(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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ハロルドの提案

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ハル様はニヤリと笑うとどういう事か説明して下さいました。

「シャーロット嬢に返事をせずジェダイナ公爵家の動向を探ろうと思っていた。それはイオも分かっているよね?」

「はい。」

返事を直ぐにしないのは気持ちがあるからではなく、これからのための策だという事はハル様にもお義母様にも説明頂きました。

「でもシャーロット嬢が妊娠していて更に家族には知られていないとなると俺がその子供の父親に仕立てられる可能性があるから婚約の話は断りを入れる。これは俺達にとっても予定外だけどジェダイナ公爵にとっても予想外の展開になると思う。」

ジェダイナ公爵にとっても予想外?
私が首を傾げるとハル様はもう少し噛み砕いて話してくださいます。

「恐らく断りを入れないのはそういう事だと思うだろうという事だ。でなければ直ぐに良い返事をするか直ぐに断るだろう。もしくは何らかの理由で直ぐには返事が出来ないが…と先方に伝えるだろう。だが俺達はそのどれもしていない。だから、公爵は自分達の動向は探られていると思われていただろう。」

「成程…」

「だがここに来てエスコートを頼まれた直後に断りを入れるとなると公爵からすれば…」

「予想外の出来事になりますね。」

「そういう事だ。」

「待ってハル兄!それがどうしてイオのエスコートをする話に繋がるんだよ!」

そ、そうでした…お義母様の話もあって、ハル様がそういうつもりではないと…違うと分かっているのにドキドキしてしまいます。

「婚約を断って1人で行くのは相手に付けいる隙を与えかねないからだ。」

「だったら相手はイオじゃなくても良いよな?」

それはそれで嫌ですが…

「俺はお前と違って仲の良い女性はいないんだよ。」

そうなのですね…諦めようと思っているのにホッとしてしまいます。

「な、どういう意味だよ。」

「別に?それで、どうだろうイオ。嫌なら諦めるけど俺はイオが一緒だと心強いんだけど。」

ど、どうしましょう。
嬉しいのに困ってしまいます。

「ハル兄のエスコートで行ったらイオがどんな目に遭うか分からないだろう?」

えっ?ダニー様それはどういう意味ですか?

「大丈夫だよ俺がずっと側にいるから。」

側にいるから大丈夫という事は…私何かされるのですか?

「大丈夫だよイオ。何かされるとかではなく俺達は一応公爵家の子息だし、イオは初めての夜会だから…社交界デビューでしょ?良くない考えの人間はどこにでもいるから念のためだよ。」

本当でしょうか?
でも、ハル様の言うように私も馴れない場で1人でいるのは怖いですし…ハル様が側にいるなら安心ですよね…でもでも、それでは諦めなきゃいけないのにどんどん辛くなってしまいますわ。

「……よね?イオ!」

「は、はい!」

考え込んでいたため名前を呼ばれて勢いよく返事をしてしまったのですが…

「それじゃあ俺がエスコートするって事で決まりね!」

とハル様に言われてしまいます。

えっ?どういう事?今の返事がエスコート了承の返事になっていたのですか?

「イオ!ハル兄じゃなくて俺をエスコート役にしても良いんだぞ?」

とダニー様に言われても私はそれどころじゃありません。
ドキドキと心臓が破裂しそうで息も出来ないくらいです…
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