78 / 215
その頃の談話室⑤ ハル視点
しおりを挟む
親父は笑って流したがそれは肯定したと同義だ。
つまりバーナバス家は伯爵位であるが国王の強力な後ろ盾がある家…それは場合によっては公爵家よりも家格も権力も上になるという事だ。
「話を続けるよ。レナイト侯爵は王命であっても妻にしたクリスティーン嬢を愛した。そしてイザベル嬢が産まれた。でもねこの時ジェダイナ公爵家に問題が起きた。」
「問題?」
「イザベル嬢が産まれる前に公爵家の跡取りだった令息が亡くなった。姉であるレナイト夫人に会いに行った帰り道で野盗に襲われたんだ。公爵夫妻はお門違いにもレナイト夫人を恨んだ。」
「間違ってるだろう。恨むならその野盗を恨むべきだろう。」
「犯人を辿れば自分達の悪事の末って事が明るみに出るからレナイト夫人を恨んだって訳だ。本当に吐き気がする程に最低な奴等だよ。令息が亡くなったために公爵家の家督を継ぐのは夫人になった。何はレナイト侯爵と共に公爵家に戻るはずだった。だが夫人はイザベル嬢を産んでから僅か1年程後に事故で亡くなった。」
「それは本当に事故なのか?」
ダニーが疑っているように事故じゃない。
「それを証明できなかった…というよりも証拠もろとも無くなってしまったんだよ。」
「証拠もろとも消えるってどういう事だよ…」
「夫人が乗った馬車を引いていた馬が暴れて谷底に落ちてしまった。夫人の遺体も酷い状態だったそうだ。」
証拠を消すためにもその方法を選んだのだろうな。
「そんな…」
「その後、喪が明けて直ぐにレナイト侯爵とパトリシア・バーナバス伯爵令嬢は結婚した。」
「その時はバーナバス家は認めたの?」
「兄さんが王位を継いでいたからね。そしてイオが産まれた。それから5年間は家族4人仲良く暮らしていた。」
「イオにはこの頃の記憶がないようなのよね…。」
「それはイオが母親と共に殺されかけたせいだろね。」
イオが助かってくれて本当に良かったと思う。
もしかしたらイオがその時に亡くなっていた可能性もあるかと思うと恐ろしすぎる。
さっきイザベル嬢がどこまで知っているか確認したくて2人を殺したのは現在の夫人か聞いたが、違うと思うと言った。
つまり事実を聞かされていなくてもイザベル嬢は理解しているのだろう。
だからイオを守ろうと必死だったんだろうな。
「イオは母親に殺されそうになったと今日までそう思っていた。…いやそう思わされていた、義母によってね。その事にイオがどれだけ辛い思いをしてきたか…」
約束を破られたとイオがどれだけ苦しんできたか…
「自分の母親に殺されそうになったって10年以上も思っていたなんて…」
「なぁ親父、今の母親と侯爵は何で結婚したんだ?話聞いてる限り良い人間とは思えないんだけど?」
「エドの言う通り良い人間ではないから結婚したんだ。」
そうだ、良い人間じゃないから脅して結婚してイオを虐げた…
「何かしたの?」
「イザベル嬢を人質にして結婚した。それは今日まで続いている。」
「どういう事だよ!」
エドが怒るのは当然だった。
つまりバーナバス家は伯爵位であるが国王の強力な後ろ盾がある家…それは場合によっては公爵家よりも家格も権力も上になるという事だ。
「話を続けるよ。レナイト侯爵は王命であっても妻にしたクリスティーン嬢を愛した。そしてイザベル嬢が産まれた。でもねこの時ジェダイナ公爵家に問題が起きた。」
「問題?」
「イザベル嬢が産まれる前に公爵家の跡取りだった令息が亡くなった。姉であるレナイト夫人に会いに行った帰り道で野盗に襲われたんだ。公爵夫妻はお門違いにもレナイト夫人を恨んだ。」
「間違ってるだろう。恨むならその野盗を恨むべきだろう。」
「犯人を辿れば自分達の悪事の末って事が明るみに出るからレナイト夫人を恨んだって訳だ。本当に吐き気がする程に最低な奴等だよ。令息が亡くなったために公爵家の家督を継ぐのは夫人になった。何はレナイト侯爵と共に公爵家に戻るはずだった。だが夫人はイザベル嬢を産んでから僅か1年程後に事故で亡くなった。」
「それは本当に事故なのか?」
ダニーが疑っているように事故じゃない。
「それを証明できなかった…というよりも証拠もろとも無くなってしまったんだよ。」
「証拠もろとも消えるってどういう事だよ…」
「夫人が乗った馬車を引いていた馬が暴れて谷底に落ちてしまった。夫人の遺体も酷い状態だったそうだ。」
証拠を消すためにもその方法を選んだのだろうな。
「そんな…」
「その後、喪が明けて直ぐにレナイト侯爵とパトリシア・バーナバス伯爵令嬢は結婚した。」
「その時はバーナバス家は認めたの?」
「兄さんが王位を継いでいたからね。そしてイオが産まれた。それから5年間は家族4人仲良く暮らしていた。」
「イオにはこの頃の記憶がないようなのよね…。」
「それはイオが母親と共に殺されかけたせいだろね。」
イオが助かってくれて本当に良かったと思う。
もしかしたらイオがその時に亡くなっていた可能性もあるかと思うと恐ろしすぎる。
さっきイザベル嬢がどこまで知っているか確認したくて2人を殺したのは現在の夫人か聞いたが、違うと思うと言った。
つまり事実を聞かされていなくてもイザベル嬢は理解しているのだろう。
だからイオを守ろうと必死だったんだろうな。
「イオは母親に殺されそうになったと今日までそう思っていた。…いやそう思わされていた、義母によってね。その事にイオがどれだけ辛い思いをしてきたか…」
約束を破られたとイオがどれだけ苦しんできたか…
「自分の母親に殺されそうになったって10年以上も思っていたなんて…」
「なぁ親父、今の母親と侯爵は何で結婚したんだ?話聞いてる限り良い人間とは思えないんだけど?」
「エドの言う通り良い人間ではないから結婚したんだ。」
そうだ、良い人間じゃないから脅して結婚してイオを虐げた…
「何かしたの?」
「イザベル嬢を人質にして結婚した。それは今日まで続いている。」
「どういう事だよ!」
エドが怒るのは当然だった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから
えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。
※他サイトに自立も掲載しております
21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる