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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

08【引っ越しついでに演習編05】元ウェーバー大佐隊的作戦会議

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【元ウェーバー大佐隊・ミーティング室】

フィリップス
「結局、あの男前の正体は明かしてくれなかったな」

七班長・カットナー
「まったくですよ! 今日は紹介してくれるだろうと期待してたら、チンピラと人外紹介されるし!」

フィリップス
「チンピラと人外……」

一班長・ハワード
「もしかして……〝チンピラ〟が十一班長で、〝人外〟が十二班長か?」

五班長・ロング
「悔しいが的確! 変態のくせに!」

フィリップス
「申し訳ないが……本当にそのとおりだな」

一班長・ハワード
「その男前っていうのは、今日、大佐の執務室の前に立ってた護衛のことか? 背の高い、金髪の?」

フィリップス
「そう、その男前」

一班長・ハワード
「確かにまあ、男前ではあったな。一瞬、マネキンかと思った」

七班長・カットナー
「フィリップス副長、会ってたんですか? じゃあ、名前訊いてくれればよかったのに!」

フィリップス
「あのときは、班長の介添えで手一杯だったんだよ」

七班長・カットナー
「介添えですか。それなら仕方ないですね」

一班長・ハワード
「介添え言うな。そして、それで納得するな」

八班長・ブロック
「……思ったんですけど、あんなに男前だったら、自宅待機してる元マクスウェル大佐隊員は知ってるんじゃないですか?」

ブロック以外全員
「それだ!」

七班長・カットナー
「よし! じゃあ、あの男前の写真添付して、元マクスウェル大佐隊員にメールしてみる!」

八班長・ブロック
「え? 何でおまえ、そんな写真持ってるんだ?」

七班長・カットナー
「防犯カメラにたまたま映ってた」

五班長・ロング
「たまたま映っていたとして、どうしてその画像を持っている、この変態が!」

七班長・カットナー
「やだなー、たまたま持っていただけですよ、はい送信!」

六班長・ラムレイ
「元マクスウェル大佐隊員とメアド交換してたのか……」

七班長・カットナー
「この隊員は美形だったんだ」

六班長・ラムレイ
「おまえ……その隊員とはどういう……」

七班長・カットナー
「どういうって……あ、もう返事が来た」

六班長・ラムレイ
「早いな!」

七班長・カットナー
「ええと……〝エリゴール中佐〟だそうです。〝四班長〟で……〝人切り班長〟……?」

フィリップス
「え……あの男前、刃傷沙汰起こしてるのか?」

五班長・ロング
「……そういや、元マクスウェル大佐隊員から聞いたことあったな。あそこのナンバー1は七班長で、ナンバー2は六班長と四班長だったって。特に四班長は、自分たちの足を引っ張る隊員をあの手この手で辞めさせるから、隊員中に恐れられていたんだと。で、ついたあだ名が〝人切り班長〟……」

四班長・ワンドレイ
「おまえ……そんな重要な話、どうして今まで黙って……!」

五班長・ロング
「〝四班長〟って言われて、いま急に思い出したんだよ!」

一班長・ハワード
「まずい……あのマクスウェル大佐隊でそんなことができた男なら、うちの奴らなんか滅多切りだ!」

フィリップス
「あんたは〝弱腰班長〟だな」

三班長・プライス
「うん? でも、その四班長、結局は七班長に元マクスウェル大佐隊を追い出されて、パラディン大佐のところに来たんだろ? 何か、哀れだ……」

四班長・ワンドレイ
「同情するな! そんな危険な男が今、パラディン大佐の護衛をしてるんだぞ!」

一班長・ハワード
「考えようによっては、護衛にうってつけだと思うが」

四班長・ワンドレイ
「え?」

フィリップス
「そうだよな。どんな手を使ってでも、大佐を守ってくれそうだ」

四班長・ワンドレイ
「おまえら……それでいいのか? 〝四班長〟がいたら、大佐に声もかけられないぞ?」

フィリップス
「声くらいかけられるだろ。TPOをわきまえれば」

七班長・カットナー
「うちの隊に若くて美形な〝大佐〟がいる。それだけでもう幸せ」

五班長・ロング
「ドレイク大佐んとこに行ったラッセルが言ってたが、ほんとに〝ジジイはもうたくさんだ〟」

一班長・ハワード
「……俺たち、何の話し合いをしてたんだっけな?」

フィリップス
「明日の演習の作戦会議だろ?」

三班長・プライス
「ああ、途中で護衛艦二十隻が砲撃艦一〇〇隻にどうやって勝つんだって話になって」

二班長・キャンベル
「それで、十一班と十二班の話になって」

フィリップス
「それから、男前――〝四班長〟の話になって」

一班長・ハワード
「……俺たちは戦う前からすでに負けているかもしれない」

三班長・プライス
「今なら、アルスター大佐隊にだけは勝てる自信があるな!」

四班長・ワンドレイ
「ああ! 〝大佐〟対決なら圧勝だ!」

一班長・ハワード
「うちはいつからこんな馬鹿ばっかりに……」

フィリップス
「パラディン大佐が来てからだよ。ほんとはわかってんだろ、パラディン大佐隊所属一班長」
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