ドリーム”R”プロジェクト

千葉みきを

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ここのところ、ほぼ毎日のように、蓮の家でミーティングが行われた。この日もそうであった。

「エンジンは、2JZで決まりだ。あとは、デザイン担当から。」

「デザイン担当の佐藤です。橋本くんのお父様とお話したんですが、トヨタのMR2ベースで作るのはいかがでしょうか。そこから私がデザインして、モデルを中村君にお願いする、というのはどうでしょう」

「MR2か、いいな」

「橋本君は、どんな車に仕上げたいですか?」

「そうだな、せっかくだし空気力学に優れた車がいいな。出来る限り車の空気抵抗を減らし、高速域でも安定して走れるような車」

佐藤は、待っていましたと言わんばかりの表情でこう告げた。

「せっかくなので、グループCカーのようなデザインでいきましょうか?」

「そのほうが見た目は、かっこいいと思うけど、公認が取れるかどうかわからない」

「公認自体は、灯火類や排ガス基準さえクリアしちゃえば通ると思いますよ」

「その辺は親父とも、相談してみる。とりあえず、佐藤、何枚か案をデザインして出してくれないか」

「わかりました」

「あと、中村、お前はなんか意見ないか」

「佐藤と同意見。せっかく作るなら面白い車にしなくちゃね」

俺もこの案には賛成だった。MR2という車は、エンジンを後ろよりの真ん中に配置した、ミッドシップレイアウトという形式が取られている。かつ、後輪を駆動させて、車を走らせる、後輪駆動という形式が取られている。重いエンジンをあえて真ん中付近に搭載することによって、コーナリング性能がより高くなるといった特徴がある。今回の面白いスーパーカーを作るプロジェクトには、一番適当な車といえるだろう。

「蓮、あと問題になるのが、どこまで車を分解するかだよな」

「外装の問題はあるな。カーボンやFRPで車を再構築するってのはどうかな。みんなの意見を聞きたい」

手を上げたのは佐藤だった。

「結局、私が今考えているのは、まったく別の車に作り変えてしまう事です。灯火類や、駆動方式など形式認定に関わる部分は、専門の業者に頼むしかない」

「親父の伝手ならやってもらえるかもしれないな」

「やはり、ここはフレームだけの状態にして、外装は張りなおすしかないな」

大方の方針は決まった。これであとは部品を発注するまでだ。
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