格×闘×王×コン×シ×デン×ト

gaction9969

文字の大きさ
12 / 16

#12:不発に(決勝その3)

しおりを挟む

 ―これは一方的な展開となってしまったかぁーっ、オスカーの射程自在な蹴りや膝が、ガンフ必殺の間合いに入る隙をことごとく潰しているーっ!! 防戦一方のガンフ、丁寧に急所を外してはいるものの、その両腕が真っ赤に腫れあがり始めたぞぉーっ!! 何より組み合いに持ち込めないのが痛いかっ、しかしマスクの奥の目は全く闘志を失ってはいないっ!! おぉーっとぉっ!! ガンフまたしても距離を詰めにかかるぅーがっ!! オスカー軽く半歩下がってまたも電撃の右ローっ!! ガンフの左脚はもう限界ではないかっ!? いやっ!! これは敢えて食らったっ!? オスカーの撃ち終わり、に合わせてそのしなやかなボディに直角に曲げた掌を撃ち込むぅーっ!! これはオスカー想定外っ!! 軸足に全体重が乗った瞬間を狙われたっ!! いなせもせずにほぼ素立ち状態での被弾っ!! ガンフこの試合では意図的に打撃を出していなかったが、いろいろと技は持っている選手だ!! これまで敢えてそれを見せず、相手の意識外においてからの、見事な不意うちっ!! みぞおち辺りに強烈な一打を食らったオスカー、後ろに飛びすさって間合いを取るがっ!! ダメージは隠せていないーっ!! ガンフ、チャンスか? 今度はあからさまに打撃の構えをちらつかせながら、じりじりとリング端まで相手を追いつめていくーっ………

「……マスクは新調するのかしらぁん? それともこないだ預かったガンフマスクを修繕して使うのぉん?」

 ジョリーさんがそう尋ねてくるが、あの殺人的悪臭マスクの洗浄を頼んでたのって、ここだったんですね。

「……マルオ、お前さんが決めてくれや。ま、新しいのをオーダーメイドで作った方がよさそうだな。あのニオイが完全に取れるかは甚だ疑問だしよぉ」

 うーん、どうするかですね。あの「オオハシ」のデザインは凄い良かったんですけど、ねえ。

「大まかなデザインをこの書式に描いてくれれば、その通りに仕上げるからねぇん。ま、1週間見といてもらえると助かるわぁん」

 言いつつジョリーさんが、人の顔の輪郭が正面・側面と描かれたA4の紙を何枚か手渡してくれるけど、「1週間」? 結構複雑な作りだと思いましたけど、マスクを一枚作るのにそれだけで出来ちゃうもんなんですか?

「……優秀な助手君が入ってくれたおかげで、私の体が空いてんのよぉん。ま、プライベートでも空いてるんだけどねぇん?」

 獣の目つきでこちらをねめつけてきたけど、そこは咄嗟に用紙に目を逸らし回避する僕。俊敏な動きは日々の訓練の賜物です。マスクの件は、とりあえず持ち帰って検討ということにしてもらった。そしてコスチュームの方は有り物でいいだろうということになり、僕はこれだけはもう既に決めていた、黒いショートタイツ(新日仕様)と、同じく黒いリングシューズを選択した。

「……にしてもガンちゃん、あのマスク、本当に洗って直しちゃっていいの? 思い出詰まってそうだったけど」

 早速それらを包んでもらってホクホクの僕だが、ジョリーさんが急に改まった口調でそうオオハシさんに問いかける。

「……いいさ。後継も見つかったことだしよぉ。俺は本気でこいつとケチュラに出るつもりだぜ? いい機会だと……思ってるわけよ」

 ふっ、と遠い目をしたかのようなオオハシさん。何だろう。何かあるのだろうか。少し気になった僕だったが、

「よし、帰りは俺の愛車を使ってくれていいぞぉ、俺は庶民の足、電車で帰る」

 問いたげな僕の視線を躱すかのようにして、オオハシさんは自転車のキーを放ってきた。ええー、15kmですよ? 自転車でも結構ありますって!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...