(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

魔女を倒す方法？

イザベルお義姉様が私を庇ってくださいましたが、シャーロットは物凄い勢いで話していきました。
私には何を言っているのか分からない話でしたがよくよく聞くと私がシャーロットをいじめていたと言うのです。
私はそんなことをした覚えはないのでシャーロットが何をしたいか分かりませんでした。
ハル様がシャーロットの言っていることを信じるとは思えませんがシャーロットの言うように私をのことを知らない人ががこの場にはたくさんいらっしゃいます。
そう考えると私がシャーロットを虐めていたと信じてしまう人がいてもおかしくありません。
それにお義母様まで証言されては私が悪人だと思われても仕方ないでしょう。
誰に何を思われてしまっても気にはなりません。
あの頃の私に誰も気づいて下さらなかったから。
あの頃の私を助けてくださる人はいなかったから。
だから私を信じてくださる人がこの場に…サミュエル公爵家の方とイザベルお義姉様以外いなかったとしても悲しくはありません。
私も皆様と同じで皆様のことを知らないのですから。
でも、これから知っていく中で仲良くなれるチャンスがあったかもしれないのにと思うと残念には思います。
それにしてもシャーロットは何故こんな嘘をつくのか理解してあげる事が私にはできません。
シャーロットとも小さい頃は仲良くできたらと思っていたこともありましたが…もう無理ですよね。
チラリとシャーロットを見れば私を睨みつけた後でハル様を愛しそうに見つめて言いました。

「大丈夫ですわハロルド様。私がすぐにその魔女から助けて差し上げますから。必ず私を見ていたあの頃のように戻して差し上げますわ。」

物語だったら私が悪役で…魔女かしら？それでシャーロットはお姫様？だとしたらハル様は王子様かしら？
そうね、それなら物語は成立しますわね。
なら魔女である私はどうやってシャーロットに倒されるのかしら？
今、目の前で起きていることに理解ができないからかそんな風に考えてしまいます。
陰では先程の女性達が『やっぱりね』とか『そうでしょうね』と話している。
今度はなるべくハル様に聞こえないように小声で話すように気を付けているのでしょうが、はっきり聞こえてきます。
その時、ハル様が私の手を握ってくださいました。
そして私の耳元で『大丈夫だよ。イオは魔女なんかじゃない。俺のお姫様だから。』と言ったのです。
ハル様ってばどうしてたまにこんなことを言って私を惑わすのですか？
あの約束はハル様も知っていますよね？
私はあの約束を思って本当に悩んでいますのに！
私はハル様の態度に何故か悔しく思ってしまいハル様にも少しはドキドキして欲しくて手を握り返してこう答えることにしました。

「分かっています。私もハル様を信じていますから。」

これが私の精一杯でしたがハル様がほんの少しでもドキッとすれば私はそれでいいのです。
そう思っていたらハル様が顔を少し赤らめてにっこりと微笑まれたのです。
これは私の勝ちでいいでしょうか？負けでしょうか？

「ちょっと！私を無視しないで‼︎」

シャーロットの叫びで私は今の状況を思い出したのでした。