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第三章 王都までの旅路
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しおりを挟むオレはパタパタと駆けていくリオを見届けると、月の精霊…いや、シコク様に視線を向けた。
初めてお目にかかったときよりも、体の輪郭がはっきりしていて人間味が増しているな。
『随分と懐いておるようじゃの。
お主の気持ちは知ってるが、今までの経験上信じることができないという感じか』
思わず苦笑する。
「おっしゃる通りです」
『もどかしいのぉ』
そろそろ本題に入ることにした。
『リオはじゃな、今本来の力が目覚めようとしておるのじゃ』
「本来の…力…」
『うむ。聖女…いや聖者か、精霊と神に愛された者が持つ力。だが、あやつは本当はもっと早い段階で覚醒するはずだった。心に壁を作ったせいで、できなかっただけなのじゃ。
お主にはもうわかるじゃろ? レオ』
「まさか、あなたが契約した本当の理由は…」
『そうじゃ。本来ならもう力に目覚めて安定しているはずだった。が、目覚めが遅かったゆえ、不安定なのじゃ。
過ぎた力は己をも殺す』
息ができなくなるような感覚に襲われた。
己をも殺す…つまり体も精神も耐えられないということ。そうなった者の最期は、理性無き化け物になるか、廃人になるかだ。
『聖女や聖者は本来存在する確率がゼロに等しい存在じゃ。精霊と女神が好む魂の性質は違う。その両方を持っている魂など稀有なものよ。
あの聖獣は他の聖獣よりも女神の気配を感じる。きっと女神が使わした者だろうな』
「そんなことが…」
『人の子も難儀なものじゃのぅ。
まさか、精霊の愛し子と聖女を同一の存在だと思っておったなんてな。
どこかで故意に伝承を歪ませた者が居るようじゃの』
シコク様は背筋が凍るかのような気配を纏い、目を細めた。
リオの方に視線を向け、表情を緩めると、オレに視線を戻した。
『女神は精霊のように干渉することができないゆえ、聖獣や夢の中でしか関わることができんのじゃ。
あの聖獣が元気になったら旅に同行させてはくれんか?』
「はい。分かりました」
『十分に気をつけよ。特に背後にな。
…話はこれで終わりじゃ。
ほれ。あ奴の所へ行ってやれ』
「レオさーん!」
向こうで手を振りながら、オレを呼ぶリオを見て思わず笑いを溢した。
「リオ、今行く。
シコク様、失礼します」
『うむうむ。先は長そうじゃの…』
ボソリとつぶやいた言葉は聞こえなかったことにした。
✽ ✽ ✽
「目を覚ます感じがないなぁ」
聖獣の顔を見ながらそうつぶやいた。
すると、精霊さんがふわふわとボクの周りを何周かした。ボクの座っている周りに茎が細長くて白い小さめの花が咲き始めた。
「すごいすごい!」
何体かの精霊さんが花を摘むと、次々に編んで花でできた冠を作った。
ボクの頭の上にそれを乗せると、腕を横において自慢気に胸を張る。
魔法みたい!ボクもやってみたいな~。
「精霊さん!レオさんにも作りたいんだけど、作り方教えてくれないかな?」
嬉しそうにくるくる回転すると、ボクが持った花をゆっくり組み合わせてくれてそれを真似しながら作った。
間違えそうになったときはボクの手を止めて手伝ってくれたおかげできれいな冠になった。
「できた!」
精霊さんに袖を引かれ、見ると違う種類の花がたくさんあり、冠に挿していった。
白い花冠がいろんな色の花でできた冠に変わって可愛い。
花冠をもう一つ作っていると、精霊さんが持ってきた花の中で、小さいけど茎は長いものを見つけた。
そうだ!
小さい花を4本取ると、きれいに組み合わせて小さめの冠をいくつか作った。
精霊さんが首を傾げながら見てくる。
「はい、どうぞ!」
作るのを手伝ってくれた精霊さんや、花を持ってきてくれた精霊さんの頭の上に冠を乗せた。
やっぱりすごく似合ってる!
精霊さんたちはすごく嬉しそうに、ボクの周りを飛び回った。
▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️
あれから数ケ月が経ち、更に忙しい時期になりました。
今年は最後の更新です( ;˙^˙;)
受験生は忙しいですね~( ;ᵕ; )
シリアスっぽい話をしているレオに比べて、和みしかないリオと精霊たちの温度差のある話でした(笑)
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