破天荒聖女ノルン・フォルシオンが征く!!

マギレ公

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30.悪夢再来

 「皆さん逃げてください!!」

 ぼくはみんなにそう叫んで、目の前の邪神に女神の杖を向ける。

 「我から逃れられると思うのか?」

 邪神ドルディバイアが、暗黒の炎を複数指先に発生させ、ぼく達に撃ち出してきた。

 「最高位防御陣エクス・プロテクション!!」

 みんなを守れる巨大な壁状に最高位防御陣エクス・プロテクションを展開して、暗黒の炎を受け止める。
 光り輝く防壁が邪神の攻撃を受け止めたその光景に、みんなが目を見開き恐怖に立ちすくむ。

 「私が皆さんをお守りしますから!!今すぐ逃げて下さい!!」

 もう一度ぼくが叫ぶと、みんな悲鳴を上げて背を向け、全力で逃げ出した。
 みんなが無事に逃げきった頃合いで、最高位防御陣エクス・プロテクションに阻まれていた暗黒の炎が消滅した。

 「邪神ドルディバイア!!あの時確かに勇者様が倒したはずなのに、なぜ生きているの!?」

 ぼくは杖を構えたまま、邪神に問いかける。

 「貴様達が倒したと思っているのは、我の抜け殻に過ぎぬ」
 
 「……抜け殻?」

 「そうだ!!破壊と殺戮の神であるこの我が!!人間如きに滅ぼされるなどあってたまるものか!!神器などと言うふざけた物を人間如きに与え、勇者と聖女なる者達を生み出し、卑劣極まりない策で千年もの間、我を封じた天界の神達!!二度も同じ手が我に通じると思うな!!」

 邪神は忌々しげにそう吐き捨て、ぼくに笑いながら告げる。

 「聖女よ。貴様が神の与えた力で我の力を封じたその時、我は既にその場にはいなかったのだ。貴様らが倒したのは我の操り人形に過ぎぬ。どんな気分だ?倒したと思っていた相手に殺される気分は?卑劣極まりない策で我を陥れようとした者達は全員、順番に我のこの手で殺してやる。偽りの勝利と平和の記憶に縋りつきながら、死ぬがよい!!」

 邪神は得意気な顔でそう答えた。

 「……はあ」

 なにそれ。思わずため息が出たよ。

 「それってつまり、神剣を持った勇者様が怖くて、逃げたってことだよね?」
 「……なにぃ?」

 ぼくは軽蔑の眼差しで、目の前の三下を見ながら言葉を続ける。

 「なんかさあ、すっごくがっかりだよ。仮にも邪神を名乗ってるくせに、やってる事がせこいんだもん」
 「な!?この我を愚弄するか!!」
 「されてとーぜんでしょ?大体、なにその姿。ちょっと耳が尖ってて口が裂けてるだけの、目つきが悪いつるっぱげ全裸おじさんじゃん。もっと強そうなツノ生やすとか、威厳のある衣装を着るなりするとかないわけ?」
 「な、な、な、なんだと!!」

 「やーいつるっぱげー♪勇者が怖くて逃げちゃう、よわよわ邪神ー♪ざーこ、ざーこ♪頭だけじゃなく脳みそまでつるっつるー♪」

 「貴様ああああっ!!」

 おーおー。三下邪神が怒ってる怒ってる。

 「仮にも邪神を名乗るなら、あの時大人しく滅んどけば良かったのにねえ。そしたら勇者に倒された伝説の邪神として語り継がれたのにさあ。こんな風に今更しゃしゃり出てきて、女の子相手にイキり散らすとか、生きてて恥ずかしくないのー?ぼくだったら、恥ずかしくって死んじゃうよお。あ、ごっめーん。弱虫の邪神ドルディバイア様には耳が痛かったよねー?死んじゃうの怖いもんねえ?勇者様に負けたら泣いちゃうもんねー?そんな邪神ドルディバイア様はー。カビ臭い暗闇で、ずっと膝を抱えて震えてるのがお・似・合・い♡勇者こわいよお♡やーい、ざあこ♡ざあこ♡」

 全力で目の前の三下を煽ってやる。

 「ーー殺す!!その体をズタズタに引き裂いて、二度と転生出来ぬようその魂を喰らってやる!!この我を」

 ーーやかましい。

 「防御陣プロテクションぱんち!!」

 「ぐふおうっ!?」

 邪神の言葉を遮って、防御陣プロテクションぱんちで邪神の顔面をぶん殴る。
 邪神が吹っ飛んで、地面をバウンドしながら転がっていく。

 いったい、ぼく達の冒険はなんだったのか。
 こんな三下を倒す為に、一年半も世界中駆けずり回ったのかと思うと、すっごく腹が立つ!!
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