(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

文字の大きさ
12 / 215

エドが見たネイオウミという女性

しおりを挟む
応接間に入ると小柄な女性が立っていた。
縮こまる様に立つ姿に小柄な体が更に小さく見え黄色い髪と薄い黄色の服を着ているせいかヒヨコの様だ。
騎士を目指している自分としては庇護欲が凄くそそられる。
だが妻にしたいかと聞かれるとそれは違う。
俺には心に決めた女性がいる。
名前も分からないが彼女を妻にすると決めている。
だから彼女に庇護欲がそそられても恋愛感情として惹かれたりはしない。

「ネイオウミ嬢よく来てくれたね。待たせてすまなかったね。まずは息子達を紹介しよう。長男のエドガードだ。」

そんな風に考えていると親父が俺達の紹介をし始めた。
取り敢えず会釈はするがネイ…なんちゃら嬢…今度からはヒヨコに似ているからピヨと呼ぼう!に気に入られては困るから睨んでみる。
俺を見ると目を逸らしたから成功した様だ。

「「……………」」

互いに言葉を交わす事はなくピヨは会釈を返した。
目を合わせないようにしているから俺を選ぶ事はないだろうな。

「次に次男のハロルドだ。」

ハルが紹介されるとピヨは萎縮していた。
ハルも冷たい目で見ていたから仕方ないだろう。
ハルもピヨに気に入られては困るのかもしれないな。

「「……………」」

ハルとも言葉を交わす事はなくピヨは会釈だけしている。

「最後に三男のダニエルだ。」

最後に紹介されたのはダニーだった。
ダニーは女嫌いを拗らせているからな…

「どうも。あんた侯爵令嬢の割りに随分と地味な装いだね?」

「ダニエル!」

「えっ?あ~つい。気を悪くしたならごめんね。」

「……………いえ。本当のことですので。」

あれ?いつものダニーとは違う気がするな…
いつもはもっと褒めてダニーに惚れてから突き放しているのに…始めから悪く言うなんて余程機嫌が悪いのかもな。

「はぁお前達それが御令嬢に対する紳士の態度か?失礼にも程がある。こちらからお願いして今回の話を受けてもらったのだからその態度を即刻改めなさい!」

親父が怒っているがそもそもこの話を持ってきたのが悪い。
こちらがお願いしてって言うが俺達は誰もお願いしてないんだ。
ピヨを見るとハルを見ている。
もしかしてピヨはハルを気に入ったのか?
ダニーと目が合う。
ダニーも予想外といった顔をしている。
するとピヨの視線にハルが気づく。

「お前その髪…」

ハルの言葉に俺もダニーもピヨの髪を見る。
短く切り揃えられた髪に触れるピヨの指の動きをジッと追う。

「義妹に切られてしまいまして…揃えてもらったのですが……すいません。」

「「「…………」」」

今ピヨは何て言った?
義妹に切られた?
そんな事があって何で普通に話せる?
故意じゃなく事故とかか?
事故で髪が切られるって何があったんだ?
よくよく考えてみると婚約者になるかもしれない男の家に挨拶に来るのに…そうでなくても公爵家に来るのには余りにも地味な格好だ。
まさかピヨは侯爵家で不当な扱いを受けているのでは?
弟達のどちらかがピヨと結婚した場合、ピヨは俺の義妹になる訳で…
そう思うとピヨが心配になってくる。
しおりを挟む
感想 93

あなたにおすすめの小説

【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから

えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。 ※他サイトに自立も掲載しております 21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。 「君の為の時間は取れない」と。 それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。 そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。 旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。 あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。 そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。 ※35〜37話くらいで終わります。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。

和泉鷹央
恋愛
 雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。  女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。  聖女の健康が、その犠牲となっていた。    そんな生活をして十年近く。  カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。  その理由はカトリーナを救うためだという。  だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。  他の投稿サイトでも投稿しています。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さくら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

処理中です...