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プロローグ
七話
しおりを挟む《晴人、上原side》
道路をすすっと進む黒いバイク。
晴人と上原は風見山国立公園に向かっていた。
「住民の皆さんが避難に車を使っていない事は驚きましたね。移動が楽で本当に助かりました。
きっと小さなヒーロー達が車での渋滞、逃げ遅れなどを頭に入れていたのでしょうか。流石私の教え子達ですね」
「...んっ。ここは...って速っ!!!!
上原先生速度落として!!」
「おや、目が覚めましたか晴人くん。
ですが速度は落とせません。後ろを見てください」
そう落ち着いた声で言われたため晴人は後ろを振り返る。そこには...噴火する来夏山があった。
「...上原先生、速度上げて」
「分かりました、しっかり掴まっててくださいね」
ブゥゥゥンとエンジンの音を跳ねらせ風見山国立公園に向かう。そして15分程で噴火による被害が出ないと思われる安全地帯、風見山に着くがどうも様子が可笑しい。
「...可笑しいですね。誰もいません。
自衛隊のヘリは私の推測だと此処に来ると思ったのですが」
「確かにそうですね。うーーん」
上原と晴人はバイクから降りると、
風見山国立公園内を見渡す。
そして松葉杖をつきながら地面を見た晴人はある事に気付く。
「先生、見てください。これはテントの跡です。そしてこっちはヘリの風で飛ばされた草だと思います」
「よく見つけましたね。とすれば移動した方が良いですね」
上原は冷静に判断する。
「此処は安全なはずです。それなのにこんなに早く移動する理由は1つしかありません。
近くに危険、つまりは敵軍がいる可能性が有ります」
「!? 先生、行きましょ!」
慌ててバイクに戻る二人。
「そうですね、次に行くなら今は廃棄された仁志駐屯地、もしくは東天宮駐屯地ですかね。晴人くん、どっちから行きますか?」
「仁志駐屯地からで。俺の勘がそう言ってますっ!」
「此処から仁志駐屯地までかなり有りますね。もう日が暮れてきています。
途中の真柏駅で一晩過ごすとしましょう。
兎に角真柏に向けて飛ばしますね」
上原はハンドルを強く握ると風見山を後にする。運が良いのか敵軍とは出会わなかった。
そして日が完全に落ちる頃には真柏駅に着いた。
「着きましたね、先生は駅の状態や他の生存者、安全の確認をしてきます。
晴人くんは彼処の店で食料を調達して来てください」
ヘルメットを外しつつ晴人に的確な指示を出す上原。そして松葉杖を晴人に渡す。
「分かりました、窃盗とかで訴えられたら上原先生に命令されたと言いますねっ」
「それは恐ろしい。先生はお腹を空かせた教え子の為を思って言ってるんですがねっ」
グゥーー。と音を立てる晴人のお腹。
本当にこの先生は色々凄いなと晴人は思いつつ食料調達に向かう。
「...さて、本来であれば教え子との別行動はしたく無いのですが仕方ないですね。
真柏駅から人の気配がしますので」
上原は足音を消して駅のホームに行くと嫌な匂いを感じた。そして線路を除くとそこには
真っ赤になっている死体が20体ほど綺麗に並んで置かれていた。
「...この死体の穴、銃器による攻撃ですか。
だとすれば敵軍ですね。それも中々の強者と思われます」
したい1つにつき一発、正確に心臓を貫いていたその弾道からは相手が強者であることが分かった。そして...
「...見つけましたよ」
上原の目の先には銃を持った黒人の男が死体を引きずっていた。
息を潜めて物陰に隠れる上原。
この状況で晴人が帰ってきたらマズイ事になると感じた彼は敵から逃げる方法を考える。
だが思い浮かばない。
私が晴人くんの方に行く際、こっちに気づいた晴人くんが声を出せばあいつに気づかれる。
.........仕方ないですね。殺しますか
上原は静かに黒人の背後に回り込んだ。
距離は10メートル。敵は強い。銃を持っている。身長は上原と同じ180くらいかそれ以上。死体を一人で並べてる感じは単独か?
「...よし。」
タタタタッと黒人に駆け寄ると首を絞め上げる。
ウグッと声をあげ中に手を伸ばす黒人だったが意識が途絶え身体から力が抜ける。
...死んだのだ。
銃を死体から取り上げ、弾を抜き捨てる。
そして銃を地面に落とし足で踏み壊す。
これでこの銃と弾は敵軍は使えません。
銃を私が使う事も出来ましたが晴人くんに人を殺して奪った何て言えませんからね。
死体に手を合わせると上原は晴人のいる店にに向かった。
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