【完結】教室崩壊カメレオン【他サイトにてカテゴリー2位獲得作品】

麻田ゆま

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7.追想のカメレオン

「釜西くん。お友だちよ」

ベッドの上で野球ボールを握っていた蓮が、こちらを振り向いた。
目が合った瞬間、彼は驚いたように俺を凝視した。

「は?」

蓮の第一声は、それだった。

あちらこちらに包帯が巻いてあるものの、彼自身は思ったより元気そうだった。 
生きていてくれて良かった。心からそう思う。 
だけどすぐに、どの立場で安堵しているんだ、と背徳感に襲われる。
そもそも彼に死なれて困るのは、単に自分の罪が重くなるからじゃないだろうか。
それを否定することが、今の自分には出来ない。


いつの間にか看護師さんはいなくなっていた。

「蓮、俺、謝りたくて……」 

「いらねえよ」

低い声が落とされる。顔を上げる俺を、蓮の冷たい目が見つめる。

「許せないのに謝られたって、気分が悪いだけだろ」

当たり前のことを言われただけなのに、俺の心はひどく傷ついた。
同時に、自分の甘さを再確認させられる。

「あんた、どういう神経してたら当日にのこのこやって来れるわけ? 謝りたいって、そんなの自己満足でしょ? 蓮が嫌な思いをするとか、何も考えなかったの?」

凛歌が、蓮に寄り添いながら俺を睨む。

「……蓮、お前、担任に嘘ついたろ?」 

蓮の眉がぴくりと動いた。
――はしゃいでたら、誤って落ちた。 

「なんで、あんなこと言った?」

全部俺のせいにする方が、蓮の気も晴れるだろうに。

許されない。謝ることすら。それなのに、心のどこかで期待している。嘘をついたのは、俺を庇うためだったのかもしれない、と。

「俺が、自分で復讐したかったから」

「え?」

視界が、悪くなる。言葉の意味が飲み込めない。
まるで表情も変えずに、さらりと落とされた言葉は、その邪悪な響きだけを俺の心臓に植え付ける。

「これからお前がどう生きていくのかは知らないけど、森也が楽しく過ごしていくなんて、許さないから」

このとき、俺は知った。蓮の心を完全に壊してしまったことを。



それから、俺は学校に通うことを放棄した。

正確には、まともな学校生活を送れるような精神状態ではなかった。
登校拒否になってすぐ、例の一件はすべて俺ひとりの責任にされたらしい。 

知らないうちに、両親は俺と妹の分の転校手続きを済ませていた。

俺は、逃げるようにあの地を離れた。





――わたしたちの噂学校 掲示板サイト

「噂の人殺しカメレオンが、転校した件@鷹谷」

――コメント

「ヒカリ:ああ、Kを自殺させた奴?」

「ヨシイ:そうそう」

「ミナト:死んでないだろ?」

「リンカ:未遂よ。とっくに復帰してる」

「ヒカリ:3階から飛び降りたんだよね? めっちゃ騒がれてた」

「リンカ:で、どこ行ったの? 転校先は?」

「ミナト:亀之湖中学校ってところらしい。兵庫の田舎」

「ヨシイ:次の被害が出るな、気の毒すぎるわ」

「アイ:待って。自分、亀之湖の生徒なんですけど」

「ミナト:え? まじで?」

「アイ:うん。ていうか、最近クラスに転校生来たんやけど、もしかして、あれが?」

「ヨシイ:うわー。クラスメイトきたー」

「ミナト:気をつけろよ。そいつ、本気でヤバいヤツだから」

「アイ:やばいって?」

「リンカ:Kの件以外にも何かあったの?」

「ミナト:教師を一人、やめさせたんだよ」

「アイ:めっちゃ危ないやつやん」

「カレン:アイさん。詳しく話を聞きたいので、ダイレクトメールを送ってもいいですか? 伝えたいこともありますし」

「ヨシイ:誰だお前。ここで聞けばいいだろ、コソコソすんな」

「アイ:カレンさん。大丈夫ですよ。待ってい|
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