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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

127【交換ついでに合同演習編32】訓練一日目:コント・一班と護衛隊プラス六班

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【パラディン大佐隊・ミーティング室】

フィリップス
「……きっと、大佐を先に帰らせに行ったんだな、元四班長」

一班長・ハワード
「ああ……この分だと、この打ち合わせ、本当にいつ終わりにできるかわからないからな」

フィリップス
「本来なら、訓練結果報告するのもこの打ち合わせ仕切るのも、おとっつぁんの仕事なんだけどな」

一班長・ハワード
「実質、元四班長が訓練の指揮官で、おまけに〝護衛隊長〟だし」

十一班長・ロノウェ
「一班はもう割りきってるな」

フィリップス
「うちは元四班長に来てもらえて、本当に助かってるよ。元四班長を追い出してくれてありがとう!」

十一班長・ロノウェ
「追い出してねえ! 一班は裏事情全部知ってんだろ!」

六班長・ラムレイ
「あのー、すみません。俺も交ぜてもらっていいですか?」

十一班長・ロノウェ
「おお、六班。何だこの列、〝先生〟三人もいるのか」

十二班長・ザボエス
「おまえは〝偽先生〟だろうが」

フィリップス
「とにかく、三班が〝レフト〟と〝ライト〟、どっちのチームに入るか! それでもう勝敗は決まってしまう!」

十二班長・ザボエス
「確かに! 三班が敵チームに回ったら、絶対勝てっこねえ!」

六班長・ラムレイ
「三班がいる三列目は、順不同で二班・七班・八班・三班でしたっけ。でも、たぶんこの列は、元四班長が帰ってこないと配置を決められないんじゃないですか?」

十一班長・ロノウェ
「それもそうだ。でも、このままただエリゴールの帰りを待ってるわけにもいかねえ。……駄目だ、俺じゃもう手に負えねえ。レラージュを呼ぶ」

 ロノウェ、上着から携帯電話を取り出す。

他の列の班長たち
「ええっ!?」

十一班長・ロノウェ
「……何で他の列までこっち見てんだよ」

十二班長・ザボエス
「聞き耳立ててたからだろ」

十一班長・ロノウェ
「ただ、レラージュが素直に来てくれるかどうか……あいつ、人見知りするからな」

フィリップス
「え、人見知りするの!? あんなに堂々と六班にケンカ売れるのに!?」

十一班長・ロノウェ
「あのときは声だけだったからな。顔合わせると駄目なんだ」

フィリップス
「なるほど。だからいつも〝護衛隊〟に護衛されてるのか」

十一班長・ロノウェ
「そのかわり、身内にはクソミソだ。……お、レラージュ。まだ待機室にいるか? 俺らはまだまだ終わりそうにねえ。今ここでチーム分けして、明日の訓練の作戦まで立てなきゃならなくなっちまった。とにかく、俺の脳みそじゃもうどうしようもねえから今すぐ来てくれ。……エリゴール? 今ちょっと出かけてて、いつ帰ってくるかはわからねえ。そのエリゴールも敵になるか味方になるかわからねえ複雑な状況なんだよ。……うん、そうだな、そうしろ。じゃあな」

フィリップス
「十一班長、何だって?」

十一班長・ロノウェ
「ああ……だから、何で他の列がこっち見てんだよ」

十二班長・ザボエス
「結果を知りたいからだろ」

十一班長・ロノウェ
「今すぐ車飛ばして来るってよ」

七班長・カットナー
「やったーっ!」

九班長・ビショップ
「レラージュ副長がここに来るーっ!」

十一班長・ロノウェ
「……あいつら、真面目に話し合いやってんのか?」

一班長・ハワード
「不真面目で申し訳ない。〝砲撃隊〟を代表してお詫びする」

六班長・ラムレイ
「えっ、ほんとに〝先生〟来るんですか! わっ、どうしよっ! 今〝飴ちゃん〟五個しか持ってない!」

フィリップス
「何かプレゼントしたいという気持ちはよくわかるが、今のは他の班にはものすごく嫌味だぞ。特にいまだに〝飴ちゃん〟ゼロの三班・四班・十班には」

四班長・ワンドレイ
「ちゃんとチェックしてるのかよ!」

フィリップス
「おまえらもまだこっちの会話盗み聞きしてんのかよ!」

十二班長・ザボエス
「ちなみに、うちもゼロだ。あんだけ〝盾〟になってやってもゼロだ」

フィリップス
「元四班長を追い出した元班長をかくまってるからじゃ……」

十二班長・ザボエス
「……そうか」

フィリップス
「え、それで納得しちゃうの?」

十一班長・ロノウェ
「畜生……エリゴールの奴、何でよりにもよって左右に分けるんだよ。これじゃ同じ列でも、必ずどっちかが負けてどっちかが勝つことになっちまうじゃねえか」

十二班長・ザボエス
「……それなら、勝った二班は負けた二班に〝飴ちゃん〟二個分けることにして、とりあえず、配置決めちまったらどうだ?」

フィリップス
「いかにも〝護衛隊〟的発想! でも、頭いい!」

六班長・ラムレイ
「なら、うちの列は、一班・十二班・十一班・うちでいいんじゃないんですか? 元四班長に言われたとおり」

十一班長・ロノウェ
「何で?」

六班長・ラムレイ
「うちの列だけ、タイム順じゃないでしょう。これは演習ではこうしてもらいたいっていう元四班長の希望なんじゃないですか?」

フィリップス
「順不同、順不同。バレバレでも順不同」

一班長・ハワード
「……まさか、そこまで計算して十二班をうちに!?」

フィリップス
「単なる偶然だと思いたいけど思えない! だって元四班長だもの!」

十二班長・ザボエス
「じゃあ、さっそく誓約書作っとくか。勝った班は負けた班に必ず〝飴ちゃん〟二個分けるって」

フィリップス
「そこまできっちりやるのか?」

十二班長・ザボエス
「口約束だと、勝った班にそんな約束したかってばっくれられるかもしれねえだろ」

フィリップス
「勝った二班のうち、一班は同じ〝護衛隊〟だぞ? 仲間を信用していないのか?」

十二班長・ザボエス
「〝飴ちゃん〟が絡んだら、人なんていくらでも変わる」

フィリップス
「十二班長……それほど〝飴ちゃん〟欲しいのか……」

六班長・ラムレイ
「でも、もしこの裏取引が元四班長にバレたりしたら、何か罰とかありますか?」

十二班長・ザボエス
「……ある」

フィリップス
「え、断言?」

十二班長・ザボエス
「あいつならする。絶対する。こんな裏取引されたら、褒美としての〝飴ちゃん〟の価値が下がっちまうからな」

フィリップス
「そんなこと言われたら、裏取引しにくくなる……」

十一班長・ロノウェ
「俺も……そうまでして〝飴ちゃん〟欲しいとは思わねえな……」

十二班長・ザボエス
「ケッ、たった三個でも〝飴ちゃん〟もらえた班は違うよな」

十一班長・ロノウェ
「うちは頑張ったから敢闘賞でもらえたんだよ」

十二班長・ザボエス
「頑張ったのはおまえ以外だろうが」

十一班長・ロノウェ
「俺は頑張って何も口出さなかった」

フィリップス
「〝護衛隊〟が仲間割れをしている……」

一班長・ハワード
「罪作りだな、〝飴ちゃん〟」

レラージュ
『……失礼いたします』

フィリップス
「ああ! この涼やかで伸びのある美しい声は!」

一班長・ハワード
「……誰だかもうわかってるよな?」

フィリップス
「わかってるけど言ってみたい。それがいわゆるひとつのお約束」
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