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10話
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メッセージが来て、
『大丈夫。お前も頑張れよ。』
そう返信して、学校へ向かった。
彼女の1つ目のお願い。『近道をしない』
そのことを守るため、少し遠いがちゃんとした通学路で行った。
そして30分ぐらいして学校に着くと、なんだか教室がザワザワしていた。
「大翔大丈夫だったか?」
「和樹。お前こそ」
和樹はいつものようなテンションで、俺に話しかけてきた。
今日のメールは、なかったのように。
「なんかあったの?」
「お前がいつも来る道で、事故あったらしいんだよ。怪我した人は居ないみたいだけど」
「まじか、俺今日その道通ってなかったから大丈夫」
「お前、奇跡だな。いつものようにあそこ通ってたら轢かれてたよ。」
彼女の言葉がなかったら、俺は近道をしていた。
あの道を通っていた。
でも、通らなかったのは彼女の言葉があったから。
感謝をしないと。
でも、彼女はなぜ通るなと言ったんだ。
彼女の約束を守って、命が救われた。
残りの2つにも、命が救われるのか?
さすがに、この一週間で命の危機が訪れることは無いだろう。
まあ、どんなことよりも約束を守ることは、何かを意味することなのかもしれない。
2つ目の約束。
『25日の昼休みに、屋上に行く。』
25日は、明日。
明日、なんて用事や特別学校の行事があるわけが無いが、行くしかない。
明日のことを考えてると。
「怖くなった?笑」
「えっ?」
そういったのは、和樹だ。
ま、ずっとあれから話していて俺はずっと上の空だった。
「別に、そういう訳じゃないよ。通らなくてよかったなって思って。」
「確かに。通ってたら死んでたかもね。俺より大翔が死んだら、1番俺が驚くわ」
「お前が、長く生きるかもしれないだろ。諦めんな」
「諦めたくないけど、これが現実だからな。最後の思い出作るよ」
「そっか、俺も思い出作りさせてよ」
「おう」
進行していた和樹の病気。
こうして、学校で話す和樹は病気があるなんて誰も予想できないくらいに明るかった。
ただ1つ、前と変わったことは記憶力が短くなったこと。
これは、俺の勝手な憶測。
でも、それが確信に変わる出来事があった。
朝の事故があったという話題。
昼休みにクラスの女子が、和樹にその話題をもちかけた。
その女子は、俺と同じようにあの道を通ろうとしてたけど、遅刻しそうになって親に送ってもらったから、通らなくて済んだのだという。
しかし、和樹の反応はおかしかった。
「緋山くん!今日、事故あったじゃん?私ね、巻き込まれそうになったの!やばくない?死ぬ事だったわー」
「えっ、事故あったの?知らなかったんだけど!巻き込まれなくてラッキーじゃん!」
この会話を聞いた時、朝の光景と重なった。
朝、あれだけ事故の話をしたのに昼休みになると、和樹はすっかり忘れていた。
和樹は、少なかりとも病気の症状が出ているのだと、実感した。
『大丈夫。お前も頑張れよ。』
そう返信して、学校へ向かった。
彼女の1つ目のお願い。『近道をしない』
そのことを守るため、少し遠いがちゃんとした通学路で行った。
そして30分ぐらいして学校に着くと、なんだか教室がザワザワしていた。
「大翔大丈夫だったか?」
「和樹。お前こそ」
和樹はいつものようなテンションで、俺に話しかけてきた。
今日のメールは、なかったのように。
「なんかあったの?」
「お前がいつも来る道で、事故あったらしいんだよ。怪我した人は居ないみたいだけど」
「まじか、俺今日その道通ってなかったから大丈夫」
「お前、奇跡だな。いつものようにあそこ通ってたら轢かれてたよ。」
彼女の言葉がなかったら、俺は近道をしていた。
あの道を通っていた。
でも、通らなかったのは彼女の言葉があったから。
感謝をしないと。
でも、彼女はなぜ通るなと言ったんだ。
彼女の約束を守って、命が救われた。
残りの2つにも、命が救われるのか?
さすがに、この一週間で命の危機が訪れることは無いだろう。
まあ、どんなことよりも約束を守ることは、何かを意味することなのかもしれない。
2つ目の約束。
『25日の昼休みに、屋上に行く。』
25日は、明日。
明日、なんて用事や特別学校の行事があるわけが無いが、行くしかない。
明日のことを考えてると。
「怖くなった?笑」
「えっ?」
そういったのは、和樹だ。
ま、ずっとあれから話していて俺はずっと上の空だった。
「別に、そういう訳じゃないよ。通らなくてよかったなって思って。」
「確かに。通ってたら死んでたかもね。俺より大翔が死んだら、1番俺が驚くわ」
「お前が、長く生きるかもしれないだろ。諦めんな」
「諦めたくないけど、これが現実だからな。最後の思い出作るよ」
「そっか、俺も思い出作りさせてよ」
「おう」
進行していた和樹の病気。
こうして、学校で話す和樹は病気があるなんて誰も予想できないくらいに明るかった。
ただ1つ、前と変わったことは記憶力が短くなったこと。
これは、俺の勝手な憶測。
でも、それが確信に変わる出来事があった。
朝の事故があったという話題。
昼休みにクラスの女子が、和樹にその話題をもちかけた。
その女子は、俺と同じようにあの道を通ろうとしてたけど、遅刻しそうになって親に送ってもらったから、通らなくて済んだのだという。
しかし、和樹の反応はおかしかった。
「緋山くん!今日、事故あったじゃん?私ね、巻き込まれそうになったの!やばくない?死ぬ事だったわー」
「えっ、事故あったの?知らなかったんだけど!巻き込まれなくてラッキーじゃん!」
この会話を聞いた時、朝の光景と重なった。
朝、あれだけ事故の話をしたのに昼休みになると、和樹はすっかり忘れていた。
和樹は、少なかりとも病気の症状が出ているのだと、実感した。
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