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Honey trap

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    部屋の間取りを頭に入れて、次の情報に目を移す。ここが最も重要だ。

    田崎のボディーガードは一人だ。但し、飽くまで部屋の中には、ということだろう。同じフロアに何人かいても不思議ではない。

    ボディーガードはファングが片付けることになっている。どのタイミングでどの様にかは分からないから、これも万が一の事態を考えなければならない。

    そこまで考えていた時、ドライバーを努めるサポートチームメンバーが「薔薇ローズ9、間もなく到着です」と任務開始ミッションスタートを知らせた。

    私は一つ深く息をくとドアが開かれるのを待った。ホテルのドアマンがおごそかにドアを開ける。私は深々と頭を下げるドアマンの前を、淑女然とした所作でホテルのエントランスを入った。

    ホテルのフロントで部屋の番号と田崎の名前を告げると「田崎様から伺っております」と受け答えをしたフロントマンは、フロント横に控えている若いベルボーイを呼んだ。

    ベルボーイはチラッと見て「ご案内いたします。こちらへどうぞ」と先を行く。エレベーターに乗ると四十三階まで上がり、部屋の前に案内された。高級ホテルだけあり、フロアは静かな落ち着いた空気で満たされている。

    ベルボーイが部屋をノックして「お連れ様がいらっしゃいました」と告げると鍵が空いた。

    中から胸板の厚い、身長百九十センチ近い男が現れた。顔は記憶にある田崎とは違う。
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