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第弐章:ムロトー/ナイトフィーバー/レリGO

#069:誰得な(あるいは、はじめてのDAKARA)

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「まずはリーダー、孤高の熱血フライトで、皆を引っ張れ、しゃかりきリンドバーグっ、忠村寺ちゅうそんじ 達磨たつまだーっ!!」

 実況少女リアちゃんの張り上げる声に、うおおおおおん、と観客も応え、球場が揺れているかのようだ。やはり、相手チームは相当な支持を得ているようで。ポイントは7,399とやはり突出してるよ。

 しゅっとした体躯のナンバー29のリーダー、忠村寺は、バイク用のメットとゴーグルをつけているため、その顔や表情はほとんどわからないが、かなり高揚しているようだ。先ほどの咆哮からもそれが伺える。そのやる気の10分の1でもこちらに分けて欲しいくらいだ。他人事かのように素立ちでいる細いのと丸いのとを見やり、僕は萎えそうになる気持ちを何とか踏みとどめさせている。

「お次は影の司令塔っ、冷静なディレクトで皆を導け、遠見のトリックスター、桂馬かつらま 角不成すみふせい!!」

 ウェアは忠村寺と同じ派手なプリント柄だが、メットはかぶらず、インカムを耳につけている。それで指令を飛ばすっていうのか? それにしてもすごい名前だ。僕の名前ネタを封じたとアオナギは言うけれど、この人のも封じられているから五分じゃないの? 一応そのポイントは5,265と僕ら3人を上回っている。うーん、まずい感じ。

「最後っ、紅一点、爆裂末脚、うなれ灼熱のオーバーヒートロードっ、レーゼ・炎道えんどう・ゴッドリーフちゃんっ!!」

 おおう。もっとごっつい名前が控えていた。これ、完全に名前ネタ封じで不利になってるのは相手の方じゃないの? しかし表示されたポイントは5,507とやはり高い。派手な赤に染まった髪を背中まで垂らしたレーゼさんは、忠村寺と同じく、メットとゴーグルで顔半分は覆われているものの、通った鼻筋と引き締まった口許から、ああ、かなりの美形さんなんだろうな、ということは伺い知れる。ハーフの方かな? 多いよね、この溜王戦。

 しかし改めて考えると、この面子紹介……名前ネタに頼らずとも僕らを潰せるってこと? まあ戦いの主導権は向こうに露骨なほどのアドバンテージがありそうだけど。

「この6名による、グレイトフライトに期待しましょうっ!! それでは各チームのみなさんっ、エアロニカル、バイクロッサ、ライドオン!!」

 リアちゃんの上気した笑顔はやっぱりかわいいよな……などとこの局面にて既に現実逃避しつつある僕だったが、

「室戸ちゃんよぉ、ちょいと予定とは狂っちまったが、任せといてくれや。俺らによぉ」

 丸男が珍しくやる気を秘めた不敵な顔で、そう言い放つ。き、期待していいのだろうか。

「そうだぜ少年。なんせ俺らはなぁ……俺らは、ちょっと人気が出たくらいで調子こいてイキってるやつらの魂ごと貪り喰らうのがぁぁぁっ、死ヌホドォォ、好キダッカラぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 キシャーという音が聞こえてきそうなアオナギの絶叫だが、まあ負のベクトルでも、その闘志は心強い、と思うことにしよう。いよいよ準決勝の対局が始まるっ……!!

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