(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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父と娘

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サミュエル公爵家から戻るとすぐに本邸に呼ばれる。
父が様子を伺うために呼んだのかと思えば義母と義妹でした。
2人の形相は今までに見た事ないほどに恐ろしい顔でした。

「なぜお前がサミュエル家と縁組する事になっているのかしら?お前は自分の立場を分かっていないの?」

「それは…公爵家当主様からお話がありまして…」

「何の魅力もないお義姉様に公爵家当主から縁談の話があるはずないじゃないですか。嘘をつかなければいけないほどの事をしましたの?」

「公爵家にお前のような教養もマナーも何も出来ない者が行って何ができるというの?私の娘のロッティなら問題ないですがお前じゃねぇ…レナイト家の名を落とすつもり?我が家に置いてやっているだけでも感謝してほいしところなのに…。身の程も知らない恥知らずが!」

「ねぇお母様~私がサミュエル公爵家に伺いますわぁ。あちらも間違えてしまったのよ。レナイト家は2人姉妹だと社交界では言われていたりしますからね。私に打診したつもりだったんではないでしょうか?今日お父様が帰ってきたらお聞きしてみましょう。」

2人は私を無視して話し始める。
それにしてもシャーロットにはレイモンド様という婚約者がいるのにサミュエル家と何故縁談を進められると思うのかしら?
それにシャーロットとレイモンド様は…体の関係も持っているわけですし…。

「そうねぇ。お父様に聞いてみましょうか。」

「あの…シャーロットはレイモンド様と婚約しましたよね?」

「何よ。そうやって私の幸せの邪魔するつもり?レイだって公爵家からの話だって知ったら理解してくれるわ。その時はお義姉様の婚約者に戻って貰えば良いわよ。」

「そんな…」

パシンっ

音ともに右頬に痛みが走る。
シャーロットに叩かれたのだと遅れて理解する。

「うるさわね。口答えしないでよ。グスッグスッお母様~お義姉様が私を虐めるわ~」

「あの女の子供だけあるわね。ロッティが可愛いからって嫉妬でそんな事を言うなんて…憎らしい…私から汚い手を使ってニコを奪うなんて…」

バシッ パシンッ バシッ バシン

何度も義母に叩かれる。
痛みに涙をこぼしても叩かれ続けた。
義母は今母の事を思い出し私を叩いている。
義母の気がすむまで叩かれた後に離れに戻された。
口の中に血の味が広がる。
顔も腫れて痛かったから急いで冷やした。
父が帰ってくる時間になる。
2人は本当に話すのだろうか?

次の日、父が私を呼んだ。
あぁ、シャーロットのお願いを聞いたんだわ。
腫れは少しはひいたが叩けれたのは分かると思う。
でも父は何も言わなかった。
分かっていたのに父が私に何の興味も示さない事を残念に思ってしまう。

「1週間後公爵家に行く事になったと聞いた。」

「シャーロットが行く事になったのではないのですか?」

「昨夜その話をしに来たがあの子はレイモンド君と婚約したばかりだから無理だと話たが?」

「そうですか…」

「アリーをお前の専属侍女にするから公爵家に連れて行きなさい。それから公爵家に行く前に少し服を揃えなさい。」

今まで私に何の興味も持たなかったのにそんな事を言うなんて…嫌いになりたくないのに嫌いになりそうだ。
父とはそれだけしか話さず離れに戻った。
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