終焉の晩餐会:追放される悪役令息は、狂欲の執事と飢えた庭師を飼い慣らす

河野彰

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第九章:鉄の執事と泥の食卓――二匹のけだものの会合

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 血の匂いと泥の湿気に満ちたルタムの作業小屋。その静寂を破ったのは、重厚な革靴が落ち葉を踏みしめる冷ややかな音だった。
 扉が外側から暴力的に蹴破られる。入り口に佇んでいたのは、煤一つない執事服を纏い、青い瞳に絶対的な零度を宿したフェラムだった。

「おやおや……随分と湿っぽく、不衛生な場所ですね。私の小鳥をこんな泥溜めに隠して、ただで済むとお思いですか?」

 フェラムの視線は、食卓の上に横たわるリュシアンへと向けられた。右肩にルタムの焼印を刻まれ、人の肉を食らい、血を滴らせる主。そのあまりに無残で、美しく汚された姿に、フェラムの額に青筋が浮かぶ。

「あはは、見つかっちゃった。フェラム様は鼻が利くのですね、執事というよりまるで番犬だ」

 ルタムは手にしていたナイフを軽やかに弄びながら、リュシアンの腰を抱き寄せる。まるでこれは自分の獲物だと誇示するように、ルタムはリュシアンの頬をペろりと舐め上げた。

「リュリュはもう、僕の一部。あなたの冷たい檻より、僕の温かい胃袋の中の方が幸せなんだよ」

「黙りなさい、汚らわしい。その手をどけろ。リュシアン様、お迎えに上がりました。汚れた口をゆすぎ、リードにつないで差し上げましょう」

 フェラムが懐から銀の剃刀を取り出す。それはかつてリュシアンの産毛を剃り、今は彼の抵抗を削ぎ落とすための凶器。ルタムは手斧を構え、無邪気な笑顔の裏に隠した狂犬の牙を剥き出しにした。
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