無冠の皇帝

有喜多亜里

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【03】マクスウェルの悪魔たち(下)

09 合宿していました

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 宿直を始めて、今日で三日目。
 そして、明日が出撃予定日。
 改めて考えると、とんでもないスケジュールだが、今夜のセイルにはひそかな楽しみがあった。

 ――直接顔を合わせることは絶対にできなくても、遠くからこっそり様子を窺うことくらいはできるのではないか。

 しかし、そんなセイルのささやかな期待は、終業前のミーティング終了後に無残にも打ち砕かれた。

「……どうして皆帰らない?」

 この二日間、終業時刻から五分以内には待機室を後にしていたドレイク大佐隊の面々が、今夜に限って各所で談笑している。セイルが観察したかった人間も含めて何人か姿を消してはいるが、無人ではないことだけは確かだ。

「あー……俺も今日、初めて聞いたんですが……」

 たまたま近くを通りかかっただけか、それとも話しかけようとして近くに来ていたのか、グインが申し訳なさそうな顔をしてセイルを見上げた。

「俺ら整備は出撃前後は宿直って前から言われてたんですが、出撃前日は大佐と副官以外、みんなここに泊まりこむことにしてるんだそうです。いったん帰ってまた来るのが面倒くさいから」

 セイルは数秒経ってから、ようやくこれだけ言えた。

「何?」
「夕飯は昼のうちにケータリング予約しといたそうです。事故ったらまずいからって、スミスさんが今、バラードさんとディックさんとスターリングさんに取りに行かせました」
「ああ……その三人なら、万が一出撃できなくなっても、特に支障はないからな」

 何の悪気もなく、セイルはスミスの人選に感嘆した。さすが、肩書はなくてもリーダーだ。

「俺らはこれからドックに詰めて整備です。だから、その……すいませんが、班長、今夜の自主練はお休みしてもらえませんか?」

 さらに申し訳なさそうに眉尻を下げたグインを見下ろし、セイルはまた同じ言葉を呟いた。

「何?」
「いや、その……〈新型〉、二日前からずっと班長が使ってたじゃないですか。その間、まともに整備できなかったって、フォルカスが切れ……いえ、集中して整備したいって言ってるんです。整備中に整備以外の人間がドックにいると気が散るそうなんで、班長はみんなとここにいてください」
「ちょっと待て」

 逃げるように立ち去りかけたグインの右腕を、セイルはとっさにつかんだ。

「な……何でしょうか?」

 振り返ったグインの顔は、笑ってはいたが明らかに引きつっていた。その顔にあくまで真剣にセイルは問う。

「整備の人間なら、一緒にいても気は散らないのか?」

 グインはすぐには言われた意味がわからなかったようだ。しばらくぽかんとしていたが、はっと気づいて何度かうなずいた。

「はい、整備なんで」

 答えになっているようでなっていない。だが、それでセイルは納得し、グインから手を離した。

「そうか……整備ならいいのか……」
「ほんとは全部一人でやりたいみたいですけどね。背に腹は替えられないって割りきったみたいです。いくらまともじゃないでも、三隻もあったらさすがに……」

 セイルがあっさり引き下がったので気がゆるんだのか、こちらが訊かなかったことも口にする。その内容に興味を引かれたセイルは何気なく訊ねた。

「中身も〝まともじゃない〟のか?」
「はい。ブラックボックスだらけで、人間が整備できるのは全体の三分の一程度……ってフォルカスは言ってました」
「三分の一……」
「まあ、その三分の一もけっこうな量ですが」

 疲れたように笑ってから、グインは軽く頭を下げた。

「じゃあ俺、そろそろ行かないと。フォルカスに怒鳴……いや、怒られるんで」
「あ、ああ……引き止めてすまなかった」

 内心、自分も怒鳴……いや、怒られてみたいと思いながらそう言うと、グインは走って待機室を出ていった。
 そういえば、ラスとウィルヘルムもこの待機室内にはいない。グインは自分への伝言役として残されたようだ。

(それほど、俺と直接話したくないか……!)

 思わず床に両手両膝をついて落ちこみたくなったが、とりあえず、同じ隊にはいる。訓練生二人を盾に使われて、なかなか顔は見られないが、まったく見られないわけでもない。今はそれで満足しよう。というか、満足しろ。
 セイルが必死で自分に言い聞かせていると、今いちばん彼のメンタルにダメージを与える間延びした声が背後から上がった。

「ごめんねー、六班長ー」

 振り向きたくないと反射的に思ったが、同じ軍艦の乗組員の一人で、おそらく司令塔となりうる人間である。ここで仲違いするのはまずい。セイルは理屈で感情を無理やり封じこめると、声がした方向をいやいや見た。

「俺も出撃前日は〝合宿〟するって、一昨日おとといの時点では知らなかったんだよー。あと、整備増えたら一人ではしないよねー。盲点盲点」

 とても謝罪しているとは思えない態度でオールディスが笑う。〝一昨日の時点では〟とわざわざ断るということは、それから現時点までの間に知っていたのだ。しかし、セイルには言わなかった。そのほうが面白いから。
 セイルのオールディスを見る目は自然と険しくなったが、彼の隣に立っていたラッセルは、同僚の代わりに申し訳ないと表情で謝っていた。確かに、あのスミスに〝俺の元同僚の中ではいちばんまとも〟と評されただけのことはある。彼だけは終始一貫、訓練も真面目にしていた。

「〝合宿〟はいいが……仮眠はどうするんだ?」

 なぜもっと早く教えてくれなかったのかと責めてみても、またいいようにおちょくられるだけだ。ゆえに、今日これから先のことをオールディスに訊ねると――今はラッセルがそばにいるから、いいかげんなことは言わないだろう――「ああ、そうそう」とさも今思い出したかのようにうなずいた。

「ここ、使ってない待機室、あと九部屋もあるだろ。宿直する隊員が六人しかいなかったときには、一人一部屋、仮眠室がわりに使ってたらしいよ。そうすると、中途加入した俺たちは、九人で三部屋使わなけりゃならない計算になるが、あんたの元部下の整備三人はん中で仮眠とるらしいから、六人で三部屋。でも、六班長は一人で一部屋使って。俺たちは五人で一部屋使うから」
「……本当に〝合宿〟だな」

 ついそう呟いてから、ふとオールディスの話の矛盾点に気づく。

「そういえば、一人宿直が免除されていると言っていたな。そうすると、俺たちが使える部屋は三部屋ではなく、二部屋になるんじゃないのか?」
「あ、そこ気づいちゃった?」

 オールディスは困ったように笑うと、セイルに近づいて耳打ちした。

「その免除されてる一人はね、今日みたいな〝合宿〟の日は、ある隊員の部屋に一緒に泊まるらしいよ。そこは見て見ぬふりをするのが、この隊の暗黙のルールだそうだ。……どこの隊にもあるだろ、そんなこと」
「……そうだな。よくあるな」

 自分の古巣のことを思い返し、素直に肯定する。はっきり言ってあの隊は暗黙のルールだらけだった。そのすべてを把握していたのは、ヴァラクでも自分でもなく、たぶんエリゴールだけだっただろう。

「そんなわけで六班長。うちのパシリたちが戻ってくるまで、そのへんに座って待っていようよ。どうせ今夜は自主練できないだろ?」
「……聞いていたのか?」

 とうとう我慢できずに目を眇めたが、やはりオールディスは笑って受け流した。

「いや、単純な推測。〝整備班〟がドックにいるんなら、あんた含めて誰もドックには入れないだろ?」

 言われてみればそのとおりだった。自意識過剰だったかと反省した矢先、さらっとオールディスが付け加える。

「でもまあ、さっきあんたがグインくんと話してたのは見てたよ。あんた、そのガタイにその顔だから、黙って立ってるだけでも目立つんだよね。そこいくと俺なんか、顔も中身も平凡だから、誰も注意を払わない。楽でいいよ、楽で」
「顔はともかく、中身は平凡じゃないだろ」

 苦々しくそう反論すると、オールディスは一瞬目を見張ったが、すぐに嬉しそうに笑い返した。

「面と向かってそう言われたのはあんたが初めてだ。〝変わり者〟とはよく言われたが」
「その時点でもう〝平凡〟じゃないだろ」

 うんざりしてセイルは嘆息する。オールディスと話していると、あのドレイクのほうがずっと〝まとも〟に思えてくる。マクスウェル大佐隊より品行方正とされていたウェーバー大佐隊にこんな男がいたとは。もっとも、だからこの隊に転属願を出したのかもしれないが。

「まあまあ。ここじゃ〝平凡じゃない〟のが〝平凡〟だから」

 まるでセイルの心を読んだようなことを言い、オールディスは手近な椅子に腰を下ろした。
 特に座席は決まっていないが、スミスを中心とする年長組、訓練生を中心とする年少組、そしてこのスミスの元同僚組と、使うテーブルは何となく分かれている。同じ軍艦に乗ることもあり、セイルはこのままなし崩しにスミスの元同僚組の中に組み入れられてしまいそうだった。

「悪いが、俺は自分のことを本来の意味で〝平凡〟だと思っている」

 オールディスのすぐ隣には座りたくなかったセイルは、彼の二つ左隣の椅子に腰かけた。が、視線を感じて顔を上げると、オールディスだけでなく、まだ立ったままのラッセルまで驚いたように自分を見ていた。

「何だ?」

 やはり座席一つ空けるのは大人げなかったかと反省しかけたとき、オールディスが呆れたように苦笑いした。

「いや、あんたのことだから、それ、謙遜とかじゃなくて、本気で言ってるね」
「謙遜?」

 ――意味がわからない。
 その感情がそのまま表情に出ていたのか、オールディスはさらに苦笑を深めた。

「いやいや。見かけによらず面白いね、六班長。大佐に気に入られたのもわかる気がする」

 今度は意味はわかったが、〝面白い〟にも〝大佐に気に入られた〟にも異論がある。しかし、セイルはそれよりも、以前からずっと気になっていたことを口に上らせた。

「その〝六班長〟なんだが、マクスウェル大佐隊出身者ならともかく、俺と同じ元班長のあんたたちまでそう呼ぶのはおかしくないか?」

 オールディスも隣のテーブルの椅子に腰を下ろしたラッセルも、また意表を突かれたような顔をする。が、オールディスはにやりと笑った。

「それは仕方ない。大佐にそう呼べって言われたから。上官命令だよ、上官命令」
「まあ、実を言うと、俺は抵抗があるが」

 今まで黙って二人の話を聞いていたラッセルが、複雑な表情をして口を挟む。

「俺もウェーバー大佐隊では〝六班長〟だった」
「それは抵抗あるな」

 セイルは真顔で共感した。そう言われてみれば、このラッセルには〝六班長〟と呼ばれたことはない気がする。かと言って、〝セイル〟と呼ばれたこともないのだが。

「今は抵抗あっても、そのうち慣れるさ。俺も最初は〝オールディスさん〟って呼ばれるのが気恥ずかしくてしょうがなかった」
「ああ、それはわかる」

 珍しく、ラッセルがオールディスに深く同意した。〝六班長〟のセイルには、同意したくても同意できない感覚だ。

「それも上官命令だからしょうがないが……」

 オールディスは微苦笑を浮かべると、腕組みをして椅子に寄りかかった。

「最近、大佐はここで〝実験〟してるんじゃないかって思うこともあるな」
「実験?」
「そう、実験。……〝軍隊らしさ〟を極力排除したほうが、戦闘能力は上がるんじゃないかっていう検証実験」

 今度はセイルとラッセルが言葉を失い、顔だけ平凡な男を凝視した。

「敬礼させない。階級を問わない。役職を与えない。それでこの隊はうまく回ってる。まあ、少人数なせいもあるだろうが、人間三人いれば派閥ができる。それがこの隊にはない。うちのディックがよくここを〝パラダイス〟なんて言ってるが、そういう意味でも〝パラダイス〟かもしれない。ドレイク大佐っていう唯一神が作った、戦うための〝パラダイス〟」

 淡々と話していたオールディスは、ここで唇の端を引き上げた。

「軍隊でも会社でも、人間関係のストレスはないほうが、実力発揮できるだろ?」
「まさか……そんな理由で」

 セイルは一笑に付したが、オールディスは意に介さなかった。

「まあ、今のはあくまで俺の勝手な臆測だが、この実験結果は見てみたい。ドレイク大佐にしかできないことだから余計にな。そのためには被験者にされるのもいたしかたない」
「ダーナ大佐の手助けをするために、ここに転属を希望したんじゃなかったのか?」

 非難するようにラッセルが言うと、オールディスはすまし顔で肩をすくめた。

「こう言っちゃ何だが、俺たち五人の中で今でも本気でそう考えてるのは、もうおまえだけだと思うぜ。何しろここ、〝パラダイス〟だから」

 オールディスがそう答えたとき、待機室の通路側の自動ドアが開き、にわかに騒がしくなった。

「スミス! 夕飯にしては多すぎるだろ、これ!」

 大きく膨れた白いポリ袋を両手に提げて叫んでいるのは、パシリ――いや、ディックだ。そのすぐ後ろから、あからさまにげんなりしているスターリングとバラードが、やはり大きなポリ袋を両手に持って現れる。

「お疲れ様でーす!」

 しかし、スミスが返答する前に、訓練生三人とティプトリーがすばやく駆け寄ってきて、年長者三人から笑顔で荷物を回収した。

「え……あ、ああ……」

 現金なもので、不満たらたらだった三人は、それであっけなく機嫌を直した。

「……あざといな」

 思わずセイルは呟いたが、オールディスとラッセルは冷ややかな眼差しをディックたちに向けていた。

「だが、あれがいちばん効果的だ。スミスに指示されたからじゃなくて、自分たちで計算してああしたとしたら、もっと空恐ろしいな」

 計算だったかどうかはともかく、年少組はポリ袋から手早く中身を取り出し、テーブルの上に並べはじめた。
 ディックがぼやいたように、確かに夕飯一食分にしては量が多い。と言うより、パーティ用のオードブルのようだ。

「バラード。カードと領収書」

 自分が〝お疲れ様〟と言っても喜ばれないと思ったのか、スミスはバラードに歩み寄ると、いきなり右手を突き出した。

「おまえ、一言くらいねぎらえよ」

 だが、バラードは言ってもらいたかったようだ。一言愚痴ってから隊のクレジットカードと領収書をスミスに手渡した。

「一言か。……まあ、事故らなくてよかった。それだけが心配だった」
「自分と同年代、年寄り扱いするな」
「年寄りだろうが若人わこうどだろうが、事故るときは事故る。車でも、でも」

 分別くさく答えると、スミスは待機室内を見回して、おもむろに宣言した。

「とりあえず、大佐からの伝言、そのまま伝える。『今日の夕飯は〝転属祝い・前編〟。〝後編〟は明日の戦闘終了後、また日を改めてします。そのときは俺も参加するからよろしくね』。以上」

 一瞬の沈黙の後、驚愕とも驚喜ともつかない声を上げたのは、転属組だけだった。
 年下の〝先輩〟たちは事前に知らされていたようで、スミス以外はしてやったりというような顔をしている。

「転属祝い!? よりにもよって出撃前日に!?」

 バラードには、まずそこが引っかかったらしい。

「大佐はまとめて済ますのが好きだからなあ。今夜は全員いるし、ちょうどいいやと思って、夕飯をパーティ仕様にしたんだろう」

 そう解説しながらも、内心呆れているのか、スミスは顔をしかめている。

「じゃあ、その〝前編〟ってのは何だ? 今日は大佐が参加できないからか?」

 ディックがそう言って首をひねったとき、ドック直通のドアから誰かが入室してきた。

「……えーと」

 グインだった。視線の集中砲火を浴びて、身動きがとれなくなってしまっている。

「あー、こっちこっち」

 そんなグインを、褐色の髪と紫色の瞳をした男――キメイスが苦笑いしながら手招く。
 エリゴールの部下だった彼をセイルは知ってはいたが、直接会って話したことは一度もなかった。実は今もない。セイルがこちらに来て言葉を交わした隊員は、グインたち整備三人組を別にすれば、スミスと元ウェーバー大佐隊の元班長五人だけである。言い換えれば、年寄り組――いや、元ウェーバー大佐隊員だけだ。
 正直言って、セイルのキメイスに対する認識は、この隊でフォルカスが(健全な意味で)いちばん親しくしている隊員らしい程度でしかない。キメイスに関する例の件はセイルも知ってはいるが、エリゴールは彼を切り捨てなかった。しかし、キメイスもまたここに転属されてよかったのだろう。今あんなに屈託なく笑っているのだから。

「これ、おまえらの分な。足りなかったらまた取りに来い」

 ほっとしたように駆け寄ってきたグインに、キメイスは大きなポリ袋を差し出した。

「ありがとうございます。でも、これも食えるかどうか微妙です」

 グインはぎごちなく笑ってポリ袋を受け取ると、また走ってドックへと戻っていった。

「……あのように、今日は整備は参加できないから〝前編〟だそうだ」

 グインが去った後、先ほどのディックの疑問にスミスが答えた。

「あー、なるほど。そりゃ無理だ」
「でも、それなら〝前後編〟に分けなくても、戦闘終了後にまとめてしたほうがいいんじゃないのか?」
「いや、そもそも転属祝いって……内輪でならともかく、普通、隊の経費使ってしないだろ?」
「ここはするんだろ。普通じゃないから」
「文句言うなら食うな! 自腹で食ってこい!」

 スミスに一喝されて、オールディスとラッセル以外の元同僚たちは、ぴたっと口を閉じた。

「やっぱり、〝先輩〟にはかなわないよね」

 にやにやしながら小声で囁くオールディスに、バケツリレー方式で回ってきたコーヒー――そういう役割分担になっているのか、キメイスが保温ポットから注いでいた――を見つめながらセイルは訊ねた。

「これも大佐の〝実験〟の一つなのか?」
「たぶん。転属祝いっていう〝サプライズ〟に、整備にも気を遣ってますっていう〝アピール〟。〝後編〟には何をしてくれるのかな? 楽しみだ」
「〝前編〟には参加しないのも意味があるのか?」
「ああ、それは単なる自己都合だと思うよ。大佐は出撃前日には寝溜めするそうだから」

 セイルは一拍おいて、オールディスを見た。

「何?」
「大佐、睡眠不足に弱い上に、朝にも弱いそうでね。出撃の日だけは遅刻するわけにはいかないから、イルホンくんが自宅まで叩き起こしに行ってるそうだ」

 言ってもせんないことだとわかっていても、セイルはこう言わずにはいられなかった。

「いいのか? それで?」
「いいんじゃないの? この艦隊じゃ結果がすべて。低コスト・低リスクで〝全艦殲滅〟しつづけることができればそれでよし」

 オールディスが笑ってコップを掲げた。と、それに合わせたようにスミスが叫ぶ。

「祝いの言葉は〝後編〟で! とにかく、乾杯!」
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