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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
184【交換ついでに合同演習編89】訓練二日目:十一班一号待機室の怪談
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【パラディン大佐隊・第十一班第一号待機室】
ロノウェ
「おーす」
班員たち
「うぃーす」
レラージュ
「……いったいどこの隊の一班に行ってきたんですか」
ロノウェ
「まあ、そう言うなよ。いろいろしてもらってて遅くなったんだ」
レラージュ
「いろいろ?」
ロノウェ
「ああ、あそこは泣きたくなるくらい親切だった。〝最初から縦〟のエキシビションのコピーはすぐにしてくれたし、〝移動しながら縦〟のエキシビション撮ってた十班以外の班も探し出してくれて、その映像のコピーも気前よくくれた」
レラージュ
「ほんとですか!?」
ロノウェ
「ああ、七班、八班、九班が撮ってた。一班も六班の他に撮影班が欲しいと思ってたから、その三班の中でおまえがいいと思った班があったら、撮影班にしてもいいってよ」
レラージュ
「俺が決められるんですか?」
ロノウェ
「……一班は寛大なんだよ」
レラージュ
「まあ、それはともかく、もらってきたのは今から全部見ます。……さっきまでメモリカード配りの練習してたうちの乗組員、もう帰してやってください」
ロノウェ
「え?」
班員A
「あ、副長! それは言わない約束……はしてなかった!」
ロノウェ
「何だおまえら、そんなことしてたのか。……どれくらいできるようになった?」
班員D
「え……これくらい?」
ロノウェ
「おお、六班レベルだ! 競技会出れるぞ!」
班員B
「そんな競技会あるんすか?」
ロノウェ
「……あったらいいな」
ロノウェ
「どうだった? 十班が撮ったのより、気に入ったのあったか?」
レラージュ
「三班とも、十班よりはうまく撮れてると思いますが」
ロノウェ
「おまえもそう思うか……」
レラージュ
「一班もそう言ってたんですか?」
ロノウェ
「一班長がな。フィリップス副長も口にはしなかったがそう思ってただろ」
レラージュ
「班長はどの班がいちばんましだと思いましたか?」
ロノウェ
「まし……まあ、九班だな。おまえは?」
レラージュ
「八班です」
ロノウェ
「ええっ!?」
レラージュ
「……どうしてそんなに驚くんですか?」
ロノウェ
「いや……何で八班なんだ?」
レラージュ
「別に九班でも七班でもいいんですが、八班のがいちばん臨場感があるように思えたので。八班は一班を中心に撮っているようですね。やはり隊の代表ですから、特別視しているんでしょうか」
ロノウェ
「……たったこれだけの映像で、何でそこまでわかるのかねえ……」
レラージュ
「本当はどうかわかりませんよ。やはり記録映像としては、六班が撮った〝最初から縦〟のほうが断然いいです」
ロノウェ
「確かにな……同じ編集なしでもずいぶん違うよな……」
レラージュ
「〝最初から縦〟のエキシビションは、編集する時間がなかったんでしょうか」
ロノウェ
「たぶんな」
レラージュ
「……やはり六班に〝移動しながら縦〟のエキシビションも撮ってもらいたかったです」
ロノウェ
「自分たちが出演してるのに、どうやって撮るんだよ」
レラージュ
「……確か、明日の八班は『連合』役でしたね。第二の撮影班になるためのテストだと言って、演習の撮影をするように一班を通して頼めませんか」
ロノウェ
「それはできるだろうが……退場させられたら終わりだぞ?」
レラージュ
「一隻でも生き残れば撮影は続けられます。八班は一班に命令されれば、意地でもやりとげようとするでしょう」
ロノウェ
「おまえ……ほんとによくわかるな」
レラージュ
「何がですか?」
ロノウェ
「八班長は一班が好きらしい」
レラージュ
「は?」
ロノウェ
「この映像も、八班が真っ先に一班の待機室に送信してきた。一班も八班長を馬鹿にしてるようでいて、実は評価してる。特にフィリップス副長がな。今日の対抗戦の後半で、〝レフト〟が〝ファイアー・ウォール〟縦二列にしてただろ。一班はサンドイッチ作戦って言ってたが、あれ考えたの八班長だそうだ」
レラージュ
「……よく採用しましたね……」
ロノウェ
「俺も同じこと言った。フィリップス副長によると、エリゴールのウケ狙いもあったが、アイデアとしては面白いと思って採用したそうだ。今でも捨てがたいと思ってるが、縦置きだから外側に迂回されるのが最大のネックだってぼやいてた。一班長には馬鹿馬鹿しすぎて実戦では使えないだろって一蹴されてたけどな」
レラージュ
「そんな話までしてたから、こんなに帰るのが遅くなったんですね」
ロノウェ
「一班長とフィリップス副長が、お笑いコンビみてえで面白かったんだ。ついでに、八班長が〝無旋回〟って呼ばれてる理由もわかったぞ」
レラージュ
「え? 八班長はそんな名前で呼ばれているんですか?」
ロノウェ
「あ、そうか。結局、今日も班長会議には出なかったから、おまえは知らないのか。……何でも、〝蛇〟の名前決めるとき、最初に八班長が〝無旋回〟って言ったからだそうだ。あれは全然旋回しないだろ。だから〝無旋回〟」
レラージュ
「……命名の仕方は単純ですが、いいところを突いてますね」
ロノウェ
「そういうとこがエリゴールにも気に入られてるんだろ。今日は〝炙り撃ち〟でエリゴールから〝飴ちゃん〟一個もらってた」
レラージュ
「〝炙り撃ち〟?」
ロノウェ
「護衛隊形〝縦走り〟で〝半身〟を後ろから撃つこと。エリゴールが〝卑怯撃ち〟も〝元四班長撃ち〟も全部〝背面撃ち〟って言ったんで、フィリップス副長が八班長に振ってひねり出させた」
レラージュ
「……班長たちは本当に会議をしてるんですか?」
ロノウェ
「少しはしてるぞ。ちなみに、八班長は〝悪党撃ち〟と〝解体撃ち〟も言ったが、それはエリゴールに却下された」
レラージュ
「俺だったら、その〝炙り撃ち〟も却下します」
ロノウェ
「そうかあ? 俺もいいと思ったがなあ。いかにも〝半身〟が尻尾から焼かれてる感じがして」
レラージュ
「なるほど。八班長は頭の回転だけは速いんですね」
ロノウェ
「あだ名は〝無旋回〟だけどな」
レラージュ
「他に、元四班長が気に入ってる班長っていますか?」
ロノウェ
「気に入ってるっていうか……いちばん便利に使われてるのが六班長だな」
レラージュ
「……確かに」
ロノウェ
「あとはやっぱり一班長かねえ……班長以外だったら、断トツでフィリップス副長だな」
レラージュ
「え、フィリップス副長ですか?」
ロノウェ
「おまえも昨日会ったからわかるだろ。愛敬があって親切で、一班長より機転がきく。エリゴールは会議中でも、この副長とよく話してる。まあ、くだらない話がほとんどだけどな」
レラージュ
「会議中でもくだらない話をするほど気に入ってるんですか」
ロノウェ
「……一班長がたぶん冗談だと思うがって前置きして言ってたがな。昨日、エリゴールがフィリップス副長のことを『本当にいい〝息子〟だな。俺の養子にしたいくらいだ』って言ってたそうだ」
レラージュ
「養子……!」
ロノウェ
「俺もそれ聞いたとき固まったが、当の本人はエリゴールの養子にならなってもいいなって笑ってた。『冗談に決まってるだろ』って」
レラージュ
「……元四班長は、今までその手の冗談は口にしたことありませんでしたよね……」
ロノウェ
「ああ……このコクマーじゃ、結婚の意味にもなるからな……」
レラージュ
「でも、一班長もフィリップス副長も、あくまで冗談だと思ってるんですね……」
ロノウェ
「俺も冗談だと思いてえが……ザボエスの奴も冗談だか本気だかわかんねえ発言してるそうだ」
レラージュ
「十二班長も?」
ロノウェ
「ああ。会議中はそんなそぶり、全然見せてなかったけどな。……あいつの班、延長戦で三班に全滅させられただろ。それでフィリップス副長が『役立たず』って罵ったら、腹立てるどころか喜び出して、今じゃ『役立たず』で返事するそうだ」
レラージュ
「え……?」
ロノウェ
「フィリップス副長に、ザボエスは本当に変態なのかって真顔で訊かれて、こっちが答えに困っちまった。しょうがねえから、今後はなるべく罵らねえで、それでも絡んでくるようだったらエリゴールに言えって言ったけどな」
レラージュ
「……そうですね。それがいちばん賢明な措置ですね。俺もフィリップス副長には好感持ってますが……そういう意味で魅力的な人ですか?」
ロノウェ
「さあ……俺にはわからねえが……」
レラージュ
「そうですか。……よかったです」
ロノウェ
「まさかとは思うが、エリゴールとザボエスが全面対決するようなことはねえよな?」
レラージュ
「フィリップス副長を巡ってですか? ……ないと思いたいです」
ロノウェ
「俺はあってほしくねえ……」
レラージュ
「ところで、この三班の映像、一班はどの班のがいいと言ったんですか?」
ロノウェ
「一班長は俺と同じ九班。フィリップス副長はおまえと同じ八班」
レラージュ
「……ああ、だから班長、さっきあんなに驚いたんですね」
ロノウェ
「フィリップス副長は『身びいきかもしれないけど』って言ってたけどな。八班長本人が撮ったわけじゃねえだろうが、何か感情の動きみてえなのを感じたそうだ」
レラージュ
「感情の動き?」
ロノウェ
「一班長には、結局八班長を馬鹿にしてねえかって言われてたが。……『あー〝魚〟になったー、かっこいいなー、みたいな』」
レラージュ
「なるほど。フィリップス副長にはわかったんですね」
ロノウェ
「おまえだってわかっただろうが」
レラージュ
「いや、俺はどういう感情かまではわかりませんでした。フィリップス副長が〝身びいき〟と言ったなら、きっと八班も身内を撮るつもりで撮ったんでしょう。何の下心もなく、ただ記録に残しておきたくて」
ロノウェ
「……まさか、八班長も……」
レラージュ
「八班長の場合は、一班長狙いという可能性もあります」
ロノウェ
「一班長狙い!?」
レラージュ
「一班のトップは、一応一班長でしょう」
ロノウェ
「そうか……どっちが本命なんだろうな?」
レラージュ
「そんなの知ってどうするんですか」
ロノウェ
「え、ここまできたら知りたくねえか?」
レラージュ
「いえ、別に知りたくありませんが」
ロノウェ
「どうすればわかるんだろうな……何かいい方法ねえかな」
レラージュ
「そんなくだらないことを考えてる暇があったら、早く帰って寝てください」
ロノウェ
「おーす」
班員たち
「うぃーす」
レラージュ
「……いったいどこの隊の一班に行ってきたんですか」
ロノウェ
「まあ、そう言うなよ。いろいろしてもらってて遅くなったんだ」
レラージュ
「いろいろ?」
ロノウェ
「ああ、あそこは泣きたくなるくらい親切だった。〝最初から縦〟のエキシビションのコピーはすぐにしてくれたし、〝移動しながら縦〟のエキシビション撮ってた十班以外の班も探し出してくれて、その映像のコピーも気前よくくれた」
レラージュ
「ほんとですか!?」
ロノウェ
「ああ、七班、八班、九班が撮ってた。一班も六班の他に撮影班が欲しいと思ってたから、その三班の中でおまえがいいと思った班があったら、撮影班にしてもいいってよ」
レラージュ
「俺が決められるんですか?」
ロノウェ
「……一班は寛大なんだよ」
レラージュ
「まあ、それはともかく、もらってきたのは今から全部見ます。……さっきまでメモリカード配りの練習してたうちの乗組員、もう帰してやってください」
ロノウェ
「え?」
班員A
「あ、副長! それは言わない約束……はしてなかった!」
ロノウェ
「何だおまえら、そんなことしてたのか。……どれくらいできるようになった?」
班員D
「え……これくらい?」
ロノウェ
「おお、六班レベルだ! 競技会出れるぞ!」
班員B
「そんな競技会あるんすか?」
ロノウェ
「……あったらいいな」
ロノウェ
「どうだった? 十班が撮ったのより、気に入ったのあったか?」
レラージュ
「三班とも、十班よりはうまく撮れてると思いますが」
ロノウェ
「おまえもそう思うか……」
レラージュ
「一班もそう言ってたんですか?」
ロノウェ
「一班長がな。フィリップス副長も口にはしなかったがそう思ってただろ」
レラージュ
「班長はどの班がいちばんましだと思いましたか?」
ロノウェ
「まし……まあ、九班だな。おまえは?」
レラージュ
「八班です」
ロノウェ
「ええっ!?」
レラージュ
「……どうしてそんなに驚くんですか?」
ロノウェ
「いや……何で八班なんだ?」
レラージュ
「別に九班でも七班でもいいんですが、八班のがいちばん臨場感があるように思えたので。八班は一班を中心に撮っているようですね。やはり隊の代表ですから、特別視しているんでしょうか」
ロノウェ
「……たったこれだけの映像で、何でそこまでわかるのかねえ……」
レラージュ
「本当はどうかわかりませんよ。やはり記録映像としては、六班が撮った〝最初から縦〟のほうが断然いいです」
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「確かにな……同じ編集なしでもずいぶん違うよな……」
レラージュ
「〝最初から縦〟のエキシビションは、編集する時間がなかったんでしょうか」
ロノウェ
「たぶんな」
レラージュ
「……やはり六班に〝移動しながら縦〟のエキシビションも撮ってもらいたかったです」
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「……確か、明日の八班は『連合』役でしたね。第二の撮影班になるためのテストだと言って、演習の撮影をするように一班を通して頼めませんか」
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「一隻でも生き残れば撮影は続けられます。八班は一班に命令されれば、意地でもやりとげようとするでしょう」
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「おまえ……ほんとによくわかるな」
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「何がですか?」
ロノウェ
「八班長は一班が好きらしい」
レラージュ
「は?」
ロノウェ
「この映像も、八班が真っ先に一班の待機室に送信してきた。一班も八班長を馬鹿にしてるようでいて、実は評価してる。特にフィリップス副長がな。今日の対抗戦の後半で、〝レフト〟が〝ファイアー・ウォール〟縦二列にしてただろ。一班はサンドイッチ作戦って言ってたが、あれ考えたの八班長だそうだ」
レラージュ
「……よく採用しましたね……」
ロノウェ
「俺も同じこと言った。フィリップス副長によると、エリゴールのウケ狙いもあったが、アイデアとしては面白いと思って採用したそうだ。今でも捨てがたいと思ってるが、縦置きだから外側に迂回されるのが最大のネックだってぼやいてた。一班長には馬鹿馬鹿しすぎて実戦では使えないだろって一蹴されてたけどな」
レラージュ
「そんな話までしてたから、こんなに帰るのが遅くなったんですね」
ロノウェ
「一班長とフィリップス副長が、お笑いコンビみてえで面白かったんだ。ついでに、八班長が〝無旋回〟って呼ばれてる理由もわかったぞ」
レラージュ
「え? 八班長はそんな名前で呼ばれているんですか?」
ロノウェ
「あ、そうか。結局、今日も班長会議には出なかったから、おまえは知らないのか。……何でも、〝蛇〟の名前決めるとき、最初に八班長が〝無旋回〟って言ったからだそうだ。あれは全然旋回しないだろ。だから〝無旋回〟」
レラージュ
「……命名の仕方は単純ですが、いいところを突いてますね」
ロノウェ
「そういうとこがエリゴールにも気に入られてるんだろ。今日は〝炙り撃ち〟でエリゴールから〝飴ちゃん〟一個もらってた」
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「〝炙り撃ち〟?」
ロノウェ
「護衛隊形〝縦走り〟で〝半身〟を後ろから撃つこと。エリゴールが〝卑怯撃ち〟も〝元四班長撃ち〟も全部〝背面撃ち〟って言ったんで、フィリップス副長が八班長に振ってひねり出させた」
レラージュ
「……班長たちは本当に会議をしてるんですか?」
ロノウェ
「少しはしてるぞ。ちなみに、八班長は〝悪党撃ち〟と〝解体撃ち〟も言ったが、それはエリゴールに却下された」
レラージュ
「俺だったら、その〝炙り撃ち〟も却下します」
ロノウェ
「そうかあ? 俺もいいと思ったがなあ。いかにも〝半身〟が尻尾から焼かれてる感じがして」
レラージュ
「なるほど。八班長は頭の回転だけは速いんですね」
ロノウェ
「あだ名は〝無旋回〟だけどな」
レラージュ
「他に、元四班長が気に入ってる班長っていますか?」
ロノウェ
「気に入ってるっていうか……いちばん便利に使われてるのが六班長だな」
レラージュ
「……確かに」
ロノウェ
「あとはやっぱり一班長かねえ……班長以外だったら、断トツでフィリップス副長だな」
レラージュ
「え、フィリップス副長ですか?」
ロノウェ
「おまえも昨日会ったからわかるだろ。愛敬があって親切で、一班長より機転がきく。エリゴールは会議中でも、この副長とよく話してる。まあ、くだらない話がほとんどだけどな」
レラージュ
「会議中でもくだらない話をするほど気に入ってるんですか」
ロノウェ
「……一班長がたぶん冗談だと思うがって前置きして言ってたがな。昨日、エリゴールがフィリップス副長のことを『本当にいい〝息子〟だな。俺の養子にしたいくらいだ』って言ってたそうだ」
レラージュ
「養子……!」
ロノウェ
「俺もそれ聞いたとき固まったが、当の本人はエリゴールの養子にならなってもいいなって笑ってた。『冗談に決まってるだろ』って」
レラージュ
「……元四班長は、今までその手の冗談は口にしたことありませんでしたよね……」
ロノウェ
「ああ……このコクマーじゃ、結婚の意味にもなるからな……」
レラージュ
「でも、一班長もフィリップス副長も、あくまで冗談だと思ってるんですね……」
ロノウェ
「俺も冗談だと思いてえが……ザボエスの奴も冗談だか本気だかわかんねえ発言してるそうだ」
レラージュ
「十二班長も?」
ロノウェ
「ああ。会議中はそんなそぶり、全然見せてなかったけどな。……あいつの班、延長戦で三班に全滅させられただろ。それでフィリップス副長が『役立たず』って罵ったら、腹立てるどころか喜び出して、今じゃ『役立たず』で返事するそうだ」
レラージュ
「え……?」
ロノウェ
「フィリップス副長に、ザボエスは本当に変態なのかって真顔で訊かれて、こっちが答えに困っちまった。しょうがねえから、今後はなるべく罵らねえで、それでも絡んでくるようだったらエリゴールに言えって言ったけどな」
レラージュ
「……そうですね。それがいちばん賢明な措置ですね。俺もフィリップス副長には好感持ってますが……そういう意味で魅力的な人ですか?」
ロノウェ
「さあ……俺にはわからねえが……」
レラージュ
「そうですか。……よかったです」
ロノウェ
「まさかとは思うが、エリゴールとザボエスが全面対決するようなことはねえよな?」
レラージュ
「フィリップス副長を巡ってですか? ……ないと思いたいです」
ロノウェ
「俺はあってほしくねえ……」
レラージュ
「ところで、この三班の映像、一班はどの班のがいいと言ったんですか?」
ロノウェ
「一班長は俺と同じ九班。フィリップス副長はおまえと同じ八班」
レラージュ
「……ああ、だから班長、さっきあんなに驚いたんですね」
ロノウェ
「フィリップス副長は『身びいきかもしれないけど』って言ってたけどな。八班長本人が撮ったわけじゃねえだろうが、何か感情の動きみてえなのを感じたそうだ」
レラージュ
「感情の動き?」
ロノウェ
「一班長には、結局八班長を馬鹿にしてねえかって言われてたが。……『あー〝魚〟になったー、かっこいいなー、みたいな』」
レラージュ
「なるほど。フィリップス副長にはわかったんですね」
ロノウェ
「おまえだってわかっただろうが」
レラージュ
「いや、俺はどういう感情かまではわかりませんでした。フィリップス副長が〝身びいき〟と言ったなら、きっと八班も身内を撮るつもりで撮ったんでしょう。何の下心もなく、ただ記録に残しておきたくて」
ロノウェ
「……まさか、八班長も……」
レラージュ
「八班長の場合は、一班長狙いという可能性もあります」
ロノウェ
「一班長狙い!?」
レラージュ
「一班のトップは、一応一班長でしょう」
ロノウェ
「そうか……どっちが本命なんだろうな?」
レラージュ
「そんなの知ってどうするんですか」
ロノウェ
「え、ここまできたら知りたくねえか?」
レラージュ
「いえ、別に知りたくありませんが」
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