君が選んだ道ならしょうがない。私は見送ることにするよ」
「ち、ちょっと待て!!」
今、コイツ、サラッと脅したぞ!?
魔族には関わるなって説明をしていたくせにここにいないなら魔族に殺させろみたいな言い方だったよな!?
コイツ、選択肢を与えてるようで全然選択肢がない!!
何が選ぶのは君だ、だ!
ここにいる以外を選んだら俺の残された道は死しかねぇよ!!
ギロッと睨み付けてやると奴は肩をすくめて口を開く。
「まぁ、要するにシンヤにはここにいて欲しい、と言うことだよ。私は一目見てシンヤを気に入った。私が召喚した以上、責任をもってシンヤを守るよ。あと、自慢じゃないけど私は過去にシンヤ以外の子たちも召喚したんだけど……みんな姿形が変わってしまったんだよねぇ」
おいっ!!
安心出来る要素が一つもねぇぞ!!
最初の方はちょっと良い奴かも……とか思ってた俺の気持ちを返せ!!
「あのなぁっ!勝手に召喚とやらをしといて責任も何にもねぇじゃねぇか!過去に召喚された奴は全員死んだってことか!?」
「……ちゃんとこの世界で生きているよ。でも、元の世界に二度と戻れなくなってしまった。そう言う意味さ」
「なっ……!?」
そんな奴を信用出来ると思ってるのか!?
だけど、コイツ以外頼れそうな奴はいない。
でも、もしコイツの傍にいて俺も二度と元の世界に帰れなくなったら?
もしそうなったら、元の世界に母さんは一人きりだ。
俺が帰らなくちゃ、一緒に、傍にいてあげなくちゃ母さんが泣く。
父さんが死んだときも母さんは何かを思い出したかのように毎晩一人で泣いていた。
そんな母さんに俺は言ったんだ。
俺が父さんの分も母さんを守るからって。
なのにこんな目にあって……
帰れる見込みもなくて……
今頃、母さんはどうしてるんだろう。
時間の流れが違うって言ってたな……
口振りからしてこっちの世界の方が元の世界に比べて時間の流れが遅いんだろう。
なら、今頃母さんは俺を探し回ってるかもしれない。
泣きながら俺の名前を叫んで……
そう思うと胸が苦しくなる。
俺が俯きながら悩んでいると突然ポカッ!と言う音とほぼ同時にあいたっ!と言う声が聞こえて顔を上げた。
そこには緑色でポニーテールをしている小さいテ○ンカー○ルがいた。
「カナのバカ!余計なことは言わなくて良いのよ!」
「え~、でも、エアロちゃん。隠し事はいけないと思うんだよ。私を信じてもらうには全て話しておかないと。知らない誰かにあることないこと言われるよりは自分で話した方が良いでしょ?」
「エアロ!?」
こんなチビが竜巻の正体?
あんなでっかくなったのに?
驚いているとエアロと呼ばれたチビは俺の方を向き偉そうに口を開く。
「ちょっと!アンタ、失礼なこと考えてるんじゃないでしょうね!」
「い、いや、そんなことは……」
「嘘仰い!顔に書いてあるわよ!こんなチビが俺を運んだ正体?って!失礼しちゃうわ。精霊なんて親指から人差し指くらいの大きさが普通なのよ!それにアンタの元いた世界じゃアタシたち精霊は認識すらされないんだからむしろ正体が見れて感激しなさい!」
な、何だこのチビ!
黙って聞いてれば偉そうに!
「こらこら、エアロちゃん。偉そうにしないの。シンヤが怒って出ていってしまったらどうするの?」
「うっ……ご、ごめん、カナ」
「ううん、良いんだよ。私のフォローをするために出てきてくれたんでしょ?ありがとう」
人差し指でチビの頭を撫でる奴の目は優しくて。
まぁ、信じてやってもいいかなと思った瞬間、奴が口を開いたので驚く。
「紹介するね。この子が風を操る精霊のエアロちゃんだよ。少し口が悪いけど根はとっても優しくて良い子なんだ。他にも後三人精霊がいるんだけど……どこかに隠れているみたいだね。また後で紹介するよ」
「そ、そうか……」
後三人もこんなのがいるのか……
少し不安になりながら心の中でため息を吐く。
本当にここで生活する以外手っ取り早く元の世界に戻る方法はなさそうだ。
あまり頼りにならなそうな奴だがいないよりかはいい。
お前の言う通りにしてやるよと口を開こうとしたら先に声をかけられてまた驚く。
「そうだ!家の周りと中を見てみる?絶対シンヤも気に入ると思うよ!」
「えっ!?い、いや、俺は……」
「エアロちゃん、案内してくれる?私はちょっと準備をしてくるから!」
そう言うと家を飛び出していってエアロと二人で残されたと思ったらすぐ戻ってきて写真を撮るのを忘れていた!と言っていきなりパシャッと俺の写真を勝手に撮り今度こそ家を出ていった――――
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