1 / 7
序章 〜 始まりの戦い 〜
三人の神と神子
しおりを挟む
この世に神や魔物と言った物が跋扈するようになったのは、今から150年前の事。
当時心優しき一人の神子が、神に手を借り不思議な力で人々を助けていた。
だがその神子の優しさにつけ込んだ悪しき者により、神子は全ての者を信じられなくなり、恨むようになった。
そしてそんな世界を滅ぼそうと魔の者と契約し、元々あった力に魔の力が加わり、強力となったその力で世界を破滅へと追いやった。
それに最も嘆き悲しんだのは、神子の事をよく知り力を貸していた神、鬼神だった。
鬼神は争いは好まず、神子と話をしてこの現状を鎮めようとした。
だが神子は鬼神の言葉を聞こうとせず攻撃をしたのだ。
それに激怒したのはこの争いに応戦をしに来ていた二人の神だった。
一人は全ての竜やドラゴンを統べる神、龍神。
もう一人は争い事や勝負事などで崇め奉られる神、戦神である。
龍神と戦神は神子を殺そうと武器を構え向かったが、それを鬼神はとめた。
争いを嫌う鬼神は目の前で誰かが傷付くのが嫌なのだ。
それがどんな悪しき者だとしても……
『……神子よ。
もうあの頃の様に我と話をしてくれぬのか?』
そう問いかけるが、神子は応じず、発する言葉は【皆死ねばいい】【こんな世界など無くなってしまえばいい】この二つの言葉を繰り返すのみだ。
『もういい!
こいつに何を言っても無駄だ!
事態が悪化する前にかたをつける!!』
戦神が怒号と供に走る。
それに習い龍神も走った。
『嗚呼……………』
鬼神は他の二人の神や神子をとめる事が出来ない無力な自分を悔やんだ。
闘いは7日7晩続き、二人の神は流石に疲れて来ていた。
『ハァ……ハァ………くっそ!
奴は何故疲れないんだ……!』
息を切らせながら戦神は言う。
それに対し龍神は言った。
『あの娘はもう人では無くなっている…
…………見ろ、娘の姿を』
そう言われ、神子の姿を見た戦神は驚愕した。
闘っていて気付かなかったが、神子の姿は異様な姿と化していた。
額には上級の魔の者が持つもう一つの眼があり、背中には黒い霧の様な翼、口には牙が生え、そして神子の周りには、深い永遠の闇へと続く穴が広がっていた。
『……くっ!!
……………今の俺達の状態だと、ヤツの攻撃を退けるのでさえ手一杯だ…!!
どうすれば良いんだよ…』
戦神の言う様に、今の二人は7日7晩闘い続けた為に、力も体力も気力も全てが尽きかけていた。
『戦神、龍神、後は我が引き受けます……』
そう言った鬼神の顔は何かを決意していた。
『鬼神、争いは嫌いなのでは………?』
『…………っ!?』
疑問を口にする龍神に対し、戦神は鬼神が何をしようとしているのか瞬時に理解し激怒した。
『鬼神あれだけはよせ!!
あの時あれを使ったせいで、お前自身どうなったか忘れたわけじゃないだろう!!?
またあれを使えば、今度こそお前は助からない!
神とて不死でもなければ万能でもない!!
その事はお前が一番わかっているだろう!!』
戦神の言葉を聞いて、鬼神が何をしようとしているのかやっと龍神も気づいた。
『鬼神……あれだけはダメだ!
あれはお前の命を糧に使う力』
言い聞かせる様に龍神は言った。
だが、鬼神は淡い笑みを浮かべ、そしてこう言った。
『神子を止めるにはこれしかない。
例え我が死んだとしても……』
そして鬼神は呪文を詠唱し始めた。
二人の神は詠唱し始めた鬼神にまだ何か言いたそうにしていたが、その言葉を発することが出来なかった。
鬼神の覚悟、これを止める事は二人には出来なかった。
『……………戦神よ、今は我等に出来る事をしよう』
龍神諦め言う。
もう鬼神の耳には何者の声も聞こえない。
わかってはいる。
それでも戦神は諦めきれずにいるのだ。
『何で………何でなんだよ……………』
拳を握り締め、自分の無力さに苛立つ。
そんな戦神を龍神はただ静かに見つめ、動くのを待った。
『…………龍神』
数分がたった後、戦神はその重い口を開き、顔を上げ言った。
『行こう龍神。
なんびとたりともあいつの邪魔はさせん』
そう言って敵の元へ行く戦神の顔にはもう迷いはなかった。
ただ今は鬼神の所に敵が行くのを防ぐのに専念する事だった。
そんな戦神の姿を見た龍神は鬼神に語りかけた。
『奴も漸く覚悟を決めたようだ。
だが鬼神よ、あまり我等を困らせてくれるなよ』
苦笑混じりに言う。
例え自分の声が鬼神に届かなくても………
言った後に龍神は戦神の元に向かい、共に敵の足止めをした。
だがその言葉と行動は、鬼神に届いていた。
詠唱中の為に返答は出来なかったが、鬼神の目には涙が浮かび流れていた。
どれだけの時間がたったのか、戦神達がもう敵を食い止める事が出来なくなっていたのと同じくして、詠唱の終わった 鬼神は二人に向かって叫ぶ。
『二人共そこから離れよ!』
それを聞いた二人の神は瞬時に離れる。
それと同時に敵の周りを囲う様に光の輪が天から指していた。
そして一言最後に唱える。
『深き闇へと沈め!!』
その言葉が発せられた瞬間に、天から指していた光が一段と輝き、あれだけいた数の敵が一瞬にして居なくなったのだ。
だが一体だけ、それに抵抗し消えない者がいた。
それがあの神子なのだ。
神子は何かを叫んでいたが、何を言っているのか三人の神には全く分からなかった。
何を言っているか気にはなったが、鬼神は放っている力に更に力を入れた。
それにはさすがの神子も耐えることが出来なくなり、その場に崩れ、足掻き苦しんだ。
そして、消える瞬間神子は言った。
『私は消えない!
たとえ今消えたとしても、貴様達神が滅ぶ事に変わりはない!
私はいずれ復活する!!
その時が貴様達の最後だ!!
はっ、ははははは………!!!』
そして、神子は消えた。
それを見届けた3人の神。
だが、鬼神は限界を超えていた為そのまま倒れた。
『『鬼神!!!』』
それを見た二人の神は驚き、鬼神の元に駆け寄った。
『しっかりしろ鬼神!!』
『…ハァ…………ハア………………だ…大………丈夫……です…………』
戦神は倒れた鬼神を抱き上げ声を掛ける。
その声に応える鬼神の声は息も絶え絶えで弱々しかった。
それでも笑顔で応え、大丈夫、心配はいりませんと言う。
『……ハァ…ハァ……ハァ………ハァ…………戦神…龍神………二人に………が………あ…ります』
必死に何かを伝えようとするが中々声にならない。
それを身兼ねた戦神が言う。
『もういい!
もう喋るな!!』
だが、鬼神は首を横に振る。
『ハァハァハァ…………わ…れは………もう消…えます………そ…の……前に…』
そう言った鬼神は、両神の額に手をやった。
すると淡い光が額から放たれ、暫くするとその光は消えた。
『これ……で……………』
その言葉を最後に鬼神は光に包まれ消え去った。
『鬼神…………………………』
後に残ったのは悲しみに打ち拉がれる二人の神だけだった。
当時心優しき一人の神子が、神に手を借り不思議な力で人々を助けていた。
だがその神子の優しさにつけ込んだ悪しき者により、神子は全ての者を信じられなくなり、恨むようになった。
そしてそんな世界を滅ぼそうと魔の者と契約し、元々あった力に魔の力が加わり、強力となったその力で世界を破滅へと追いやった。
それに最も嘆き悲しんだのは、神子の事をよく知り力を貸していた神、鬼神だった。
鬼神は争いは好まず、神子と話をしてこの現状を鎮めようとした。
だが神子は鬼神の言葉を聞こうとせず攻撃をしたのだ。
それに激怒したのはこの争いに応戦をしに来ていた二人の神だった。
一人は全ての竜やドラゴンを統べる神、龍神。
もう一人は争い事や勝負事などで崇め奉られる神、戦神である。
龍神と戦神は神子を殺そうと武器を構え向かったが、それを鬼神はとめた。
争いを嫌う鬼神は目の前で誰かが傷付くのが嫌なのだ。
それがどんな悪しき者だとしても……
『……神子よ。
もうあの頃の様に我と話をしてくれぬのか?』
そう問いかけるが、神子は応じず、発する言葉は【皆死ねばいい】【こんな世界など無くなってしまえばいい】この二つの言葉を繰り返すのみだ。
『もういい!
こいつに何を言っても無駄だ!
事態が悪化する前にかたをつける!!』
戦神が怒号と供に走る。
それに習い龍神も走った。
『嗚呼……………』
鬼神は他の二人の神や神子をとめる事が出来ない無力な自分を悔やんだ。
闘いは7日7晩続き、二人の神は流石に疲れて来ていた。
『ハァ……ハァ………くっそ!
奴は何故疲れないんだ……!』
息を切らせながら戦神は言う。
それに対し龍神は言った。
『あの娘はもう人では無くなっている…
…………見ろ、娘の姿を』
そう言われ、神子の姿を見た戦神は驚愕した。
闘っていて気付かなかったが、神子の姿は異様な姿と化していた。
額には上級の魔の者が持つもう一つの眼があり、背中には黒い霧の様な翼、口には牙が生え、そして神子の周りには、深い永遠の闇へと続く穴が広がっていた。
『……くっ!!
……………今の俺達の状態だと、ヤツの攻撃を退けるのでさえ手一杯だ…!!
どうすれば良いんだよ…』
戦神の言う様に、今の二人は7日7晩闘い続けた為に、力も体力も気力も全てが尽きかけていた。
『戦神、龍神、後は我が引き受けます……』
そう言った鬼神の顔は何かを決意していた。
『鬼神、争いは嫌いなのでは………?』
『…………っ!?』
疑問を口にする龍神に対し、戦神は鬼神が何をしようとしているのか瞬時に理解し激怒した。
『鬼神あれだけはよせ!!
あの時あれを使ったせいで、お前自身どうなったか忘れたわけじゃないだろう!!?
またあれを使えば、今度こそお前は助からない!
神とて不死でもなければ万能でもない!!
その事はお前が一番わかっているだろう!!』
戦神の言葉を聞いて、鬼神が何をしようとしているのかやっと龍神も気づいた。
『鬼神……あれだけはダメだ!
あれはお前の命を糧に使う力』
言い聞かせる様に龍神は言った。
だが、鬼神は淡い笑みを浮かべ、そしてこう言った。
『神子を止めるにはこれしかない。
例え我が死んだとしても……』
そして鬼神は呪文を詠唱し始めた。
二人の神は詠唱し始めた鬼神にまだ何か言いたそうにしていたが、その言葉を発することが出来なかった。
鬼神の覚悟、これを止める事は二人には出来なかった。
『……………戦神よ、今は我等に出来る事をしよう』
龍神諦め言う。
もう鬼神の耳には何者の声も聞こえない。
わかってはいる。
それでも戦神は諦めきれずにいるのだ。
『何で………何でなんだよ……………』
拳を握り締め、自分の無力さに苛立つ。
そんな戦神を龍神はただ静かに見つめ、動くのを待った。
『…………龍神』
数分がたった後、戦神はその重い口を開き、顔を上げ言った。
『行こう龍神。
なんびとたりともあいつの邪魔はさせん』
そう言って敵の元へ行く戦神の顔にはもう迷いはなかった。
ただ今は鬼神の所に敵が行くのを防ぐのに専念する事だった。
そんな戦神の姿を見た龍神は鬼神に語りかけた。
『奴も漸く覚悟を決めたようだ。
だが鬼神よ、あまり我等を困らせてくれるなよ』
苦笑混じりに言う。
例え自分の声が鬼神に届かなくても………
言った後に龍神は戦神の元に向かい、共に敵の足止めをした。
だがその言葉と行動は、鬼神に届いていた。
詠唱中の為に返答は出来なかったが、鬼神の目には涙が浮かび流れていた。
どれだけの時間がたったのか、戦神達がもう敵を食い止める事が出来なくなっていたのと同じくして、詠唱の終わった 鬼神は二人に向かって叫ぶ。
『二人共そこから離れよ!』
それを聞いた二人の神は瞬時に離れる。
それと同時に敵の周りを囲う様に光の輪が天から指していた。
そして一言最後に唱える。
『深き闇へと沈め!!』
その言葉が発せられた瞬間に、天から指していた光が一段と輝き、あれだけいた数の敵が一瞬にして居なくなったのだ。
だが一体だけ、それに抵抗し消えない者がいた。
それがあの神子なのだ。
神子は何かを叫んでいたが、何を言っているのか三人の神には全く分からなかった。
何を言っているか気にはなったが、鬼神は放っている力に更に力を入れた。
それにはさすがの神子も耐えることが出来なくなり、その場に崩れ、足掻き苦しんだ。
そして、消える瞬間神子は言った。
『私は消えない!
たとえ今消えたとしても、貴様達神が滅ぶ事に変わりはない!
私はいずれ復活する!!
その時が貴様達の最後だ!!
はっ、ははははは………!!!』
そして、神子は消えた。
それを見届けた3人の神。
だが、鬼神は限界を超えていた為そのまま倒れた。
『『鬼神!!!』』
それを見た二人の神は驚き、鬼神の元に駆け寄った。
『しっかりしろ鬼神!!』
『…ハァ…………ハア………………だ…大………丈夫……です…………』
戦神は倒れた鬼神を抱き上げ声を掛ける。
その声に応える鬼神の声は息も絶え絶えで弱々しかった。
それでも笑顔で応え、大丈夫、心配はいりませんと言う。
『……ハァ…ハァ……ハァ………ハァ…………戦神…龍神………二人に………が………あ…ります』
必死に何かを伝えようとするが中々声にならない。
それを身兼ねた戦神が言う。
『もういい!
もう喋るな!!』
だが、鬼神は首を横に振る。
『ハァハァハァ…………わ…れは………もう消…えます………そ…の……前に…』
そう言った鬼神は、両神の額に手をやった。
すると淡い光が額から放たれ、暫くするとその光は消えた。
『これ……で……………』
その言葉を最後に鬼神は光に包まれ消え去った。
『鬼神…………………………』
後に残ったのは悲しみに打ち拉がれる二人の神だけだった。
0
あなたにおすすめの小説
落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした
444
BL
『醜い顔…汚らしい』
幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。
だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。
その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話
暴力表現があるところには※をつけております
囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる