夜櫻に輝く君を想う。

15話

彼女の姿が写っていない。

そんなこと有り得るのか？
確かに確認したはず、そして何度も見直した。
なんで、写ってないんだ。
なんで。

和樹の病室を出てすぐ公園へ向かった。

そんなはずは無い。
ずっと思っていた。だってあんなにあんなに気持ち悪いくらい見ていたのに。なんで

「美月！！」

叫んだ、公園の隅から隅まで聞こえるくらい。
ずっと。

「大翔くん。？」
「美月」
「どうしたの？」
「あのさ。あの写真に写ってないんだ。美月が」

俺の言葉を聞くと、彼女は黙り込んだ。

「美月ってさ」

ずっと気になってたこと。
今なら聞ける。

「一体何者なの。どこから来たの。」

彼女は俯いた。
無意識なのか分からない。何か考えてるようだった。
前々からずっと彼女は何故、夜にしかいないのか。学校に居ないのか。
夜遅くまで、この場所にいるのか。
ずっと気になっていた。
そう考え込んでいると、彼女が口を開いた。

「私。いつかは言わないとって思ってた。大翔くんに知って欲しかった。でも、信じて貰えないと思った。だから、助言をした。和樹くんのこととか。大翔くんは不審がってたと思う。私がなんてそんなことがわかるのか。」
「それは、、」

言葉が出なかった。
彼女には俺の気持ちなんてお見通しなのかもしれない。

「その写真に映らなくなった理由は一つだけ。大翔くんは悲しむかもしれない。」
「言ってほしい。俺は大丈夫だから」
「私が見えない事、前にもあったでしょ。私が見えなくなるのは「大翔くんの周りの人が近くに亡くなる」事を示してる。私は、ここに来ちゃいけない。でも、大翔くんに道を踏み外して欲しくない。私はその手助けをしに来た。」

どういうこと？
もうすぐ俺の周りのひとが死ぬ。。
そんなこと急に言われても…そんな死ぬような人なんて………

もしかして、和樹。。。

母さんが死んだ次の日、彼女はいなかった。
この公園に。
そして、前見えなくなった時、和樹は死のうとしていた。

彼女の言葉を信じる根拠は全て揃った。 

「亡くなるって。。美月は誰か知ってるの」
「うん。」
「そっか。でもなんで。分かるの。そんなこと」
「それは、、今は言えない。」
「なんで？」
「今、言ったら帰らないといけない。大翔くんと一生会えなくなる。だから言えない。でも、ずっとも居られない。」
「俺には、よく分からないけど美月と一緒にいたい。」
「ごめんね。」

彼女の『ごめんね』という言葉はには、どこか悲しい気持ちが胸の奥底にあるような感じが読み取れた。
彼女は普通の人じゃない。

それが俺が出した決断。

これからは、普通のカップルではいられない。