(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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サミュエル公爵が見たネイオウミと息子達

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息子達を書斎に呼びこれからネイオウミ嬢に会うことを伝える。
予想通り3人共いい顔をしない。
エドは心に決めた女性がいると以前から言っていたがその女性を連れてくる気配がない。
ハルは他人を信じる事が出来ない人間不信のためこのままだと伴侶を娶る日は来なさそうだ。
ダニーは女性との付き合いはあっても褒められたものではない為いつか刺されてしまうかもしれない。
我が息子達ながら心配がつきない。
妻も再三息子達に言っているが変わる兆しが見えない。
兄から今回の話を聞いた時、これがきっかけになればと思い受けることに決めた。
3人の内1人でも変われば何か変わるだろうと期待しているが…不安は尽きない。

応接間に入ると困惑気味のネイオウミ嬢がいる。
ネイオウミ嬢は立ち上がり会釈する。
彼女も今回の件に乗り気じゃないから不安なんだよな。
私の後ろから息子達もついてくる。
先ずはネイオウミ嬢に息子達を紹介する。

「ネイオウミ嬢よく来てくれたね。待たせてすまなかったね。まずは息子達を紹介しよう。長男のエドガードだ。」

ネイオウミ嬢は恐らくこの間の反応からして息子達を良くは思ってないだろう。
互いに言葉を交わす事もなく会釈のみの挨拶をしている。
エドガ睨んだからだな…。

「次に次男のハロルドだ。」

ハルとも言葉を交わす事なく会釈のみか…
ハルが見下した目で見るからだな…。

「最後に三男のダニエルだ。」

ダニーは女性に対して兄2人よりはまともに挨拶するだろう…と思っていたのだが…

「どうも。あんた侯爵令嬢の割りに随分と地味な装いだね?」

「ダニエル!」

なんて事を言うんだ。
これなら話さないほうがまだマシだ。

「えっ?あ~つい。気を悪くしたならごめんね。」

「……………いえ。本当のことですので。」

ネイオウミ嬢も何故受け入れるんだ…

「はぁお前達それが御令嬢に対する紳士の態度か?失礼にも程がある。こちらからお願いして今回の話を受けてもらったのだからその態度を即刻改めなさい!」

そう私が言っても聞く耳を持たない息子達をどうすればいいのか。
このままではこの話自体が無くなってしまう…
この後どうすればいい方向に話が進むかと頭を悩ませているとネイオウミ嬢がジッとハルを見つめているのに気づく。

「お前その髪…」

ハルも気付いたようだがハルはネイオウミ嬢の髪が気になったようだ。
ただハルがネイオウミ嬢の短い髪が気になったのか別の事が気にかかったのかは分からないがな。

「義妹に切られてしまいまして…揃えてもらったのですが……すいません。」

「「「…………」」」

そうだったね。
ネイオウミ嬢にはその問題もあるんだよね。
彼女の話を聞きエドには憐みが、ハルには怒りが、ダニーには蔑みの表情が見える。
彼女の事情を利用して強引にあの話を進めてしまおうか。
そうすればネイオウミ嬢の逃げ道を塞ぐことも出来るしね。

「そうなんだよ。ネイオウミ嬢はご家族と上手くいってなくてね。だから我が家で一緒に過ごしてもらう話があるんだ。今日会ったばかりではお互いの良さを知る時間が足りないだろうしね。だから1週間後にはこの邸に移ってもらうから宜しく。それから1週間のうち1人2日づつ彼女と過ごすこと。お互いをよく知る努力をしなさい。私の話を守らなければ縁を切るから。そのつもりで宜しくね。」

4人は予想外の案に驚きを隠せていないが恋愛にはスパイスがある方が良いからね。
頑張りたまえ若者達。
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