終焉の晩餐会:追放される悪役令息は、狂欲の執事と飢えた庭師を飼い慣らす

河野彰

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第一章:白薔薇の御曹司

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 かつて、ローゼンベルグ家の庭には白薔薇が咲き誇っていた。嫡男リュシアンはその薔薇のように繊細で、風が吹けば折れてしまいそうなほど心優しい青年だった。しかし、名門という名の虚飾は、代々の放蕩が積み上げた負の遺産によって、音を立てて崩れようとしていた。
 リュシアンの指先は、本来ならば詩を綴り、ピアノを奏でるためのものだった。だが、屋敷に連日押し寄せる債権者たちの怒号と、病床でなお贅沢を望む父の呪詛が、彼を帳簿の改竄と禁制品の密売という汚泥に染めさせた。
 初めて裏取引の場に立った夜、リュシアンの膝は震えていた。その手には、震えを隠すために握りしめた数枚の金貨。しかし、その金貨は彼を救うためのものではなく、彼の魂を地獄へ繋ぎ止めるための重りとなったのだ。
  銀髪に不安をたたえた紫の瞳。困ったような優しい笑顔。貴族らしい優美な顔立ちだが、常に怯えと疲労の色を浮かべており、庇護欲をそそる。彼が二十代も後半なのだと知ったら誰もが驚くに違いない。それほどまでに彼は幼く純粋だった。
 そしてそのそばには常に二匹のけだものが控えていた。執事のフェラムと庭師のルタム。これら、彼らが紡ぐ永劫の地獄の物語。
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