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Ally-18:拙速なる★ARAI(あるいは、青春/ジョンジョコジョコノ博)
しおりを挟む「万博」……だって?
ここに来ての情報の後出しに、面食らったのは僕だけじゃあないと思うけれど。逆光気味で薄暗く感じるこの午後の気怠いファミレスの空気が、一瞬、その大声によってかき混ぜられたようだけど、すぐさま元通りの倦怠感を取り戻していく。
「2025年ばがぁ、大阪湾の夢洲でにゃ、『国際博覧会』ごっぷ開催こぽされるんば、誰ぁがでも知っとぉがごとちょ?」
いや、まあそれは知ってるけど、でもそれが「1985年」とどう関連するって言うのだろう……?
「ジローどんは、鈍いざがはりおぅ……『万博』ば言うたら何じょじよ?」
ストローを咥えたまま上下に振り振り、また小馬鹿にしてくる顔だ。考えてみたらアライくんにこういう扱いを受けることが最近多いよね僕……
「い、いやまあ詳しくは僕も把握できていないけど、『いのち輝く未来社会のデザイン』をテーマに、持続可能な開発目標が達成される社会を目指すための展望を示すものだったと思うけど多分……」
僕の返答の何が気に障ったかは分からないけれど、こちらを振り返りざま、ば、ばもらもするぃ(?)か、ジローはッ!! と、ストローの先から黒い滴を盛大に僕の顔に飛ばしてくる。ぱたたと顔面に不快な感覚。そして、
「そいは、今年の奴の御題目やばちょがッ!! だ、誰が『Saving Lives・Empowering Lives・Connecting Lives』をサブテーマに、日本の国家戦略Society5.0の実現を目指したやつの事ば言っとぉらッ? 我ぁが言うちょりおんすば、『1985年の万博』の事じらぃやッ!!」
そんなにキレるところでも無いと思うし、「万博=1985年の万博」という、頭から決めつけかかるかのような無理あるだろ的に到底納得できない方程式に、ええ……とか思いつつも、何と言うか、話がば進めんとぉしんはぃすくぅる、みたいな空気をひしひしと感じてきたので、ごめんごめんそっかその時にもあったんだね……と言おうと口を開こうとするけど。
「……いわゆる『つくば万博』、だよね? 『EXPO‘85』。この年のこと、ちょっと調べてたら、ああこんな事もあったんだなってすごい興味ひかれた」
天使が助け舟のように、天上のまほろばのような(ちょっと戻ってきたような気がするけど相変わらず意味は分からない)慈愛・博愛・無償愛のスリーカードをすすと呈示してくれる。
さ、流石は副団長がぱぉ、どん書記風情がたるとは、もっはん違ゃうすだけはなぁ……と途端に相好を崩す左隣の御仁の前髪が小刻みな頷きと共に激しく上下する。うん、まあこういうスタンスで今後行くんだろうね……どうせ僕は愚図でのろまな狂言回しさ……
「キャラクターもかわいい……『コスモ星丸』くんってシンプルで今でも全然色褪せてないよね……あ、ごめん、話の腰折っちゃった。ええと、アライくんの考えは、その『万博』を模した催し物を、今年の文化祭でやろうってこと、だよね……」
天使の言葉に、はちょばいはちょばいぃ、のような不気味な笑顔で首肯している横顔を、それ多分僕が言ったら、よ、横道逸れた挙句、何ごぼ「模す」ちょらぃッ、こちとらぃが本場もんとぞッ、みたいにいちいち突っかかってくるんだろうなあ……との冷めた思考に大脳を埋め尽くされ、座りながら佇む僕がいる。
「親父さんも行った万博がばい……大観覧車がぁも乗ってみたかったぁりゃあのこ……ま、ま、『万博の再現』ばブチ上げとっちゃが、そいも込みで『1985年』のあらゆぅーモンを展示したのんにしちゃいがによ、そいが『1Q85祭』ばい」
だいぶ緩めの「万博」ってことだよね。であればファミコンとかも飾るってこと……とか、聞いてみる。例のわやくちゃな大騒ぎがあってうやむやになっていたけれど、そう言えば「本体」を調達、みたいなこと言ってたよね……
「じゃご!! 本体もそうじゃじ、テレビも当時のもんばにしちょ、こだわりを出したいがばおねぃ……ブラウン管の。そんでもこ実際に実機でやれるようにすればこい、否応にも盛り上がろうかぼいど」
うぅん……「ブラウン管テレビ」ってのは結構ハードル高いんじゃないのかなぁ……春日井のおばあちゃん家でさえテレビはもう薄型壁掛けタイプのやつだったし……と、
「今週土曜にば、『秋葉原《ハバラ》』っきょに行くじ。そこでテレビだい、ファミコンだい、繋げる奴っとだいを調達するいう寸法だじょはりに」
いつもながらの拙速たる勝手なスケジューリングに、なるほど秋葉原はいいかも知れないそういうのありそうだしねでもそれって週末三ツ輪さんと遊びに出かけるってことじゃないの? との納得と期待に胸は膨らむ。それに秋葉原か……オタクの端くれとして恥ずべきことだけれど、実は僕は一度も訪れたことが無い……
凄い。アライくんの画策していることの逐一が、僕にとって有用たることに昇華されつつある……
やっぱりかの御仁は天才なのではないかとの思いが、今の僕にはある。眼前には、えええ楽しそうっ、との思わぬ食いつきを見せる天使の輝く笑顔があったりで、
僕の青春が……始まろうとしていた……
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