蛟堂/呪症骨董屋 番外

鈴木麻純

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【ハロウィンSS】赤ずきん(序)

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 ――むかしむかしあるところに、先輩と後輩が住んでいました。後輩は赤いずきんをかぶっていましたが、赤ずきんと呼ばれてはいませんでした。




「すまんなー、後輩ちゃん。石川のやつが風邪引いたみたいなんだわ。“来てくれとは頼まないが、来るなとも言ってない”って、強気なんだか弱気なんだか分かんねえから、差し入れ持って様子を見に行ってやってくれねえかな。俺は冬支度で忙しいし……」

 いつもと違う一日は、九雀のそんな一言からはじまった。

「はい、九雀先輩」

 森の奥に住む変人の骨董屋は九雀の悪友で、律華にとっても大切な友人である。

「独居老人の孤独死については昨今の社会問題でもありますので、自分が全力で看病してきます。全快の後は、こんなことが起きないようトレーニングを――」
「……まあ、ほどほどにな。石川を殺さんように。あと、くれぐれも寄り道はするなよ。夜の森は危ないからな。土岐も出るし、たちの悪い狼も出る」
「はい、先輩」

 善は急げとバスケットの中に差し入れを詰め込み、律華は森へ向かったのだ。
 そうして森の中程に差し掛かったとき――


 1.ふと、子供の泣く声が聞こえた気がした。→「END1.夜の森には」

 2.花を摘んでいってやろうか。→「END2.遅れた代償」

 3.石川が心配だ。走ろう。→「END3.赤いずきんの下」




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