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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
43【悪魔の居場所編08】パラディン大佐争奪戦・追加
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【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
通信士
「班長、〈オートクレール〉から映像通信が入っています」
ハワード
「……出たくない……」
フィリップス
「何を子供みたいなことを……かまわん。つなげ」
通信士
「了解」
ハワード
「俺は了解してないぞ」
パラディン
『一班長、お疲れ様。今回の〝結果〟は残念だったね』
ハワード
「……はい。我々も忸怩たる思いでいっぱいです……」
パラディン
『それでも、いちばん長く私の軍艦を守れたのは君たち一班だ。だから、実戦のときは君たちの班の中に入れさせてもらおうと思っていたのだが……先ほど、十一班のエリゴール中佐から〝再戦〟の申し出があった』
ハワード
「再戦?」
パラディン
『君たち一班と、今度は立場を入れ替えて再戦したいそうだ。つまり、今度は彼らが私の軍艦を守り、君たちが撃つ。十一班と十二班、どちらが出るのかはまだ確定していないが、おそらく十一班だろう。君たちを〝十七分五十八秒〟で終了させた、あの十一班だ。
エリゴール中佐は、もし自分たちが三十分間守りきることができたら、次の実戦で自分たちの班も出撃させてほしいと言っている。当然、私の軍艦は彼らの班の中に入ることになり、君たちの班は一つ〝留守番〟に回ることになる。
ただし、私は君たちに強制はしない。昨日、今回は入れ替えはしないと言ったのだから、君たちが〝やらない〟と言えば、このままこの訓練を終了させる。……どうする? 一班長。〝元アルスター大佐隊第二分隊分隊長〟としての決断は?』
ハワード
「……もちろん、こちらも〝再戦〟を強く希望いたします」
パラディン
『君なら受けて立つと思っていたよ。私も〝結果〟はともかく、この再戦はぜひ見てみたい。君たちもいろいろ準備があるだろうから、少し時間を置く。場所と開始時刻は決まりしだい連絡するよ。それではまた』
***
フィリップス
「とうとう出てきたな。パラディン大佐親衛隊、たぶん隊長・エリゴール中佐!」
ハワード
「こちらのあまりの不甲斐なさに、これ以上黙って見ていられなくなったんだろう。気持ちはよくわかる」
フィリップス
「親衛隊長の気持ちをわかるなよ。パラディン大佐隊一班長としての意地はないのか?」
ハワード
「意地も何も、この体たらくではな。親衛隊長としては不安すぎて、とても俺たちに大佐を任せる気にはなれないだろう。俺も親衛隊長だったらなれない」
フィリップス
「まさか、本気で親衛隊に入りたいとか考えてるんじゃないだろうな?」
ハワード
「入りたいが、もう入隊は締めきられてるだろうな……」
フィリップス
「どこまで本気だ?」
ハワード
「だから、せめて〝準親衛隊〟と認められるくらいのレベルにはなりたい。そのためには今回の〝再戦〟は絶好の機会だ。初めて親衛隊と同条件で戦える」
フィリップス
「同条件?」
ハワード
「俺たちは、これまで二回、演習をしてきたが、そのどちらも最初に〈オートクレール〉ありきで、本当の意味では親衛隊とは戦っていなかった。だが、これからする〝再戦〟では、親衛隊も俺たちと同じことをする。俺たちとあいつらの違いが、これではっきりわかるだろう」
フィリップス
「違いね……まず軍艦の種類からして違うな」
ハワード
「ああ、あれはあいつらのポリシーなんだと思うことにした」
フィリップス
「ポリシー?」
ハワード
「自分たちはあくまで大佐の護衛。砲撃に戻ったわけじゃない」
フィリップス
「……さすが親衛隊入隊希望者。いかにも親衛隊長が言いそうだ」
ハワード
「親衛隊なら、おまえが言ったとおり、〈オートクレール〉を撤退させて時間稼ぎをする作戦をとると思う。だが、今回はその作戦をとるだろうか?」
フィリップス
「まさか、あえてうちの〝凡人作戦〟をとるのか? あれでうちは全戦全敗したのに?」
ハワード
「だからだ。あえて同じ作戦をとって勝ってみせて、俺たちとの差を徹底的に見せつける。……出撃権をかけて挑戦状を叩きつけてきた親衛隊長なら、いかにもしそうなことだろう?」
フィリップス
「……班長、心だけならもう親衛隊長になれそうだぞ」
ハワード
「心だけならな。でも、頭もなくちゃ真の親衛隊長にはなれない。……十一班か。〝速攻〟のイメージしかないな。正直、十一班のほうを出してくるとは思わなかった」
フィリップス
「まだ決定じゃないんだろ?」
ハワード
「大佐も言ってたが、俺も十一班だと思う。俺たちを終了させた十一班と〝再戦〟してまた負けたほうが、より屈辱的な思いをさせられるからな」
フィリップス
「……本当に、心だけは親衛隊長」
ハワード
「だが、速攻が得意な班が、いったいどうやって三十分間も〈オートクレール〉を守りつづける? まさか、速攻でうちの班を〝全艦殲滅〟するつもりか?」
フィリップス
「そんな馬鹿なと言いたいところだが、あそこならやっちまいそうだ」
ハワード
「〝凡人作戦〟をとりつつ速攻か。その時点でもう〝凡人〟じゃなくなってるな」
フィリップス
「で? うちはどうする? 〝凡人作戦〟の破り方なら親衛隊が嫌というほど実演してみせてくれたが、その十一班の速攻が、いちばん短時間で片をつけられる」
ハワード
「それはそうだが……今、うちの班にあれだけの速攻ができると思うか?」
フィリップス
「そうか。いちばん基本的で重要なことをうっかり忘れていた。じゃあ、うちの班が得意な攻撃は何だ?」
ハワード
「……やっぱり、俺たちは凡人だよな……」
フィリップス
「遠い目をして笑うなよ……泣きたくなってくるだろ……」
ハワード
「現時点で、うちが何とか真似られそうなのは、十二班のほうの、上下を分けて左右から攻撃する方法だな。オーソドックスで時間は多少かかるが、撤退しない相手なら確実に潰せる」
フィリップス
「あれは何だ……〝囲いこみ〟?」
ハワード
「速攻は悔しいが、あれは恐ろしい……気づいたときには追いつめられて、〈オートクレール〉を撃たれている……」
フィリップス
「あれをパクるのか?」
ハワード
「それほどオリジナリティのある攻撃だとは思わないが……まあ、そうなるな」
フィリップス
「……得意技、欲しいな」
ハワード
「きっと、それがあったら俺たちは〝第二分隊〟にはならなかったんだろうな……」
通信士
「班長、〈オートクレール〉から映像通信が入っています」
ハワード
「……出たくない……」
フィリップス
「何を子供みたいなことを……かまわん。つなげ」
通信士
「了解」
ハワード
「俺は了解してないぞ」
パラディン
『一班長、お疲れ様。今回の〝結果〟は残念だったね』
ハワード
「……はい。我々も忸怩たる思いでいっぱいです……」
パラディン
『それでも、いちばん長く私の軍艦を守れたのは君たち一班だ。だから、実戦のときは君たちの班の中に入れさせてもらおうと思っていたのだが……先ほど、十一班のエリゴール中佐から〝再戦〟の申し出があった』
ハワード
「再戦?」
パラディン
『君たち一班と、今度は立場を入れ替えて再戦したいそうだ。つまり、今度は彼らが私の軍艦を守り、君たちが撃つ。十一班と十二班、どちらが出るのかはまだ確定していないが、おそらく十一班だろう。君たちを〝十七分五十八秒〟で終了させた、あの十一班だ。
エリゴール中佐は、もし自分たちが三十分間守りきることができたら、次の実戦で自分たちの班も出撃させてほしいと言っている。当然、私の軍艦は彼らの班の中に入ることになり、君たちの班は一つ〝留守番〟に回ることになる。
ただし、私は君たちに強制はしない。昨日、今回は入れ替えはしないと言ったのだから、君たちが〝やらない〟と言えば、このままこの訓練を終了させる。……どうする? 一班長。〝元アルスター大佐隊第二分隊分隊長〟としての決断は?』
ハワード
「……もちろん、こちらも〝再戦〟を強く希望いたします」
パラディン
『君なら受けて立つと思っていたよ。私も〝結果〟はともかく、この再戦はぜひ見てみたい。君たちもいろいろ準備があるだろうから、少し時間を置く。場所と開始時刻は決まりしだい連絡するよ。それではまた』
***
フィリップス
「とうとう出てきたな。パラディン大佐親衛隊、たぶん隊長・エリゴール中佐!」
ハワード
「こちらのあまりの不甲斐なさに、これ以上黙って見ていられなくなったんだろう。気持ちはよくわかる」
フィリップス
「親衛隊長の気持ちをわかるなよ。パラディン大佐隊一班長としての意地はないのか?」
ハワード
「意地も何も、この体たらくではな。親衛隊長としては不安すぎて、とても俺たちに大佐を任せる気にはなれないだろう。俺も親衛隊長だったらなれない」
フィリップス
「まさか、本気で親衛隊に入りたいとか考えてるんじゃないだろうな?」
ハワード
「入りたいが、もう入隊は締めきられてるだろうな……」
フィリップス
「どこまで本気だ?」
ハワード
「だから、せめて〝準親衛隊〟と認められるくらいのレベルにはなりたい。そのためには今回の〝再戦〟は絶好の機会だ。初めて親衛隊と同条件で戦える」
フィリップス
「同条件?」
ハワード
「俺たちは、これまで二回、演習をしてきたが、そのどちらも最初に〈オートクレール〉ありきで、本当の意味では親衛隊とは戦っていなかった。だが、これからする〝再戦〟では、親衛隊も俺たちと同じことをする。俺たちとあいつらの違いが、これではっきりわかるだろう」
フィリップス
「違いね……まず軍艦の種類からして違うな」
ハワード
「ああ、あれはあいつらのポリシーなんだと思うことにした」
フィリップス
「ポリシー?」
ハワード
「自分たちはあくまで大佐の護衛。砲撃に戻ったわけじゃない」
フィリップス
「……さすが親衛隊入隊希望者。いかにも親衛隊長が言いそうだ」
ハワード
「親衛隊なら、おまえが言ったとおり、〈オートクレール〉を撤退させて時間稼ぎをする作戦をとると思う。だが、今回はその作戦をとるだろうか?」
フィリップス
「まさか、あえてうちの〝凡人作戦〟をとるのか? あれでうちは全戦全敗したのに?」
ハワード
「だからだ。あえて同じ作戦をとって勝ってみせて、俺たちとの差を徹底的に見せつける。……出撃権をかけて挑戦状を叩きつけてきた親衛隊長なら、いかにもしそうなことだろう?」
フィリップス
「……班長、心だけならもう親衛隊長になれそうだぞ」
ハワード
「心だけならな。でも、頭もなくちゃ真の親衛隊長にはなれない。……十一班か。〝速攻〟のイメージしかないな。正直、十一班のほうを出してくるとは思わなかった」
フィリップス
「まだ決定じゃないんだろ?」
ハワード
「大佐も言ってたが、俺も十一班だと思う。俺たちを終了させた十一班と〝再戦〟してまた負けたほうが、より屈辱的な思いをさせられるからな」
フィリップス
「……本当に、心だけは親衛隊長」
ハワード
「だが、速攻が得意な班が、いったいどうやって三十分間も〈オートクレール〉を守りつづける? まさか、速攻でうちの班を〝全艦殲滅〟するつもりか?」
フィリップス
「そんな馬鹿なと言いたいところだが、あそこならやっちまいそうだ」
ハワード
「〝凡人作戦〟をとりつつ速攻か。その時点でもう〝凡人〟じゃなくなってるな」
フィリップス
「で? うちはどうする? 〝凡人作戦〟の破り方なら親衛隊が嫌というほど実演してみせてくれたが、その十一班の速攻が、いちばん短時間で片をつけられる」
ハワード
「それはそうだが……今、うちの班にあれだけの速攻ができると思うか?」
フィリップス
「そうか。いちばん基本的で重要なことをうっかり忘れていた。じゃあ、うちの班が得意な攻撃は何だ?」
ハワード
「……やっぱり、俺たちは凡人だよな……」
フィリップス
「遠い目をして笑うなよ……泣きたくなってくるだろ……」
ハワード
「現時点で、うちが何とか真似られそうなのは、十二班のほうの、上下を分けて左右から攻撃する方法だな。オーソドックスで時間は多少かかるが、撤退しない相手なら確実に潰せる」
フィリップス
「あれは何だ……〝囲いこみ〟?」
ハワード
「速攻は悔しいが、あれは恐ろしい……気づいたときには追いつめられて、〈オートクレール〉を撃たれている……」
フィリップス
「あれをパクるのか?」
ハワード
「それほどオリジナリティのある攻撃だとは思わないが……まあ、そうなるな」
フィリップス
「……得意技、欲しいな」
ハワード
「きっと、それがあったら俺たちは〝第二分隊〟にはならなかったんだろうな……」
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