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「セシリア……今さらだが、すまなかった」
王宮の一室に呼ばれたセシリアが通されると、そこには深い溜息をついたライナスが立っていた。
先日も謝罪の言葉をもらったが、今日はさらに正式な場を設けているらしい。
「ライナス殿下、もうお気になさらなくて構いません。私自身も、当時の態度には問題があったかもしれませんし」
セシリアが落ち着いた口調で返すと、ライナスはその顔をまっすぐ見つめる。
かつての傲慢な雰囲気は消え、どこか陰のある表情だ。
「確かに、おまえの言動に腹が立ったことはあった。だが、根底にはマーガレットらが流した悪意ある噂があった。それを確かめずにおまえを切り捨てたのは余の責任だ」
ライナスは一度言葉を切り、苦々しげに続ける。
「結果的に、余は王太子としての信用を落としてしまった。セシリア、おまえを傷つけた上に、周囲にも迷惑をかけた。こんな醜態をさらすとは、自分でも情けない」
そう言うと、ライナスは深く頭を下げた。
王太子が頭を下げるというのは、よほどの決意だとセシリアは思う。
「殿下……顔をお上げください。私も、ずっと殿下を誤解していた部分があるのかもしれません」
「おまえは悪くない。おまえは誰よりも家門を大切にしていただけだろう。悪役を買って出たのも、そのためだと聞いた」
ライナスの声が少し震える。
彼は、自分の誤断がセシリアを追い詰め、さらにマーガレットらを増長させた事実を重く受け止めているようだ。
「ならば、私からも一つお願いがあります。どうか、これから先はもっと周りの声に耳を傾けてください。先入観だけで人を裁くのではなく、真実を見極める努力を」
セシリアの柔らかな言葉に、ライナスは少しだけ目を見開き、そして小さく苦笑する。
「そうだな。おまえの言う通りだ。余は王太子として、もっと成長しなければならない。……本当にすまなかった。ありがとう」
ライナスはもう一度深く頭を下げ、そのまま背筋を伸ばした。
傍らの側近たちもホッとしたような表情を浮かべる。
「……セシリア、今後おまえがどのような道を歩むかは自由だ。ガーネット家も安泰になるだろうし、余としても協力を惜しまないつもりだ」
「ありがとうございます。殿下のお言葉、ありがたく頂戴いたします」
セシリアは微笑んで礼をし、その場を辞する。
部屋を出ると、まるで重荷から解放されたように息をつく。
(終わった……本当に)
胸の奥に広がる開放感。
これでようやく、悪役の仮面を完全に下ろせる。
そして、自分の人生を自分の意志で切り開いていける――。
そんな思いを抱きながら、セシリアは王宮の廊下を歩いていった。
王宮の一室に呼ばれたセシリアが通されると、そこには深い溜息をついたライナスが立っていた。
先日も謝罪の言葉をもらったが、今日はさらに正式な場を設けているらしい。
「ライナス殿下、もうお気になさらなくて構いません。私自身も、当時の態度には問題があったかもしれませんし」
セシリアが落ち着いた口調で返すと、ライナスはその顔をまっすぐ見つめる。
かつての傲慢な雰囲気は消え、どこか陰のある表情だ。
「確かに、おまえの言動に腹が立ったことはあった。だが、根底にはマーガレットらが流した悪意ある噂があった。それを確かめずにおまえを切り捨てたのは余の責任だ」
ライナスは一度言葉を切り、苦々しげに続ける。
「結果的に、余は王太子としての信用を落としてしまった。セシリア、おまえを傷つけた上に、周囲にも迷惑をかけた。こんな醜態をさらすとは、自分でも情けない」
そう言うと、ライナスは深く頭を下げた。
王太子が頭を下げるというのは、よほどの決意だとセシリアは思う。
「殿下……顔をお上げください。私も、ずっと殿下を誤解していた部分があるのかもしれません」
「おまえは悪くない。おまえは誰よりも家門を大切にしていただけだろう。悪役を買って出たのも、そのためだと聞いた」
ライナスの声が少し震える。
彼は、自分の誤断がセシリアを追い詰め、さらにマーガレットらを増長させた事実を重く受け止めているようだ。
「ならば、私からも一つお願いがあります。どうか、これから先はもっと周りの声に耳を傾けてください。先入観だけで人を裁くのではなく、真実を見極める努力を」
セシリアの柔らかな言葉に、ライナスは少しだけ目を見開き、そして小さく苦笑する。
「そうだな。おまえの言う通りだ。余は王太子として、もっと成長しなければならない。……本当にすまなかった。ありがとう」
ライナスはもう一度深く頭を下げ、そのまま背筋を伸ばした。
傍らの側近たちもホッとしたような表情を浮かべる。
「……セシリア、今後おまえがどのような道を歩むかは自由だ。ガーネット家も安泰になるだろうし、余としても協力を惜しまないつもりだ」
「ありがとうございます。殿下のお言葉、ありがたく頂戴いたします」
セシリアは微笑んで礼をし、その場を辞する。
部屋を出ると、まるで重荷から解放されたように息をつく。
(終わった……本当に)
胸の奥に広がる開放感。
これでようやく、悪役の仮面を完全に下ろせる。
そして、自分の人生を自分の意志で切り開いていける――。
そんな思いを抱きながら、セシリアは王宮の廊下を歩いていった。
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