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息子と夫
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夕方になって珍しく、本当に珍しくエドが私を訪ねてきた。
「珍しいわね。どうしたの?」
「うん。ちょっと良い?」
「もちろんよ。中に入って掛けて頂戴。何か飲む?マーサ飲み物と…何かお菓子はある?なければ軽くつまめるものを持ってきて頂戴。」
「畏まりました。」
侍女に指示をした後でエドの側に寄る。
「顔色…少し悪いわね。」
「大丈夫だよ。」
「そう。今日は何か大事な話?」
「親父と話しがしたい。忙しいのは知ってるけど何とかならないかな?」
私を真っ直ぐに見る息子はまだ子供だと思っていたのに、いつの間にか大人の男の顔をするようになっていた。
「そうねぇ。確かに最近のロビンは忙しいみたいで帰ってくるのも遅いのよね。でも、エドはそれが分かっていても話がしたいのよね?」
「ムリ…かな?」
「今日の夜ロビンが帰って来たら聞いてみるわ。ロビンが無理だと言ったら諦めなさい。」
「分かった。」
「どちらにしてもクラレンスに伝えに行かせるから自室で待ってなさい。クラレンスが行った時に寝てたなんて事だけはしないでね?」
「ふっ、そんな事しないよ。」
不意に笑った顔は私の知っているあどけない息子の顔だ。
「そう。それじゃあ今度は母さんの話に付き合いなさい。」
「何?」
「あのね……」
息子が夫と大事な話しがしたいと言ってくるなんて何だか嬉しいような…寂しいような…複雑な感情を抱きながら久々に息子との会話を楽しんだ。
深夜になって帰ってきたロビンにエドと話をして欲しいと伝え部屋を後にした。
エドが自室に戻ったことをクラレンスが伝えに来たのは、それから1時間程度経ってからだった。
部屋に戻るとロビンは見たことのない顔をしていた。
長く一緒に居るのに“こんな顔"をする事もあるのねと思う。
「ヴィッキー、私達の息子はまだ子供だと思っていたけど知らない間に大人になっていたよ。」
「あら奇遇ね。私も今日、同じことを思ったわ。」
話しながら寝室に移動する。
ロビンは随分眠そうにしながらも簡単に話した事を報告してくれる。
「あの子は見つけたかもしれないそうだ。」
「何を?」
「初恋の女性だよ。」
「まぁ。そうなの。」
「まだ可能性だが、イザベル嬢だそうだ。」
可能性と言いながらも確信を持っているように見えるのは何故かしら?
「ロビンはエドの直感を信じてるんでしょ?」
「ヴィッキーには何でも分かってしまうんだな。でもな…困った事になったよ…」
「何が?」
「ジェダイナ公爵家が動く。夜会を開くそうだ。その夜会にイオを招待する計画らしい。」
「罠…よね?」
「だから兄さんにイザベル嬢と会う算段をつけろと言われた。明日は登城しない代わりに良案を出せって。案が出なければイザベル嬢を誘拐するそうだ。」
「まぁ大胆な作戦ね。でもこの状況でイザベル嬢とだけ会うとなると…」
「難しいよな…」
「イオちゃんに会ってもらう?」
「イオに詳細を話すことは兄さんから止められている。」
「詳細は話さなくて良いのよ。本人も会いたがっているんだから。」
「会いたがっ…ている?」
「そうエドが言っていたわ。」
「怪し…まれる…だろう?」
「良いじゃない。どちらにしても警戒されているでしょうし。それにイオちゃん会わせるのと誘拐するのならどちらが妙案?」
「ダメだ…」
「何でよ。」
「違う…眠い…今日はもう…考えが纏められそうに…ないから…明日考えるよ…」
「あら!それじゃあ休みましょう。」
「あぁ…おやすみ…ヴィッキー…」
「おやすみなさいロビン。今日もお疲れ様。」
そう言ってロビンの額に口付けを落とし、ベッドライトを消して眠りについた…
「珍しいわね。どうしたの?」
「うん。ちょっと良い?」
「もちろんよ。中に入って掛けて頂戴。何か飲む?マーサ飲み物と…何かお菓子はある?なければ軽くつまめるものを持ってきて頂戴。」
「畏まりました。」
侍女に指示をした後でエドの側に寄る。
「顔色…少し悪いわね。」
「大丈夫だよ。」
「そう。今日は何か大事な話?」
「親父と話しがしたい。忙しいのは知ってるけど何とかならないかな?」
私を真っ直ぐに見る息子はまだ子供だと思っていたのに、いつの間にか大人の男の顔をするようになっていた。
「そうねぇ。確かに最近のロビンは忙しいみたいで帰ってくるのも遅いのよね。でも、エドはそれが分かっていても話がしたいのよね?」
「ムリ…かな?」
「今日の夜ロビンが帰って来たら聞いてみるわ。ロビンが無理だと言ったら諦めなさい。」
「分かった。」
「どちらにしてもクラレンスに伝えに行かせるから自室で待ってなさい。クラレンスが行った時に寝てたなんて事だけはしないでね?」
「ふっ、そんな事しないよ。」
不意に笑った顔は私の知っているあどけない息子の顔だ。
「そう。それじゃあ今度は母さんの話に付き合いなさい。」
「何?」
「あのね……」
息子が夫と大事な話しがしたいと言ってくるなんて何だか嬉しいような…寂しいような…複雑な感情を抱きながら久々に息子との会話を楽しんだ。
深夜になって帰ってきたロビンにエドと話をして欲しいと伝え部屋を後にした。
エドが自室に戻ったことをクラレンスが伝えに来たのは、それから1時間程度経ってからだった。
部屋に戻るとロビンは見たことのない顔をしていた。
長く一緒に居るのに“こんな顔"をする事もあるのねと思う。
「ヴィッキー、私達の息子はまだ子供だと思っていたけど知らない間に大人になっていたよ。」
「あら奇遇ね。私も今日、同じことを思ったわ。」
話しながら寝室に移動する。
ロビンは随分眠そうにしながらも簡単に話した事を報告してくれる。
「あの子は見つけたかもしれないそうだ。」
「何を?」
「初恋の女性だよ。」
「まぁ。そうなの。」
「まだ可能性だが、イザベル嬢だそうだ。」
可能性と言いながらも確信を持っているように見えるのは何故かしら?
「ロビンはエドの直感を信じてるんでしょ?」
「ヴィッキーには何でも分かってしまうんだな。でもな…困った事になったよ…」
「何が?」
「ジェダイナ公爵家が動く。夜会を開くそうだ。その夜会にイオを招待する計画らしい。」
「罠…よね?」
「だから兄さんにイザベル嬢と会う算段をつけろと言われた。明日は登城しない代わりに良案を出せって。案が出なければイザベル嬢を誘拐するそうだ。」
「まぁ大胆な作戦ね。でもこの状況でイザベル嬢とだけ会うとなると…」
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「あら!それじゃあ休みましょう。」
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そう言ってロビンの額に口付けを落とし、ベッドライトを消して眠りについた…
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