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第三章
第二章:黄金の隠蔽
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一方、王城の書庫室。
ビクトルは、実父であるシャルール侯爵の秘密金庫から強奪した「極秘文書」を広げていた。古びた羊皮紙には、王家の刻印と共に、およそ美しき貴族の生活には似つかわしくない、冷酷な演算結果が並んでいた。
「信じられない。父上、貴女たちは最初から……」
ビクトルの翡翠の瞳が、驚愕と嫌悪で激しく揺れる。
文書には、歴代の王家と上層貴族が数十年前から共有していた「生存シミュレーション」が記されていた。
――島の総浮力は、限界点を超過している。
――維持管理に必要な全リソースを投入しても、崩壊を止めることは叶わない。
――沈没までの猶予、およそ三千六百余日。
それは、セリーヌが女王に即位するずっと前から、この世界の支配者たちが共有していた「沈没の日付」だった。彼らが交易を絶ち、人口減少を放置し、下層民を切り捨ててきたのは、単なる無能や傲慢からではなかった。最後の日まで、自分たち特権階級だけが贅を尽くし、静かに死を迎えるための「時間稼ぎ」だったのである。ビクトルは急いで延さん気に数字を叩きこむ。いつだ?いつ、この島は沈む?
「百日……。私たちの愛も、野心もも。すべてはこの百日という砂時計の中の出来事だったのか」
ビクトルは、あまりの衝撃に膝を折った。実父たちが、自分さえも「何も知らぬまま死ぬための駒」として見ていた事実に、彼の高貴な矜持が粉々に砕け散っていった。
第三章:百日の残照と、女王の覚醒
王城へと帰還した二人は、祝杯をあげる暇もなく、第二正妃候補ビクトルが持ち出した極秘文書に凍りついた。そこには、浮島沈没まで「残り百日」という、歴代王家と保守派貴族がひた隠しにしてきた真実が記されていた。
深夜、セリーヌの寝所。スズカ、アユ、ビクトル、そしてルーク。女王の周囲を、立場の異なる四人の男たちが取り囲んでいた。
スズカの潜水服は、まだ仲間の血と重油の匂いが染み付いている。彼は血走った眼で、女王を睨みつけた。
「クソ笑えねえ冗談だ。俺の仲間は十名以上、あの海底で死んだ。このリアクター一つで島が救えるなんて、全部嘘っぱちじゃねえか」
スズカは、血と海水で汚れたボルト回しを、豪奢な大理石のテーブルに叩きつけた。
「女王様、あんたは知ってたのか。この島が最初から沈む運命だったことを。俺たちは、死ぬことが決まってるタイタニック号の甲板で、死ぬまで踊らされてただけなのかよ!」
沈黙が広間を支配する。セリーヌは潤んだ瞳でスズカを見つめたが、その唇から出たのは謝罪ではなかった。
「いいえ、スズカ。私も知らされていなかった。でも、百日あれば、十分だ。島が沈むなら、別の何かを浮かせるまで。この島が私の支配を拒もうと、私がこの島の女王であることに変わりはない。誰一人死なせない!」
セリーヌはスズカの胸元を掴み、力強く引き寄せた。
「聞きなさい、私の夫たち。私は、あなたたちを守る。だから、私と共に戦うのよ! この島を、誰にも沈めさせはしない。私と、あなたたちの『方舟』にするの!」
その宣戦布告に、広場にいた男たちの魂が震えた。だが、スズカだけは冷笑を浮かべたまま動かない。彼はセリーヌの首筋に手をかけ、その白い肌を汚すのも厭わずに顔を近づけた。
「は、威勢がいいな。女王様。だが、仲間の命の対価が、そんな綺麗事だけで済むと思うなよ」
スズカの低い声が、閨に響く。ルークが身構え、ビクトルが息を呑む中、スズカはセリーヌの耳元で残酷に囁いた。
「今夜、あんたの時間を俺に寄こせ。一晩中、俺だけのためにその身体も心も使い果たしてもらう。……俺に死んだ仲間たちの無念を忘れさせるほどの、最高に熱い一夜をな。それが、俺がこの百日を戦い抜くための、最低限の『前払い』だ」
静寂。ルークの瞳に殺気が宿り、アユは困惑して親友を見た。しかし、セリーヌは逃げなかった。彼女はスズカの泥にまみれた頬にそっと手を添え、挑発するように微笑んだ。
「……いいわ。今夜、私の全てをあなたに刻み込んであげる。その代わりスズカ、明日からは貴女は私の地獄への伴走者よ」
セリーヌはルークたちを下がらせると、重厚な扉を閉めた。 百日後の沈没という絶望的なカウントダウン。その始まりの夜、一人の女王と、仲間の死を背負った野獣のような男は、互いの命を削り合うような、狂おしく激しい「契約」の儀式へと溺れていった。
夜着を肩から滑り落とし、セリーヌはベッドへ横たわるスズカに跨った。
それは女王としては似つかわしくない破天荒な振る舞いだった。だがその積極的な様子にスズカは高ぶった。彼女の小ぶりな乳房を鷲掴むと荒々しく揉みながら、その先端に吸い付いた。操縦桿を握るように手荒に乳房を上下左右に捻ると、さすがのセリーヌも痛みに低く呻いた。だがそれも気にせずにしっかりと己の雄をセリーヌにあてがい、一気に内側へと押し込んだ。
「あ、ああっ!」
セリーヌが歓喜の声を上げる。痛みは快楽に、快楽は痛みに生まれ変わる。スズカの太く丸い幹は深々とセリーヌ中を抉った。セリーヌの尻がスズカの上で跳ねる。女王は自ら腰を上下に振り立てスズカを煽った。スズカが上半身を起こしてセリーヌの腰を深く抱いた。互いの肌がぶつかる音が閨に大きく響く。呻き、喘ぎ、すすり泣く女王を圧倒的な質量が打ちのめす。
「ああ、セリーヌ。俺はお前に惚れたかもしれねぇ……」
下からの強烈な突き上げを止めぬままスズカが告白する。セリーヌは熱い楔を打ち込まれながらも嫣然と微笑む。
「なら、私に赤ん坊を頂戴。可愛い女の子が良いわ。次世代の女王に新しい島を与えて」
「あんたの望みなら、何だって叶えてやるさ!」
そう叫ぶとスズカは攻守を逆転させてセリーの真上に陣取った。垂直に腰を叩きつけるピストンで子宮を押しつぶす。その先には彼女が望む赤ん坊の卵が既に待機している。それが分かっているとでも言いたげに、スズカは幾度もその入り口を雄の先端で叩く。ぬらぬらと濡れるセリーヌの割れ目が限界が近いとヒクつく。スズカは容赦しなかった。卵が休むゆりかごを外側から揺さぶり入口に切っ先を押し当てて、子宮内へと半分自身を埋めるようにして射精した。
「ああっ! セリーヌ!」
「スズカ……っ!!」
絶頂は長く、二人は最後まで繋がり合っていた。その子種が卵へとたどり着いたかは分からぬまま、幾度も身体を交えて果てた。
月光が海面に反射し、天井の装飾を不気味な水紋のように揺らしていた。スズカの逞しい腕に抱かれながら、セリーヌは一筋の汗に濡れた前髪をかき上げ、虚空を見つめた。その琥珀色の瞳は、数時間前まで男を翻弄していた女王のそれではなく、ただ独り、出口のない迷宮を彷徨う迷子のようでもあった。
「なぁ、女王様。さっき、うなされてただろ」
スズカの掠れた声が、静寂を破った。彼は自身の腕の中に収まる、驚くほど華奢な肩の震えを感じ取っていた。
「……『フィオナ』って……誰の名だ? 死んだ俺の仲間たちも、人魚の歌声の中でその名を呼んでやがった。あの呪われた沈没都市で、何を聞かされた」
セリーヌは、スズカの胸の鼓動を確かめるように、そっと耳を寄せた。彼女の口から溢れ出したのは、寝物語にしてはあまりに冷酷な、この世界の設計図だった。
「フィオナは、個人を指す名ではないの。……それはこの島が、システムの末端となった女たちに与える、シリアルナンバーのようなもの」
セリーヌは、自身の肌に刻まれた、島への接続用端子(バイオポート)をなぞった。 「私の姉も、その前の代の母も、最後は名前を奪われて『フィオナ』と呼ばれた。……この島を浮かせる演算処理能力が限界を迎えるたび、王家の女たちは地下聖堂の深層回路へ直結される。意識はデジタル化され、自我は重力制御のコードへと書き換えられていく。いまこの瞬間も、深層意識のなかで、あいつの声が聞こえるわ。――『フィオナ、お前の役目を果たせ』。――『お前の脳を、この島の一部に差し出せ』と」
セリーヌはスズカの胸元を強く掴み、爪が食い込むほどに力を込めた。
「ルルイ・ハルの記録にあった『理想郷フィオナ』は、新天地なんかじゃない。それは、人間を部品として消費し尽くした果てに辿り着く、無機質な静止の世界。この島は、私を次の部品として、百日後の崩壊を防ぐための贄として呼んでいるのよ。……でも、私はあいつのフィオナにはならない」
スズカはセリーヌを強く抱き寄せた。その髪に口づける。
「俺が惚れた女をそんな目に合わせやしない。俺を使え、セリーヌ。お前の手足になろう」
ビクトルは、実父であるシャルール侯爵の秘密金庫から強奪した「極秘文書」を広げていた。古びた羊皮紙には、王家の刻印と共に、およそ美しき貴族の生活には似つかわしくない、冷酷な演算結果が並んでいた。
「信じられない。父上、貴女たちは最初から……」
ビクトルの翡翠の瞳が、驚愕と嫌悪で激しく揺れる。
文書には、歴代の王家と上層貴族が数十年前から共有していた「生存シミュレーション」が記されていた。
――島の総浮力は、限界点を超過している。
――維持管理に必要な全リソースを投入しても、崩壊を止めることは叶わない。
――沈没までの猶予、およそ三千六百余日。
それは、セリーヌが女王に即位するずっと前から、この世界の支配者たちが共有していた「沈没の日付」だった。彼らが交易を絶ち、人口減少を放置し、下層民を切り捨ててきたのは、単なる無能や傲慢からではなかった。最後の日まで、自分たち特権階級だけが贅を尽くし、静かに死を迎えるための「時間稼ぎ」だったのである。ビクトルは急いで延さん気に数字を叩きこむ。いつだ?いつ、この島は沈む?
「百日……。私たちの愛も、野心もも。すべてはこの百日という砂時計の中の出来事だったのか」
ビクトルは、あまりの衝撃に膝を折った。実父たちが、自分さえも「何も知らぬまま死ぬための駒」として見ていた事実に、彼の高貴な矜持が粉々に砕け散っていった。
第三章:百日の残照と、女王の覚醒
王城へと帰還した二人は、祝杯をあげる暇もなく、第二正妃候補ビクトルが持ち出した極秘文書に凍りついた。そこには、浮島沈没まで「残り百日」という、歴代王家と保守派貴族がひた隠しにしてきた真実が記されていた。
深夜、セリーヌの寝所。スズカ、アユ、ビクトル、そしてルーク。女王の周囲を、立場の異なる四人の男たちが取り囲んでいた。
スズカの潜水服は、まだ仲間の血と重油の匂いが染み付いている。彼は血走った眼で、女王を睨みつけた。
「クソ笑えねえ冗談だ。俺の仲間は十名以上、あの海底で死んだ。このリアクター一つで島が救えるなんて、全部嘘っぱちじゃねえか」
スズカは、血と海水で汚れたボルト回しを、豪奢な大理石のテーブルに叩きつけた。
「女王様、あんたは知ってたのか。この島が最初から沈む運命だったことを。俺たちは、死ぬことが決まってるタイタニック号の甲板で、死ぬまで踊らされてただけなのかよ!」
沈黙が広間を支配する。セリーヌは潤んだ瞳でスズカを見つめたが、その唇から出たのは謝罪ではなかった。
「いいえ、スズカ。私も知らされていなかった。でも、百日あれば、十分だ。島が沈むなら、別の何かを浮かせるまで。この島が私の支配を拒もうと、私がこの島の女王であることに変わりはない。誰一人死なせない!」
セリーヌはスズカの胸元を掴み、力強く引き寄せた。
「聞きなさい、私の夫たち。私は、あなたたちを守る。だから、私と共に戦うのよ! この島を、誰にも沈めさせはしない。私と、あなたたちの『方舟』にするの!」
その宣戦布告に、広場にいた男たちの魂が震えた。だが、スズカだけは冷笑を浮かべたまま動かない。彼はセリーヌの首筋に手をかけ、その白い肌を汚すのも厭わずに顔を近づけた。
「は、威勢がいいな。女王様。だが、仲間の命の対価が、そんな綺麗事だけで済むと思うなよ」
スズカの低い声が、閨に響く。ルークが身構え、ビクトルが息を呑む中、スズカはセリーヌの耳元で残酷に囁いた。
「今夜、あんたの時間を俺に寄こせ。一晩中、俺だけのためにその身体も心も使い果たしてもらう。……俺に死んだ仲間たちの無念を忘れさせるほどの、最高に熱い一夜をな。それが、俺がこの百日を戦い抜くための、最低限の『前払い』だ」
静寂。ルークの瞳に殺気が宿り、アユは困惑して親友を見た。しかし、セリーヌは逃げなかった。彼女はスズカの泥にまみれた頬にそっと手を添え、挑発するように微笑んだ。
「……いいわ。今夜、私の全てをあなたに刻み込んであげる。その代わりスズカ、明日からは貴女は私の地獄への伴走者よ」
セリーヌはルークたちを下がらせると、重厚な扉を閉めた。 百日後の沈没という絶望的なカウントダウン。その始まりの夜、一人の女王と、仲間の死を背負った野獣のような男は、互いの命を削り合うような、狂おしく激しい「契約」の儀式へと溺れていった。
夜着を肩から滑り落とし、セリーヌはベッドへ横たわるスズカに跨った。
それは女王としては似つかわしくない破天荒な振る舞いだった。だがその積極的な様子にスズカは高ぶった。彼女の小ぶりな乳房を鷲掴むと荒々しく揉みながら、その先端に吸い付いた。操縦桿を握るように手荒に乳房を上下左右に捻ると、さすがのセリーヌも痛みに低く呻いた。だがそれも気にせずにしっかりと己の雄をセリーヌにあてがい、一気に内側へと押し込んだ。
「あ、ああっ!」
セリーヌが歓喜の声を上げる。痛みは快楽に、快楽は痛みに生まれ変わる。スズカの太く丸い幹は深々とセリーヌ中を抉った。セリーヌの尻がスズカの上で跳ねる。女王は自ら腰を上下に振り立てスズカを煽った。スズカが上半身を起こしてセリーヌの腰を深く抱いた。互いの肌がぶつかる音が閨に大きく響く。呻き、喘ぎ、すすり泣く女王を圧倒的な質量が打ちのめす。
「ああ、セリーヌ。俺はお前に惚れたかもしれねぇ……」
下からの強烈な突き上げを止めぬままスズカが告白する。セリーヌは熱い楔を打ち込まれながらも嫣然と微笑む。
「なら、私に赤ん坊を頂戴。可愛い女の子が良いわ。次世代の女王に新しい島を与えて」
「あんたの望みなら、何だって叶えてやるさ!」
そう叫ぶとスズカは攻守を逆転させてセリーの真上に陣取った。垂直に腰を叩きつけるピストンで子宮を押しつぶす。その先には彼女が望む赤ん坊の卵が既に待機している。それが分かっているとでも言いたげに、スズカは幾度もその入り口を雄の先端で叩く。ぬらぬらと濡れるセリーヌの割れ目が限界が近いとヒクつく。スズカは容赦しなかった。卵が休むゆりかごを外側から揺さぶり入口に切っ先を押し当てて、子宮内へと半分自身を埋めるようにして射精した。
「ああっ! セリーヌ!」
「スズカ……っ!!」
絶頂は長く、二人は最後まで繋がり合っていた。その子種が卵へとたどり着いたかは分からぬまま、幾度も身体を交えて果てた。
月光が海面に反射し、天井の装飾を不気味な水紋のように揺らしていた。スズカの逞しい腕に抱かれながら、セリーヌは一筋の汗に濡れた前髪をかき上げ、虚空を見つめた。その琥珀色の瞳は、数時間前まで男を翻弄していた女王のそれではなく、ただ独り、出口のない迷宮を彷徨う迷子のようでもあった。
「なぁ、女王様。さっき、うなされてただろ」
スズカの掠れた声が、静寂を破った。彼は自身の腕の中に収まる、驚くほど華奢な肩の震えを感じ取っていた。
「……『フィオナ』って……誰の名だ? 死んだ俺の仲間たちも、人魚の歌声の中でその名を呼んでやがった。あの呪われた沈没都市で、何を聞かされた」
セリーヌは、スズカの胸の鼓動を確かめるように、そっと耳を寄せた。彼女の口から溢れ出したのは、寝物語にしてはあまりに冷酷な、この世界の設計図だった。
「フィオナは、個人を指す名ではないの。……それはこの島が、システムの末端となった女たちに与える、シリアルナンバーのようなもの」
セリーヌは、自身の肌に刻まれた、島への接続用端子(バイオポート)をなぞった。 「私の姉も、その前の代の母も、最後は名前を奪われて『フィオナ』と呼ばれた。……この島を浮かせる演算処理能力が限界を迎えるたび、王家の女たちは地下聖堂の深層回路へ直結される。意識はデジタル化され、自我は重力制御のコードへと書き換えられていく。いまこの瞬間も、深層意識のなかで、あいつの声が聞こえるわ。――『フィオナ、お前の役目を果たせ』。――『お前の脳を、この島の一部に差し出せ』と」
セリーヌはスズカの胸元を強く掴み、爪が食い込むほどに力を込めた。
「ルルイ・ハルの記録にあった『理想郷フィオナ』は、新天地なんかじゃない。それは、人間を部品として消費し尽くした果てに辿り着く、無機質な静止の世界。この島は、私を次の部品として、百日後の崩壊を防ぐための贄として呼んでいるのよ。……でも、私はあいつのフィオナにはならない」
スズカはセリーヌを強く抱き寄せた。その髪に口づける。
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