アッサラーム!アライくん
神奈川の県立高校に通う、ごくごく普通の小太り高校一年生、ジローくんは、同級生のアライくんにいつも振り回されっぱなしの毎日なのです。今日も今日とて、近所のおばあちゃん家を訪れては廃品回収業者を装って屋敷に眠るお宝を失敬するという極めて窃盗っぽいゴトの片棒を担がされたりと無駄に奔走させられたりします。何とかお宝……年代物のウォークマンをGET出来たアライくん。「四〇年前」という過去にこだわり当時のものを求めようとするのは、幼い頃に亡くした母と、居所が杳として知れない父への深い郷愁に似た想いに突き動かされてのことだったのでした……父親が十六歳だった「一九八五年」、それを追体験せんと今年十六歳のアライくんは、当然のようにジローくんや、その崇高な意志に惹き寄せられるようにして集った三姉弟たちを巻き込み「一Q八五団」を結成します。「団」の最終目的、それは秋に迫る文化祭において「つくば万博」を模した「一Q八五祭」を開催するという壮大なるものなのでした……文化祭の運営実行を影で操る謎の機関「元老院」との確執があったり、ブラウン管テレビやファミコンなど、当時のものを収集するために魔窟:秋葉原の地下迷宮にて年齢性別得体不詳の怪人と魂を削る壮絶なバトルを繰り広げたりと、数々の苦難を乗り越えようやく「祭」の開催までこぎつけた面々なのでしたが……アライくんから数日後に米国の親戚の元に行くという唐突な別れを告げられた団員たちは激しく動揺し、ジローくんとアライくんの間には亀裂が。困惑の中、しかし、もやもやした気持ちのまま決別してしまうのを思いとどまらせたのはあのウォークマンなのでした……全員の力を合わせ、障害を全て打ち払って「祭」を打ち上げた団員たちでしたが、別離は容赦なく訪れ……と思いきや二か月で出戻ってくるというこれまた唐突なるアライくんに振り回されたかたちのジローくんたち。アライくんはいつでもどこでもアライくんなのでした……
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