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愛の方舟
3 恋人と友人と相棒
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最初、ウィルはエドが冗談を言っているのだと思った。
だが、しばらく無言で見つめ返しても、エドは今のは冗談だったと笑って取り消したりはしなかった。
「その……エドって……ゲイ?」
ためらいながら問い返すと、エドは真顔で不可解な回答をした。
「いや。最近、宗旨替えさせられたんだ」
「何それ?」
「あ、いや、何でもない。……別に、男なら誰でもいいってわけじゃない。おまえだから恋人になってほしいって言ってる。ここにいるのがおまえじゃなかったら、こんなことは絶対言わない」
――本当に?
まずウィルはそう思った。
ここには今、エドと自分の二人だけしか人間がいないから、火星――いや、エリンに着くまでの間だけ、恋人になってほしいと言っているのではないだろうか。
エドが自分のことを好きだというのは嘘ではないと思う。はっきり言葉にされなくても、そういうのは何となくわかってしまうものだ。
ウィルもエドのことは嫌いではない。むしろ好きだ。
しかし、自分のそれは、決して恋愛感情ではないとウィルは思っている。だって、エドと手をつないだりとか、キスをしたりとかしたいとは思わないし。
(いったい、何て答えたらいいんだろう?)
ウィルが必死で悩んでいる間、エドは返事をせかすこともなく、悠然とクッキーをかじり、紅茶を飲んでいた。
ようやくウィルが結論を出して、おそるおそるエドを見ると、彼はどうぞとでもいうように黙ってうなずいた。
「ごめん……これまでどおり、友達のままでいてくれないかな……?」
ウィルの返事を聞いた瞬間、エドは落胆したような表情を浮かべ、「そうか」と力なく呟いた。
「いや、俺、エドのことは好きだよ? 好きだけど、恋人というのとはまた別で……」
ウィルは申し訳なく思って目を伏せた。恋人は嫌だと思ったから断っただけで、自分は決して悪くはないはずなのだが。
「いいよ。普通はそうだよな。急にこんなことを言い出して悪かった。でも、頼むから、これから俺を避けたりはしないでくれるか? おまえが友達のままでいてくれって言うんなら、そのように付き合うから」
「う、うん……わかった」
そう承諾はしたものの、本当に自分がこれまでどおり友達として付き合えるかどうか、今から全然自信が持てなかった。
* * *
「告白するのは、時期尚早だったのではないのか?」
気まずそうにウィルがブリッジを出ていった後、エドは誰もいない空間に向かって責めるように言った。
【俺はそうは思わないね。いくら時期を遅らせようが、ウィルの返事は『お友達でいましょう』だ。それに、護衛なしのウィルなんて、レア中のレアだぞ。もしあの場にレオがいたら、絶対跳びかかられてる】
「しかし、これからウィルは確実に私たちを警戒するようになるだろう。せっかく心を開いてきたのに」
【馬鹿だな、MAC。この場合は『警戒する』じゃなくて『意識する』だ。ウィルが『友達でいてくれ』って言うまで、えらい時間がかかっただろ。あれは少しは俺に気がある証拠だ。ここに人間は二人しかいないんだ。嫌われてさえいなければ何とかなる】
「そういうものか?」
【そういうものさ。まあ、しばらくは様子を見てようぜ。あくまで〝お友達〟として】
* * *
ウィルがとぼとぼと自室の前に戻ると、自動ドアの内側でレオが騒ぎまくっていた。
昼寝から目覚めたら、ウィルがいなくなっていたのだ。きっとパニックに陥っているのだろう。それくらい、レオは常にウィルと一緒にいる。
身構えてドアを開けると、案の定、レオがウィルの胸めがけて飛びついてきた。子猫のような体型だが、キツネネコのジャンプ力はあなどれない。
「ごめんごめん。おまえを置きざりにしたわけじゃないんだよ」
責めるようにキューキュー鳴くレオを片手で抱えながら、ウィルは自室に入った。
キツネネコは滅多に声を出さないが――威嚇するときも無言だ――鳴き声は普通の猫とはまったく異なっていて、〝ニャーニャー〟ではなく〝キューキュー〟である。
「ただ、おまえがよく寝てたから、起こしたら悪いかなあと思って。でも、いま思えば、一緒に連れていけばよかったな……」
ウィルは備えつけのデスクにバスケットを置くと、レオを抱きかかえたまま、弾みをつけてベッドに腰を下ろした。
「どうしよう、レオ」
レオを両手で抱き上げて、ウィルは真剣に訴えた。
「俺、エドに恋人になってほしいって言われちまった」
キツネネコに〝恋人〟という概念まで理解できるかどうかはわからなかったが、レオは大きな緑色の瞳でウィルを見つめ返した。
「俺もエドのことは好きだけど、友達として好きなんだよ。だから、友達でいてくれって断ったんだけど……エドはそういう意味で、俺のこと好きなんだよな……」
この独り言――本人はレオと会話しているつもり――は、もちろんエドとMACには筒抜けになっている。ウィルは自分でも知らないうちに、自らが裏表のない人間であることを表明してしまっていた。
「俺、男に告白されたの、今日が生まれて初めてだよ……」
ウィルは困惑して呟くが、実はそれはその時々にいた、MAC並みに過保護な人間たちが、あるときは穏便に、あるときは露骨に、彼にその手の関心を持つ男たちを遠ざけてくれていたおかげだった。
だが、ウィル自身はそのことにまったく気づいていなかったし、MACもあえて彼に教えてはいなかった。ウィルが持つ特異な点とは、人間にも動物にも機械にさえも、異常に庇護欲を掻き立てさせるところかもしれない。
「なあ、レオ。俺、これからどうしたらいい? たぶん俺、平気なふりなんかできないよ……」
レオはもちろん何も答えなかったが、ウィルが顔を近づけると、まるで慰めるように鼻先をざらざらとした舌で舐めた。
* * *
艦内時間十七時三十五分。
結局、あれからベッドでレオと昼寝をしてしまったウィルは、ふと目を覚まして時刻に驚き、次に今日は食堂へ行きたくないなと思った。
夕食の時間は十八時。エドのことだから、きっともう厨房にいて、確実に中華料理以外のものを作っているはずだ。
(でも、自分を避けないでくれって言われちゃってるしな。こんなに気まずくなるくらいなら、いっそOKしちゃってたほうがよかったかな)
ついそう考えてしまってから、はっと我に返り、いやいやそれは駄目だと首を左右に振った。
(いくら人間が二人しかいないからって、流されちゃ駄目だ。男同士なんだぞ? たとえば、乗組員が誰も殺されてなくて、さっきみたいにエドに告白されたと仮定してみろ。俺、友達付き合いも嫌だって――)
目覚めてもいっこうに起き上がろうとしないウィルの顔を、レオが心配そうに覗きこんでいた。
そんなレオを両手でつかみ、自分の懐の中へと抱えこむ。
(駄目だ。言えない。他に人間がいたとしても、やっぱりエドと絶交なんかできない。たとえ恋人になってくれって言われても、俺はきっと、他の人間とよりエドと付き合いつづけたいって思っちまう。ほんとに俺、これからどうしよう。もうエドの顔、まともに見られそうにない……)
ウィルが何に悩んでいるのかはわからなかっただろうが――わかっていたら、たぶん暴れまくっていたはずだ――レオはウィルの腕の中で、ぬいぐるみのようにおとなしくしていた。
この小動物は、何もしゃべれなくても、その温かな体と柔らかな毛並みで、いつでもウィルを慰めてくれる。
もし、レオを助けていなかったら、乗組員全員が死んだ日に、ウィルは発狂していたかもしれない。
ウィルはレオを助けたことによって、逆にレオに救われたのかもしれなかった。
だが、しばらく無言で見つめ返しても、エドは今のは冗談だったと笑って取り消したりはしなかった。
「その……エドって……ゲイ?」
ためらいながら問い返すと、エドは真顔で不可解な回答をした。
「いや。最近、宗旨替えさせられたんだ」
「何それ?」
「あ、いや、何でもない。……別に、男なら誰でもいいってわけじゃない。おまえだから恋人になってほしいって言ってる。ここにいるのがおまえじゃなかったら、こんなことは絶対言わない」
――本当に?
まずウィルはそう思った。
ここには今、エドと自分の二人だけしか人間がいないから、火星――いや、エリンに着くまでの間だけ、恋人になってほしいと言っているのではないだろうか。
エドが自分のことを好きだというのは嘘ではないと思う。はっきり言葉にされなくても、そういうのは何となくわかってしまうものだ。
ウィルもエドのことは嫌いではない。むしろ好きだ。
しかし、自分のそれは、決して恋愛感情ではないとウィルは思っている。だって、エドと手をつないだりとか、キスをしたりとかしたいとは思わないし。
(いったい、何て答えたらいいんだろう?)
ウィルが必死で悩んでいる間、エドは返事をせかすこともなく、悠然とクッキーをかじり、紅茶を飲んでいた。
ようやくウィルが結論を出して、おそるおそるエドを見ると、彼はどうぞとでもいうように黙ってうなずいた。
「ごめん……これまでどおり、友達のままでいてくれないかな……?」
ウィルの返事を聞いた瞬間、エドは落胆したような表情を浮かべ、「そうか」と力なく呟いた。
「いや、俺、エドのことは好きだよ? 好きだけど、恋人というのとはまた別で……」
ウィルは申し訳なく思って目を伏せた。恋人は嫌だと思ったから断っただけで、自分は決して悪くはないはずなのだが。
「いいよ。普通はそうだよな。急にこんなことを言い出して悪かった。でも、頼むから、これから俺を避けたりはしないでくれるか? おまえが友達のままでいてくれって言うんなら、そのように付き合うから」
「う、うん……わかった」
そう承諾はしたものの、本当に自分がこれまでどおり友達として付き合えるかどうか、今から全然自信が持てなかった。
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「告白するのは、時期尚早だったのではないのか?」
気まずそうにウィルがブリッジを出ていった後、エドは誰もいない空間に向かって責めるように言った。
【俺はそうは思わないね。いくら時期を遅らせようが、ウィルの返事は『お友達でいましょう』だ。それに、護衛なしのウィルなんて、レア中のレアだぞ。もしあの場にレオがいたら、絶対跳びかかられてる】
「しかし、これからウィルは確実に私たちを警戒するようになるだろう。せっかく心を開いてきたのに」
【馬鹿だな、MAC。この場合は『警戒する』じゃなくて『意識する』だ。ウィルが『友達でいてくれ』って言うまで、えらい時間がかかっただろ。あれは少しは俺に気がある証拠だ。ここに人間は二人しかいないんだ。嫌われてさえいなければ何とかなる】
「そういうものか?」
【そういうものさ。まあ、しばらくは様子を見てようぜ。あくまで〝お友達〟として】
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ウィルがとぼとぼと自室の前に戻ると、自動ドアの内側でレオが騒ぎまくっていた。
昼寝から目覚めたら、ウィルがいなくなっていたのだ。きっとパニックに陥っているのだろう。それくらい、レオは常にウィルと一緒にいる。
身構えてドアを開けると、案の定、レオがウィルの胸めがけて飛びついてきた。子猫のような体型だが、キツネネコのジャンプ力はあなどれない。
「ごめんごめん。おまえを置きざりにしたわけじゃないんだよ」
責めるようにキューキュー鳴くレオを片手で抱えながら、ウィルは自室に入った。
キツネネコは滅多に声を出さないが――威嚇するときも無言だ――鳴き声は普通の猫とはまったく異なっていて、〝ニャーニャー〟ではなく〝キューキュー〟である。
「ただ、おまえがよく寝てたから、起こしたら悪いかなあと思って。でも、いま思えば、一緒に連れていけばよかったな……」
ウィルは備えつけのデスクにバスケットを置くと、レオを抱きかかえたまま、弾みをつけてベッドに腰を下ろした。
「どうしよう、レオ」
レオを両手で抱き上げて、ウィルは真剣に訴えた。
「俺、エドに恋人になってほしいって言われちまった」
キツネネコに〝恋人〟という概念まで理解できるかどうかはわからなかったが、レオは大きな緑色の瞳でウィルを見つめ返した。
「俺もエドのことは好きだけど、友達として好きなんだよ。だから、友達でいてくれって断ったんだけど……エドはそういう意味で、俺のこと好きなんだよな……」
この独り言――本人はレオと会話しているつもり――は、もちろんエドとMACには筒抜けになっている。ウィルは自分でも知らないうちに、自らが裏表のない人間であることを表明してしまっていた。
「俺、男に告白されたの、今日が生まれて初めてだよ……」
ウィルは困惑して呟くが、実はそれはその時々にいた、MAC並みに過保護な人間たちが、あるときは穏便に、あるときは露骨に、彼にその手の関心を持つ男たちを遠ざけてくれていたおかげだった。
だが、ウィル自身はそのことにまったく気づいていなかったし、MACもあえて彼に教えてはいなかった。ウィルが持つ特異な点とは、人間にも動物にも機械にさえも、異常に庇護欲を掻き立てさせるところかもしれない。
「なあ、レオ。俺、これからどうしたらいい? たぶん俺、平気なふりなんかできないよ……」
レオはもちろん何も答えなかったが、ウィルが顔を近づけると、まるで慰めるように鼻先をざらざらとした舌で舐めた。
* * *
艦内時間十七時三十五分。
結局、あれからベッドでレオと昼寝をしてしまったウィルは、ふと目を覚まして時刻に驚き、次に今日は食堂へ行きたくないなと思った。
夕食の時間は十八時。エドのことだから、きっともう厨房にいて、確実に中華料理以外のものを作っているはずだ。
(でも、自分を避けないでくれって言われちゃってるしな。こんなに気まずくなるくらいなら、いっそOKしちゃってたほうがよかったかな)
ついそう考えてしまってから、はっと我に返り、いやいやそれは駄目だと首を左右に振った。
(いくら人間が二人しかいないからって、流されちゃ駄目だ。男同士なんだぞ? たとえば、乗組員が誰も殺されてなくて、さっきみたいにエドに告白されたと仮定してみろ。俺、友達付き合いも嫌だって――)
目覚めてもいっこうに起き上がろうとしないウィルの顔を、レオが心配そうに覗きこんでいた。
そんなレオを両手でつかみ、自分の懐の中へと抱えこむ。
(駄目だ。言えない。他に人間がいたとしても、やっぱりエドと絶交なんかできない。たとえ恋人になってくれって言われても、俺はきっと、他の人間とよりエドと付き合いつづけたいって思っちまう。ほんとに俺、これからどうしよう。もうエドの顔、まともに見られそうにない……)
ウィルが何に悩んでいるのかはわからなかっただろうが――わかっていたら、たぶん暴れまくっていたはずだ――レオはウィルの腕の中で、ぬいぐるみのようにおとなしくしていた。
この小動物は、何もしゃべれなくても、その温かな体と柔らかな毛並みで、いつでもウィルを慰めてくれる。
もし、レオを助けていなかったら、乗組員全員が死んだ日に、ウィルは発狂していたかもしれない。
ウィルはレオを助けたことによって、逆にレオに救われたのかもしれなかった。
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