41 / 41
疑念の騎士団長
しおりを挟む
「失礼します。ジェイド騎士団長。」
「早かったな、リュード。」
リュードが宮殿に着いて、騎士団長の部屋に入るとジェイドは慌てて机の上の物を片付けた。
「ご用件は何でしょうか。」
「ああ。先日の山賊たちの事件のことでな。」
来た。
「はい。」
「彼らが使っていた薬の試作品みたいなものができたそうだ。」
ゆっくりと机から立ち上がり、リュードの方に近づいてくる。
「そこでだ。最前線で彼らと刃を交えた君にその被験を頼みたい。」
エレーナの言っていた通りだ。しかし、危険性について詳しく説明する気はないようだ。
「君以外に頼める者はいない。どうだリュード。」
間合いの内側以上に近づいてくる。互いの体が触れそうな位置からリュードの顔を覗き込んできた。
相手は現役の騎士団長。流石に迫力がある。リュードはまっすぐと前を見つめたまま答えた。
「お断りさせていただきたく存じます。」
「ほう、なぜ?」
リュードに断られると思っていなかったのか、少し目を丸くした後で理由を聞き返してきた。
「今の状態で数日でも防衛隊を離れるわけにはまいりません。」
「部下たちが心配か?おかしいな。君の代の防衛隊は優秀だと思っていたんだが。」
「いえ、部下たちは優秀です。戦闘になったときに信頼できる実力は全員持っています。」
「では心配いらないのではないか?」
「それは試作品なのですよね。危険性について説明いただきたいのですが。山賊たちはあの後全員息を引き取ったと風の噂で耳にしましたもので。」
「そうだな。山賊たちは全員死んだな。」
ジェイドは少し考えた後、パッと後ずさって笑みを浮かべた。
「まあ確かに言う通りだな、リュード。今の君を防衛隊から奪うわけにはいかない。それに君の名前は他国でも少し有名だしな。牽制にもなってるだろう。」
「?????」
「用件はそれだけだ。もう帰っていいぞ。」
「…はい。」
「わざわざ呼び出して悪かったな。」
にこやかにリュードを送り出すジェイド。あまりにもあっさりとした対応に拍子抜けである。エレーナからの事前情報でこちらが疑い過ぎていただけなのかもしれないが。
「早かったな、リュード。」
リュードが宮殿に着いて、騎士団長の部屋に入るとジェイドは慌てて机の上の物を片付けた。
「ご用件は何でしょうか。」
「ああ。先日の山賊たちの事件のことでな。」
来た。
「はい。」
「彼らが使っていた薬の試作品みたいなものができたそうだ。」
ゆっくりと机から立ち上がり、リュードの方に近づいてくる。
「そこでだ。最前線で彼らと刃を交えた君にその被験を頼みたい。」
エレーナの言っていた通りだ。しかし、危険性について詳しく説明する気はないようだ。
「君以外に頼める者はいない。どうだリュード。」
間合いの内側以上に近づいてくる。互いの体が触れそうな位置からリュードの顔を覗き込んできた。
相手は現役の騎士団長。流石に迫力がある。リュードはまっすぐと前を見つめたまま答えた。
「お断りさせていただきたく存じます。」
「ほう、なぜ?」
リュードに断られると思っていなかったのか、少し目を丸くした後で理由を聞き返してきた。
「今の状態で数日でも防衛隊を離れるわけにはまいりません。」
「部下たちが心配か?おかしいな。君の代の防衛隊は優秀だと思っていたんだが。」
「いえ、部下たちは優秀です。戦闘になったときに信頼できる実力は全員持っています。」
「では心配いらないのではないか?」
「それは試作品なのですよね。危険性について説明いただきたいのですが。山賊たちはあの後全員息を引き取ったと風の噂で耳にしましたもので。」
「そうだな。山賊たちは全員死んだな。」
ジェイドは少し考えた後、パッと後ずさって笑みを浮かべた。
「まあ確かに言う通りだな、リュード。今の君を防衛隊から奪うわけにはいかない。それに君の名前は他国でも少し有名だしな。牽制にもなってるだろう。」
「?????」
「用件はそれだけだ。もう帰っていいぞ。」
「…はい。」
「わざわざ呼び出して悪かったな。」
にこやかにリュードを送り出すジェイド。あまりにもあっさりとした対応に拍子抜けである。エレーナからの事前情報でこちらが疑い過ぎていただけなのかもしれないが。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です
氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。
英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。
処刑から始まる私の新しい人生~乙女ゲームのアフターストーリー~
キョウキョウ
恋愛
前世の記憶を保持したまま新たな世界に生まれ変わった私は、とあるゲームのシナリオについて思い出していた。
そのゲームの内容と、今の自分が置かれている状況が驚くほどに一致している。そして私は思った。そのままゲームのシナリオと同じような人生を送れば、16年ほどで生涯を終えることになるかもしれない。
そう思った私は、シナリオ通りに進む人生を回避することを目的に必死で生きた。けれど、運命からは逃れられずに身に覚えのない罪を被せられて拘束されてしまう。下された判決は、死刑。
最後の手段として用意していた方法を使って、処刑される日に死を偽装した。それから、私は生まれ育った国に別れを告げて逃げた。新しい人生を送るために。
※カクヨムにも投稿しています。
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~
ささゆき細雪
恋愛
五年前、内乱の混乱のなかで姿を消した最愛の妃・白瑤華(はくようか)。
彼女を失った皇帝・景玄耀(けいげんよう)は、その後ただ一人を想い続けながら執務に追われていた。そんなある日、書類に彼女の名前を発見し、居ても立っても居られなくなる。
――死んだはずの彼女が、生きている?
同姓同名かもしれないが確かめずにいられなくなった彼は地方巡察を決行。そこで、彼によく似た幼子とともに彼女と再会、地方官吏として働く瑤華と、珠児(しゅじ)を見て、皇帝は決意する――もう二度と、逃がさないと。
「今さら、逃げ道があると思うなよ」
瑤華を玄耀は責めずに、待ちの姿勢で包み込み、囲い込んでいく。
秘された皇子と、選び直した愛。
三人で食卓を囲む幸福が、国をも動かすことになるなんて――?
* * *
後宮から逃げ出して身を引いたのに、皇帝の溺愛は止まらない――これはそんな、中華風異世界ロマンス。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる