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砲撃のパラディン大佐隊編(【06】の裏)
003【炎の七日間編03】0日目:少しだけ嘘つき
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【パラディン大佐隊・第一班第一号待機室】
元アルスター大佐隊の作戦説明室(第五軍港)から、パラディンの執務室(第四軍港)に戻ったパラディンたち。
そこでなんやかんや話した後、エリゴールは第一班の第一号待機室へと戻る。
第一号待機室では、ハワードとフィリップスがエリゴールの帰りを待っていた。
三人はいつもの席でコーヒーを飲む。
フィリップス
「訊きたいことがてんこもりで、何から訊いたらいいのかわからない……!」
ハワード
「とりあえず、ドレイク大佐が大佐と何を話したのかから訊いてみるか?」
エリゴール
「……まあ、いろいろ話していたが……本題は、元アルスター大佐隊を今後も後衛に置くのかどうかだったな」
フィリップス
「意外だな。ドレイク大佐がそれを気にするとは思わなかった」
エリゴール
「ああ。訊かれて俺たちも驚いた。でも、確かにそうなんだよな。アルスター大佐が〝栄転〟になった以上、うちも元アルスター大佐隊と連携しないわけにはいかない」
フィリップス
「で、それに元四班長は何て答えたんだ?」
エリゴール
「何で俺なんだよ。訊かれてたのはパラディン大佐だぞ?」
フィリップス
「そうだろうけど、大佐が元四班長の意向を無視して答えるとは思えない」
ハワード
「そうだよな。大佐ならドレイク大佐の前でも平気で元四班長に丸投げしてそうだ」
エリゴール
「……ひとまず、次回はまた前衛に戻すことにした」
フィリップス
「じゃあ、またあの背面攻撃をさせるのか?」
エリゴール
「それじゃ、アルスター大佐を〝栄転〟に追いこんだ意味がないだろ」
フィリップス
「うわあ。追いこんだってはっきり言っちゃった」
ハワード
「でもまあ、もう周知の事実だしな。……首謀者が誰かも」
エリゴール
「そういや、例の押し戻す方法をドレイク大佐に訊いてみたら、とんでもない方法を提案されたぞ」
フィリップス
「うーん。ここでドレイク大佐の名前を出しちゃうか」
ハワード
「さすが元四班長。俺たちにはとても真似できない」
フィリップス
「まあ、それは当たり前だから置いといて。ドレイク大佐は何て?」
エリゴール
「〝事実上実現不可能〟だと前置きはしていたが。……アルスター大佐隊の後ろに〈フラガラック〉を移動させるんだそうだ」
ハワード・フィリップス
「〈フラガラック〉を移動させる!?」
エリゴール
「ドレイク大佐いわく、『連合』は〈フラガラック〉一隻落とせればいい。〈フラガラック〉が移動すれば、当然、今度はそちらに向かって進軍する。でも、アルスター大佐隊は逃げられない。〈フラガラック〉の〝盾〟として、最後まで守りつづけなけりゃならない」
フィリップス
「言われてみればそのとおりだけど……ドレイク大佐、えげつなっ!」
ハワード
「でもまあ、『連合』の撤退命令を待つよりは現実的ではあるな。ドレイク大佐に頼まれたら、〈フラガラック〉が移動してくれる可能性もないではない」
フィリップス
「いや、そのドレイク大佐本人が〝事実上実現不可能〟だって言ったんだろ? それならもう可能性ゼロじゃん。でも、さすがドレイク大佐だよな。そうだよ。俺たちの後ろに〈フラガラック〉がいるから、『連合』はこっちに向かってくるんだよ。そんな当たり前で単純なことにも気づけなかったなんて、やっぱり俺たちは〝凡人〟だ」
エリゴール
「そうだな。俺も〝凡人〟だ。〝『連合』の撤退命令〟しか思いつけなかった」
フィリップス
「本当に? 元四班長はもっと別なこと思いついてたんじゃないの?」
エリゴール
「買いかぶりだ。俺は〝凡人〟だよ。ただ、何の気なしにしたことが、たまたま当たるときもあるだけだ」
フィリップス
「それだけでも、充分〝凡人じゃない〟と思うけどな」
ハワード
「ドレイク大佐に比べたらそう思えるんだろ。……そうか。アルスター大佐隊を〈フラガラック〉の〝盾〟にしてしまうか。本当に恐ろしいことを考えるな」
フィリップス
「でも、そういやアルスター大佐隊、強制撤収された後は無人護衛艦群の代わりに〝盾〟にされてたな」
ハワード
「ああ、そうだったな。じゃあ、そこからの発想でもあるのかな。いやー、あれも恐ろしかった。あれじゃ何かあっても自分で砲撃することもできないだろ」
フィリップス
「そのときは〈フラガラック〉が遠隔操作で砲撃させるとは思うけどな。でも、やっぱり恐ろしい」
エリゴール
「とにかく、俺は明日から七日間、大佐と一緒に元アルスター大佐隊の軍港に通うことになった。こっちには必ず戻ってくるが、朝のミーティングや班長会議には出られないから、これからは一班長、あんたが全部仕切れ」
ハワード
「無理だ」
エリゴール
「即答するな。前はやってたんだろ」
ハワード
「前は〝砲撃隊〟だけだった。〝護衛隊〟も一緒となると、俺の手には……」
エリゴール
「もうずいぶん馴れ合ってるだろ」
ハワード
「馴れ合ってるのはこいつだ」
ハワード、フィリップスを親指で指す。
エリゴール
「そうか。じゃあ、フィリップス副長。〝おとっつぁん〟に代わって仕切ってやれ。あんたの言うことなら、レラージュもザボエスも素直に聞く」
フィリップス
「あからさまに無視された十一班長は?」
エリゴール
「あいつはレラージュの言うことを聞く」
ハワード
「なるほど。身も蓋もないがそのとおりだ」
フィリップス
「その七日間が終わったら、もう通わなくて済むのか?」
エリゴール
「今の段階ではわからない。期間を延長するかもしれないし、場合によっては、俺はあっちに異動になるかもしれない」
フィリップス
「そんな! 恐れていた事態が!」
ハワード
「異動しなくても済むように、七日間でどうにかしてくれ!」
エリゴール
「まあ、俺もどうにかなるものならどうにかなってほしいが。できれば、アルスター大佐の副官だけでも残しておいてほしかったな。モルトヴァン副官が大変だ」
ハワード
「ああ……ここじゃ〝大佐〟と一緒に副官と直属班も〝栄転〟になるからなあ……実を言うと、ウェーバーが〝栄転〟した後、俺たちが隊全体の事務仕事もやっていたんだ。アルスター大佐隊に編入されたら、当然その仕事も向こうでやってくれると思っていたのに……うっ! あの頃の胃痛がっ!」
フィリップス
「おとっつぁん! でも、それはきっと徳用チョコの食い過ぎ!」
ハワード
「ハマると怖いな、徳用チョコ」
フィリップス
「何だってハマると怖い。ロールケーキはもっと怖い」
エリゴール
「そうか。そんな仕打ちまで受けていたか。……〝栄転〟じゃ軽かったな」
フィリップス
「〝栄転〟で軽いって……この艦隊じゃいちばん重いだろ」
ハワード
「〝第二分隊〟扱いが本当なら極刑に等しいな」
エリゴール
「ああ、そうだ。フィリップス副長」
フィリップス
「何?」
エリゴール
「これ、預かっててくれないか?」
エリゴール、上着のポケットから何かを取り出し、フィリップスに差し出す。
フィリップス
「何? 宇宙船のおもちゃ?」
エリゴール
「食玩だそうだ。今日、ドレイク大佐からもらった」
フィリップス
「何でまた? あの人、こんなの集めてるのか?」
エリゴール
「さあ、それは知らないが、とにかく俺にくれた。ドレイク大佐がくれたものを持ってたら、少しは〝凡人〟じゃなくなるかもしれないぞ?」
フィリップス
「確かに、効果はありそうだな。でも、それなら元四班長が持ってたほうがいいんじゃ?」
エリゴール
「俺はきっと、あんたより少しだけ〝凡人〟じゃない」
フィリップス
「くそ! 言い返せない!」
エリゴール
「そのかわり、元アルスター大佐隊に異動しなくて済むようだったら、また返してくれ。俺が〝凡人〟だったら、あんたたちが困るだろ」
フィリップス
「……なあ、元四班長」
エリゴール
「何だ?」
フィリップス
「俺たちがあんたに〝異動しないでくれ〟ってすがるのは、あんたが〝凡人〟の気持ちをわかってくれる〝非凡人〟だからだよ」
エリゴール
「…………」
フィリップス
「ただの〝非凡人〟に〝凡人〟はついていかない。いや、ついていけないか。俺たちはドレイク大佐のことはよく知らないけど、きっとあんたみたいに〝凡人〟の気持ちがわかる〝非凡人〟だから、うちの隊員六人も転属希望したんだと思うぜ」
エリゴール
「……フィリップス副長。あんたはそういうとこが〝凡人〟じゃないな」
フィリップス
「え?」
エリゴール
「とにかく、あんたは〝おとっつぁん〟のサポート続けてくれ。俺は〝おとっつぁん〟の胃痛がぶりかえさないようにしてくる」
エリゴール、椅子から立ち上がって自動ドアへと向かう。
ハワード
「あ、元四班長、もう帰るのか?」
エリゴール
「いや、久々に古巣へ」
フィリップス
「古巣?」
エリゴール
「十一班」
エリゴール、退室。
ハワードとフィリップスは互いの顔を見合わせる。
フィリップス
「おとっつぁんが〝護衛隊〟は怖いって言ったから、優しくしてやってくれって言いにいったのかな」
ハワード
「怖いとは言ってなかっただろ、怖いとは」
フィリップス
「あれじゃ言ったも同然だろ」
ハワード
「しかし、ドレイク大佐は何でこんな食玩なんか元四班長に寄こしたのかね?」
フィリップス
「うーん。ドレイク大佐のことだから、絶対何か意味はあるはずだけど、例によって〝凡人〟だからさっぱりわからない」
ハワード
「元四班長はわかってるのか?」
フィリップス
「たぶん。ドレイク大佐には及ばなくても〝非凡人〟だ」
ハワード
「でも、俺たちには説明してくれないんだな」
フィリップス
「説明したくないんだろ。〝非凡人〟でも感情はある」
ハワード
「……おまえ、やっぱり俺の代わりに班長になれ」
フィリップス
「嫌だね。俺は介助されたくない」
ハワード
「介助言うな」
フィリップス
「あ、そういえば」
ハワード
「どうした?」
フィリップス
「元アルスター大佐隊がどうだったか、元四班長に訊き忘れた」
ハワード
「そういやそうだな。でも、特に何も言わなかったから、うちよりはまともだったんだろ。……たぶん」
元アルスター大佐隊の作戦説明室(第五軍港)から、パラディンの執務室(第四軍港)に戻ったパラディンたち。
そこでなんやかんや話した後、エリゴールは第一班の第一号待機室へと戻る。
第一号待機室では、ハワードとフィリップスがエリゴールの帰りを待っていた。
三人はいつもの席でコーヒーを飲む。
フィリップス
「訊きたいことがてんこもりで、何から訊いたらいいのかわからない……!」
ハワード
「とりあえず、ドレイク大佐が大佐と何を話したのかから訊いてみるか?」
エリゴール
「……まあ、いろいろ話していたが……本題は、元アルスター大佐隊を今後も後衛に置くのかどうかだったな」
フィリップス
「意外だな。ドレイク大佐がそれを気にするとは思わなかった」
エリゴール
「ああ。訊かれて俺たちも驚いた。でも、確かにそうなんだよな。アルスター大佐が〝栄転〟になった以上、うちも元アルスター大佐隊と連携しないわけにはいかない」
フィリップス
「で、それに元四班長は何て答えたんだ?」
エリゴール
「何で俺なんだよ。訊かれてたのはパラディン大佐だぞ?」
フィリップス
「そうだろうけど、大佐が元四班長の意向を無視して答えるとは思えない」
ハワード
「そうだよな。大佐ならドレイク大佐の前でも平気で元四班長に丸投げしてそうだ」
エリゴール
「……ひとまず、次回はまた前衛に戻すことにした」
フィリップス
「じゃあ、またあの背面攻撃をさせるのか?」
エリゴール
「それじゃ、アルスター大佐を〝栄転〟に追いこんだ意味がないだろ」
フィリップス
「うわあ。追いこんだってはっきり言っちゃった」
ハワード
「でもまあ、もう周知の事実だしな。……首謀者が誰かも」
エリゴール
「そういや、例の押し戻す方法をドレイク大佐に訊いてみたら、とんでもない方法を提案されたぞ」
フィリップス
「うーん。ここでドレイク大佐の名前を出しちゃうか」
ハワード
「さすが元四班長。俺たちにはとても真似できない」
フィリップス
「まあ、それは当たり前だから置いといて。ドレイク大佐は何て?」
エリゴール
「〝事実上実現不可能〟だと前置きはしていたが。……アルスター大佐隊の後ろに〈フラガラック〉を移動させるんだそうだ」
ハワード・フィリップス
「〈フラガラック〉を移動させる!?」
エリゴール
「ドレイク大佐いわく、『連合』は〈フラガラック〉一隻落とせればいい。〈フラガラック〉が移動すれば、当然、今度はそちらに向かって進軍する。でも、アルスター大佐隊は逃げられない。〈フラガラック〉の〝盾〟として、最後まで守りつづけなけりゃならない」
フィリップス
「言われてみればそのとおりだけど……ドレイク大佐、えげつなっ!」
ハワード
「でもまあ、『連合』の撤退命令を待つよりは現実的ではあるな。ドレイク大佐に頼まれたら、〈フラガラック〉が移動してくれる可能性もないではない」
フィリップス
「いや、そのドレイク大佐本人が〝事実上実現不可能〟だって言ったんだろ? それならもう可能性ゼロじゃん。でも、さすがドレイク大佐だよな。そうだよ。俺たちの後ろに〈フラガラック〉がいるから、『連合』はこっちに向かってくるんだよ。そんな当たり前で単純なことにも気づけなかったなんて、やっぱり俺たちは〝凡人〟だ」
エリゴール
「そうだな。俺も〝凡人〟だ。〝『連合』の撤退命令〟しか思いつけなかった」
フィリップス
「本当に? 元四班長はもっと別なこと思いついてたんじゃないの?」
エリゴール
「買いかぶりだ。俺は〝凡人〟だよ。ただ、何の気なしにしたことが、たまたま当たるときもあるだけだ」
フィリップス
「それだけでも、充分〝凡人じゃない〟と思うけどな」
ハワード
「ドレイク大佐に比べたらそう思えるんだろ。……そうか。アルスター大佐隊を〈フラガラック〉の〝盾〟にしてしまうか。本当に恐ろしいことを考えるな」
フィリップス
「でも、そういやアルスター大佐隊、強制撤収された後は無人護衛艦群の代わりに〝盾〟にされてたな」
ハワード
「ああ、そうだったな。じゃあ、そこからの発想でもあるのかな。いやー、あれも恐ろしかった。あれじゃ何かあっても自分で砲撃することもできないだろ」
フィリップス
「そのときは〈フラガラック〉が遠隔操作で砲撃させるとは思うけどな。でも、やっぱり恐ろしい」
エリゴール
「とにかく、俺は明日から七日間、大佐と一緒に元アルスター大佐隊の軍港に通うことになった。こっちには必ず戻ってくるが、朝のミーティングや班長会議には出られないから、これからは一班長、あんたが全部仕切れ」
ハワード
「無理だ」
エリゴール
「即答するな。前はやってたんだろ」
ハワード
「前は〝砲撃隊〟だけだった。〝護衛隊〟も一緒となると、俺の手には……」
エリゴール
「もうずいぶん馴れ合ってるだろ」
ハワード
「馴れ合ってるのはこいつだ」
ハワード、フィリップスを親指で指す。
エリゴール
「そうか。じゃあ、フィリップス副長。〝おとっつぁん〟に代わって仕切ってやれ。あんたの言うことなら、レラージュもザボエスも素直に聞く」
フィリップス
「あからさまに無視された十一班長は?」
エリゴール
「あいつはレラージュの言うことを聞く」
ハワード
「なるほど。身も蓋もないがそのとおりだ」
フィリップス
「その七日間が終わったら、もう通わなくて済むのか?」
エリゴール
「今の段階ではわからない。期間を延長するかもしれないし、場合によっては、俺はあっちに異動になるかもしれない」
フィリップス
「そんな! 恐れていた事態が!」
ハワード
「異動しなくても済むように、七日間でどうにかしてくれ!」
エリゴール
「まあ、俺もどうにかなるものならどうにかなってほしいが。できれば、アルスター大佐の副官だけでも残しておいてほしかったな。モルトヴァン副官が大変だ」
ハワード
「ああ……ここじゃ〝大佐〟と一緒に副官と直属班も〝栄転〟になるからなあ……実を言うと、ウェーバーが〝栄転〟した後、俺たちが隊全体の事務仕事もやっていたんだ。アルスター大佐隊に編入されたら、当然その仕事も向こうでやってくれると思っていたのに……うっ! あの頃の胃痛がっ!」
フィリップス
「おとっつぁん! でも、それはきっと徳用チョコの食い過ぎ!」
ハワード
「ハマると怖いな、徳用チョコ」
フィリップス
「何だってハマると怖い。ロールケーキはもっと怖い」
エリゴール
「そうか。そんな仕打ちまで受けていたか。……〝栄転〟じゃ軽かったな」
フィリップス
「〝栄転〟で軽いって……この艦隊じゃいちばん重いだろ」
ハワード
「〝第二分隊〟扱いが本当なら極刑に等しいな」
エリゴール
「ああ、そうだ。フィリップス副長」
フィリップス
「何?」
エリゴール
「これ、預かっててくれないか?」
エリゴール、上着のポケットから何かを取り出し、フィリップスに差し出す。
フィリップス
「何? 宇宙船のおもちゃ?」
エリゴール
「食玩だそうだ。今日、ドレイク大佐からもらった」
フィリップス
「何でまた? あの人、こんなの集めてるのか?」
エリゴール
「さあ、それは知らないが、とにかく俺にくれた。ドレイク大佐がくれたものを持ってたら、少しは〝凡人〟じゃなくなるかもしれないぞ?」
フィリップス
「確かに、効果はありそうだな。でも、それなら元四班長が持ってたほうがいいんじゃ?」
エリゴール
「俺はきっと、あんたより少しだけ〝凡人〟じゃない」
フィリップス
「くそ! 言い返せない!」
エリゴール
「そのかわり、元アルスター大佐隊に異動しなくて済むようだったら、また返してくれ。俺が〝凡人〟だったら、あんたたちが困るだろ」
フィリップス
「……なあ、元四班長」
エリゴール
「何だ?」
フィリップス
「俺たちがあんたに〝異動しないでくれ〟ってすがるのは、あんたが〝凡人〟の気持ちをわかってくれる〝非凡人〟だからだよ」
エリゴール
「…………」
フィリップス
「ただの〝非凡人〟に〝凡人〟はついていかない。いや、ついていけないか。俺たちはドレイク大佐のことはよく知らないけど、きっとあんたみたいに〝凡人〟の気持ちがわかる〝非凡人〟だから、うちの隊員六人も転属希望したんだと思うぜ」
エリゴール
「……フィリップス副長。あんたはそういうとこが〝凡人〟じゃないな」
フィリップス
「え?」
エリゴール
「とにかく、あんたは〝おとっつぁん〟のサポート続けてくれ。俺は〝おとっつぁん〟の胃痛がぶりかえさないようにしてくる」
エリゴール、椅子から立ち上がって自動ドアへと向かう。
ハワード
「あ、元四班長、もう帰るのか?」
エリゴール
「いや、久々に古巣へ」
フィリップス
「古巣?」
エリゴール
「十一班」
エリゴール、退室。
ハワードとフィリップスは互いの顔を見合わせる。
フィリップス
「おとっつぁんが〝護衛隊〟は怖いって言ったから、優しくしてやってくれって言いにいったのかな」
ハワード
「怖いとは言ってなかっただろ、怖いとは」
フィリップス
「あれじゃ言ったも同然だろ」
ハワード
「しかし、ドレイク大佐は何でこんな食玩なんか元四班長に寄こしたのかね?」
フィリップス
「うーん。ドレイク大佐のことだから、絶対何か意味はあるはずだけど、例によって〝凡人〟だからさっぱりわからない」
ハワード
「元四班長はわかってるのか?」
フィリップス
「たぶん。ドレイク大佐には及ばなくても〝非凡人〟だ」
ハワード
「でも、俺たちには説明してくれないんだな」
フィリップス
「説明したくないんだろ。〝非凡人〟でも感情はある」
ハワード
「……おまえ、やっぱり俺の代わりに班長になれ」
フィリップス
「嫌だね。俺は介助されたくない」
ハワード
「介助言うな」
フィリップス
「あ、そういえば」
ハワード
「どうした?」
フィリップス
「元アルスター大佐隊がどうだったか、元四班長に訊き忘れた」
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「そういやそうだな。でも、特に何も言わなかったから、うちよりはまともだったんだろ。……たぶん」
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