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第弐章:ムロトー/ナイトフィーバー/レリGO
#057:幸甚な(あるいは、県立魔法学園Z)
しおりを挟む「ほぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁああぁぁっっつ!!」
諸々あったが、第二戦は<赤:5,734:青:102>で終局した。
「……このルールでの5,000差はやばいだニャン!! 『10,000ボルティック』超級が来ちゃうだニャン!!」
切羽詰まった猫田ちゃんの必死の忠告も聞かず、
「初五桁……ども」
「この点差でギブアップしない野郎、他に、いますかっていねーか、はは」
ぶつぶつと何事かをつぶやいている内に、パーカー少年は相当きつめの折檻電流に貫かれ、冒頭のちょっと形容しにくい叫び声を上げて、果てた。
「き、棄権で」
そしてパーカー少年のチームメイト二人はその惨状を見てすぐさま降伏の意思を告げたのであって。そんなこんなで僕らチームはあっさり二連勝。三回戦へと駒を進めたのであった。しかしあれで勝ってしまうとは……何か申し訳ない。
「絶好調だなぁ、少年。ラスト2秒の逆転ファイターっつぅ、二つ名がつきそうな感じだぜ。俺らの出る幕はやはり無しか」
アオナギが言うが、いやギリギリでしたって。でもこれで十万。チャリーンという音が僕の脳内で弾ける。
相変わらず僕の姿を見るやビビり出す丸男とジョリーさんを置いて、リングを降りブースの出口に向かうが、その途端にどっと疲労感が襲ってくる。何か……精神的に来るものがあるな、この戦いは。緊張からなのか背中や二の腕に張りを感じたので、一度立ち止まってうん、と伸ばしてみる。そんな僕にまたしても声が。
「あの……ムロトミサキさん」
猫田ちゃんだった。さっきも実況少女セイナちゃんに労われたけど、なにこのモテ感。ダメを極めていくほどモテるというなら……僕はダメであることを辞さない。
「激闘、でしたね。私、何て言うか最後感動しちゃって……」
少し潤んだ瞳で見つめられても。その美麗な顔は透き通るような肌がほんのり紅潮して、艶っぽい唇は甘い響きの言葉を紡ぎ出してくるわけで。
認めたくはないが、ダメの僕の方がはるかにモテるようだ。
「あと親近感感じるんです。私の名前も猫田 似杏なものですから」
言いつつ、かわいく、てへっとされても!! 僕は精一杯クールに手を差し伸べるのが限界だった。室戸岬に、その名に乾杯だ。
「……応援してます。決勝、行ってくださいね!!」
顔をより赤らめ、潤み切った黒い瞳から熱っぽい視線を送られても!! その小さく柔らかな手に手を取られ、僕のテンションはオーバーヒート気味なわけで。次も……次もやったるでへぇぇい!!
応援ありがとうございます!
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