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  エルバルトとリドウィンは、影から次々に集まってくる報告書に目を通していた
  アレの影響によって衰退していった各国を調べた時に集まった情報と類似している事が多々あった

  「やはり凡その法則がありますね」

  「市井で育った下級貴族の庶子か。ミンス男爵令嬢もそうだな。マナーも教養も身に付けず、自由奔放に振舞って、王族や高位貴族の令息を籠絡する、それも婚約者のいる者達だ」

  「普通であれば他の生徒達からの反発や批判があるはずですが、受け入れられている、寧ろ積極的に歓迎されてさえいますね」

  「歓迎どころか、この国であればミンス男爵令嬢を中心に回っているといえる。だから、ミンス男爵令嬢のターゲットであるリチャード王太子、彼の婚約者であるリーザロッテは邪魔者という事だ。リーザロッテの事を執拗に攻撃するのはその為だ」

  「エルバルトや私達もターゲットに加わっているようですがね」

  やたらと絡んでくる男爵令嬢を思い出して二人はうんざりする
  
  「何故か、私とアイリスの婚約が政略で、アイリスが権力を使って婚約したという事になっていますからね」

  「ハハッ、公爵家に対して伯爵家が権力でとは」

  エルバルトが面白そうに笑うとリドウィンは苦虫を噛み潰したような顔をして

  「王太子殿下や側近達取り巻きも同意していましたよ。重症ですね」

  「まあ、他の国でも同じだったようだからね。自分の気に入った令息と婚約している令嬢はみんな権力で無理矢理婚約したと攻撃するらしいね」

  「それに周囲が同意して婚約者の令嬢を虐げる。めちゃくちゃですね」

  「まあ、俺達は他国の王族と貴族だからね。流石に不用意に攻撃はしてこないだろう、あの令嬢は理解していないみたいだが。ただ、この影響力が強くなるとわからないな」

  「アイリスは簡単に害されるような事はないでしょうが、もし攻撃してくるような事があれば、只では置きませんよ。それもありますが、リーザロッテ嬢の事はどうします」

  「他国では、婚約者達の家族にも影響が及んだようだ。婚約者達は家族にも虐げられるようになったらしい……」

  「……それは、この国でも起こりうるという事ですよね」

  「ああ、ゆっくり考えてる時間はないかもしれない」

  「ダルナー騎士団長子息の婚約者は辺境伯令嬢ですよね。今は領地に帰っているみたいです」

  「辺境伯の領地なら暫くは影響はあまりないかもしれないな。今は当主も家族も領地にいるようだから」

  「カルテラー侯爵令息とオルコット侯爵令息の婚約者はまだ学園に通っていません」

  「まずはリンドル公爵家をどうにかしないとな」

  「上手くしないと、内政干渉になりかねませんからね」

  「取り敢えず、公爵家に行ってみるか」

  「突然訪問して、信用してもらえるでしょうか」

  「信用はしてもらえないだろうが、これを渡す事くらいなら出来るだろう」

  魔石の付いたブレスレットを持ち上げて

  「やらないよりは良いだろう」

  リンドル公爵家に先触れを出して、二人は外出の準備を整えた

  
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