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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
185【交換ついでに合同演習編90】訓練二日目:三班小会議室の密談
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【パラディン大佐隊・第三班小会議室】
副班長(第三班第六号艦長)
「班長……俺に話って何ですか?」
プライス
「すまん。おまえならわかってくれると思ってな。……俺はこの演習が終わったら、班長を辞めると同時に退役する」
副班長
「班長! いきなり何を……!」
プライス
「いきなりというわけでもない。アルスター大佐に班長に任命されたときから、どうして俺が班長なのかと自分自身納得できずにいた。今日、〝ペナルティ〟で元四班長に班長を替わってもらって、恥ずかしい話だが、内心ほっとした。今日だけは他の班から馬鹿にされなくて済むってな。班長が俺じゃなかったら、うちの班は〝移動しながら縦〟だってできるのに」
副班長
「班長……それは俺も同じです。でも、班長を辞めるのはもちろん、退役までしなくても……これから悪かった点を修正していけば……」
プライス
「だから、いちばん悪かった点を修正するんだ。……俺は班長でいちゃいけない。そもそも、最初から班長になっちゃいけなかった」
副班長
「でも、俺たちを任命したのはアルスター大佐……」
プライス
「おまえを前にして言うのも何だが、アルスター大佐は人を見る目がなかったな。あるいは、隊員名簿を見て適当に決めたのか。今は本気でそう思う」
副班長
「……今日、元四班長に、班長を辞めるように言われたんですか?」
プライス
「いや。元四班長は俺が指摘されたくなかったことを指摘しただけだ。いま思えば、だから俺は元四班長が怖かったんだな。案の定、元四班長は見抜いて言った。……俺が自己否定してたから、この班は〝班長不在〟状態でまとまれなかったんだと」
副班長
「班長……」
プライス
「元四班長は、どうしても班長職が重荷にしか思えないんだったら、一班長を通して大佐に解任してもらえとも言った。でも、一度自分から班長を辞めたら、まず班長には戻れない。役職上は戻れても、班員はもうついてこない。……当然だな。そんな無責任な班長、俺はごめんだと元四班長は言ったが、俺もそう思う。退役するのは俺の逃げだ。無責任な元班長としてここに居続けることは、さすがに俺も恥ずかしくてできない」
副班長
「でも、いま班長職を投げ出すのも無責任じゃありませんか? 誰でも班長を続けるうちにだんだん班長らしくなっていくもんでしょう? 元四班長は班長のプロみたいなもんです。そんな班長と比較しちゃ……」
プライス
「そうだな。俺はきっとこれから先、どれだけ班長を続けても、元四班長のようなプロにはなれない」
副班長
「班長!」
プライス
「無責任とおまえは言うが、班員にとっては、無能な班長に従いつづけなけりゃならないほうがずっと不幸だ。無能な上官がどれほど有害か、おまえもウェーバーで嫌というほど思い知っただろ」
副班長
「それなら……俺も副班長を辞めて退役します!」
プライス
「いや、おまえは辞めるな。辞めないで続けてくれ。パラディン大佐なら、今度こそ最適な班長を任命してくれると思うが、さすがにすぐには決められないだろう。それまで班のまとめ役が必要だ。……もしかしたら、おまえが繰り上げで班長になるかもしれないしな」
副班長
「そんな……俺には無理です……」
プライス
「……元四班長は、明日・明後日の演習だけは、あとで悔いが残らないように班長の自覚をもってやりぬけと言った。……不思議なもんだな。辞めることを決めたら、初めて前向きな気持ちになれた」
副班長
「班長……」
プライス
「わざわざ呼びつけておいてこんなことを言うのも勝手だが、今の話は俺の退役が決まっても、聞かなかったことにしておいてくれないか。……頼む」
副班長
「……元四班長が〝人切り班長〟だというのが、とてもよくわかりました……」
プライス
「〝人切り〟か。矛盾してるようだが、俺はむしろ元四班長に感謝してる。これ以上〝傷口〟が広がる前に、応急処置をしにきてくれた。今日、うちの軍艦の乗組員たちは、みんな口をそろえて夢のような一日だったと言ってたぞ。おまえもそう思わなかったか?」
副班長
「班長……どうして最初から諦めてしまうんですか……!」
プライス
「そこも含めて、俺には班長は向いていなかった。かといって、何なら向いていたのかもわからないがな。とにかく、明日・明後日の演習だけは、悔いが残らないようにやりぬいていく。俺の班長としての最後の仕事としてな」
副班長(第三班第六号艦長)
「班長……俺に話って何ですか?」
プライス
「すまん。おまえならわかってくれると思ってな。……俺はこの演習が終わったら、班長を辞めると同時に退役する」
副班長
「班長! いきなり何を……!」
プライス
「いきなりというわけでもない。アルスター大佐に班長に任命されたときから、どうして俺が班長なのかと自分自身納得できずにいた。今日、〝ペナルティ〟で元四班長に班長を替わってもらって、恥ずかしい話だが、内心ほっとした。今日だけは他の班から馬鹿にされなくて済むってな。班長が俺じゃなかったら、うちの班は〝移動しながら縦〟だってできるのに」
副班長
「班長……それは俺も同じです。でも、班長を辞めるのはもちろん、退役までしなくても……これから悪かった点を修正していけば……」
プライス
「だから、いちばん悪かった点を修正するんだ。……俺は班長でいちゃいけない。そもそも、最初から班長になっちゃいけなかった」
副班長
「でも、俺たちを任命したのはアルスター大佐……」
プライス
「おまえを前にして言うのも何だが、アルスター大佐は人を見る目がなかったな。あるいは、隊員名簿を見て適当に決めたのか。今は本気でそう思う」
副班長
「……今日、元四班長に、班長を辞めるように言われたんですか?」
プライス
「いや。元四班長は俺が指摘されたくなかったことを指摘しただけだ。いま思えば、だから俺は元四班長が怖かったんだな。案の定、元四班長は見抜いて言った。……俺が自己否定してたから、この班は〝班長不在〟状態でまとまれなかったんだと」
副班長
「班長……」
プライス
「元四班長は、どうしても班長職が重荷にしか思えないんだったら、一班長を通して大佐に解任してもらえとも言った。でも、一度自分から班長を辞めたら、まず班長には戻れない。役職上は戻れても、班員はもうついてこない。……当然だな。そんな無責任な班長、俺はごめんだと元四班長は言ったが、俺もそう思う。退役するのは俺の逃げだ。無責任な元班長としてここに居続けることは、さすがに俺も恥ずかしくてできない」
副班長
「でも、いま班長職を投げ出すのも無責任じゃありませんか? 誰でも班長を続けるうちにだんだん班長らしくなっていくもんでしょう? 元四班長は班長のプロみたいなもんです。そんな班長と比較しちゃ……」
プライス
「そうだな。俺はきっとこれから先、どれだけ班長を続けても、元四班長のようなプロにはなれない」
副班長
「班長!」
プライス
「無責任とおまえは言うが、班員にとっては、無能な班長に従いつづけなけりゃならないほうがずっと不幸だ。無能な上官がどれほど有害か、おまえもウェーバーで嫌というほど思い知っただろ」
副班長
「それなら……俺も副班長を辞めて退役します!」
プライス
「いや、おまえは辞めるな。辞めないで続けてくれ。パラディン大佐なら、今度こそ最適な班長を任命してくれると思うが、さすがにすぐには決められないだろう。それまで班のまとめ役が必要だ。……もしかしたら、おまえが繰り上げで班長になるかもしれないしな」
副班長
「そんな……俺には無理です……」
プライス
「……元四班長は、明日・明後日の演習だけは、あとで悔いが残らないように班長の自覚をもってやりぬけと言った。……不思議なもんだな。辞めることを決めたら、初めて前向きな気持ちになれた」
副班長
「班長……」
プライス
「わざわざ呼びつけておいてこんなことを言うのも勝手だが、今の話は俺の退役が決まっても、聞かなかったことにしておいてくれないか。……頼む」
副班長
「……元四班長が〝人切り班長〟だというのが、とてもよくわかりました……」
プライス
「〝人切り〟か。矛盾してるようだが、俺はむしろ元四班長に感謝してる。これ以上〝傷口〟が広がる前に、応急処置をしにきてくれた。今日、うちの軍艦の乗組員たちは、みんな口をそろえて夢のような一日だったと言ってたぞ。おまえもそう思わなかったか?」
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