(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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悪女 ネイオウミ・レナイト 第三者視点

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私はサミュエル公爵家のご兄弟に憧れている伯爵令嬢です。
憧れていますが好きだとかそういう恋愛感情がある訳ではありません。
言い方は悪いかもしませんが目の保養、鑑賞するのに素敵な方々ということです。
現に私には気は弱いですが優しい素敵な婚約者がいます。
って私の事はいいですよね。
それよりもジェダイナ公爵家の夜会に招待され本日は参加しているのですが、ここで耳を疑いたくなる様な話を聞いてしまったのです。
ちなみにわたしも婚約者と同様で気が弱いため近くにいた令嬢達の話を聞いただけなのですが…
私が聞いた話はハロルド・サミュエル様が社交界で初めて女性をエスコートしているという内容からでした。
そのエスコートされている女性はネイオウミ・レナイト嬢と言うそうです。
レナイト家と言えば美しいイザベル様と可愛らしいシャーロット様お2人の姉妹だとばかり思っていたのですが違ったようです。
ただこのネイオウミ嬢は極悪な性格で異性にだらしのない女性だそうです。
そんな女性がハロルド様に近づくなんて‼︎
話をされていた令嬢達も息巻いています。
サミュエル家のご兄弟は難はあっても人気が高いという証拠ですね。
ですが私は他の令嬢達と一緒にネイオウミ嬢を非難する事は出来ませんでした。
なぜならハロルド様がネイオウミ嬢を大切に扱っていたからです。
ハロルド様に対しての態度も柔和で癒しの空気を纏っているのです。
お二人の会話は甘くなぜか見守りたくなる雰囲気です。
この光景が他の令嬢達には見えていないのでしょうか?
しかも2人は愛称で呼び合うほどの仲なのに…それに見ている限りネイオウミ嬢は悪女には見えません。
むしろこの状況なら悪口を言っている冷嬢達の方が悪女に見えてきます。
ハロルド様にダニエル様まで令嬢達を睨んでいませんかね?
もしかしなくてもネイオウミ嬢は本当は悪女ではなく良い人だったりするのでしょうか?
そう思っていた時でした。
1人の令嬢が転んでしまったのです。
その令嬢は恥ずかしさに涙ぐんでいます。
その令嬢にネイオウミ嬢が手を差し出します。
私はなんだネイオウミ嬢はやっぱり優しい人なんだなと思いながらその光景を見ていました。
ですが転んだ令嬢が言ったことは違いました。

「きゃあ。何でこんなことするの?」

ものすごく態とらしい態度をとります。
どう見ても彼女は自分で勝手に転んだし、ネイオウミ嬢は優しくてを差し出していたはずなのに!
この時には私はネイオウミ嬢の味方の気分になって見ていたのです。
それなのにこの状況に乗じて先程の令嬢達が好き勝手に言い始めたのです。

「まぁ酷い事をする方ね。」
「何て酷い人なんでしょう。」
「今、わざと転ばせませんでした?」
「それなのに手を差し出すなんて良い人振りたいのでしょうか?」
「だとしたら浅ましい事ないですわね。」

そう口々に言い始めるのです。
ネイオウミ嬢を見ると青ざめて震えているように見えます。
なのに私は何も出来ずにいました。
どうかハロルド様彼女を助けてあげて下さい。
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