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Emergency call

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   私はボスの話しとディスプレイの情報を五分で頭に入れると、別のフロアの部屋に向かった。

    任務遂行要員エージェントは情報の漏洩防止の為、情報を紙類や電子記憶媒体などで所持出来ない。一度任務に入れば、頼れるのは自分の肉体と頭脳と技術だけなのだった。

    任務遂行要員エージェントには一人一部屋、任務に必要な装備品、各種銃器や武器類をはじめ変装用の衣類などを収納、準備する部屋が与えられている。

    私は今日の任務に必要かつ適した装備の準備に掛かった。

    情報収集対象の田崎は、今日都内の高級ホテルに泊まる。これまでの調査で、明日人身売買組織の動きが予測されるが、まだ取り引き場所が特定出来ていなかった。

    私は田崎がこのホテルに泊まる際、必ず利用する高級娼婦倶楽部から派遣される高級娼婦コールガールを装って近づくことになっている。

    「高級娼婦コールガール……か、情報ではボディーガードがいるようだし、所持を気付かれず音を立てずに仕事ころしが出来る道具ツール、相手から情報を引き出すのに、油断を誘えそうな服と……」

    必要な装備を準備し、一つ一つ問題がないか確認を始めた。

    任務開始ミッションスタートまで四時間を切ろうとしていた。

    
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