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  ライディン王国の王太子の執務室に転移すると、その瞬間を知っていたかのような王太子に手を振って出迎えられた

  「おかえり。ご苦労だったね」

  「兄上、只今戻りました」

  にこやかにのんびりと挨拶を交わし合うエルバルトと王太子、そしてセレスティア達四人も気安い仲なのであろうが、突然ライディン王国の王太子の執務室に転移したリーザロッテは慌てて頭を垂れて最上級の礼を取った

  美しい姿勢て頭を垂れたままのリーザロッテの前に立つとにこやかな笑みを浮かべて

  「セルドリック・ライディンだ。此度は大変だったようだね」

  「リーザロッテ・リンドルにございます。突然の御無礼誠に申し訳ございません」

  そう、エルバルト達は兎も角リーザロッテは他国の貴族である
  エルバルトと共に転移して来たとはいえ、王宮のそれも王太子の部屋に突然現れれば、曲者として処分されてもおかしくはない状況なのだ
  
  「いやいや、エルバルトが連れて来たのだ、気にする事はない」

  「有り難きお言葉にございます」

  リーザロッテの頭を上げさせると、王太子はエルバルトに向かって

  「リーザロッテ嬢も色々と混乱して疲れてるであろう。部屋を用意させているから休ませてあげなさい。君達の部屋も用意しているから、今日はもう休みなさい。私は暫く会えなかったセレスティアとの時間を過ごしたい」

  セレスティアの腰に手を回して引き寄せると、リドウィン達にも休むように告げる
  エルバルトはリーザロッテに安心するように微笑み掛けると、王太子に礼をしてセレスティアだけを残して部屋を辞去した

  廊下に控えていた王宮侍女達に案内されて用意されていた部屋に入ると、ドレスを脱ぐのを手伝って貰い、軽く湯浴みをさせてもらってから用意されていた部屋用のドレスを着せてもらった

  突然現れた見知らぬ他国の令嬢にも、ライディン王国の王宮侍女達は丁寧に接してくれた
  自分の為に領地に行かずに仕えてくれた侍女二人の事を心配していると、扉がノックされてエルバルトが訪れた
  
  「リーザロッテ、良いからゆっくり座って」

  立ち上がって礼を取ったリーザロッテをエルバルトが座らせると

  「さっき、国境の砦に先に寮を立った者たちが無事に到着したと連絡があった。君の侍女達も無事に一緒にいるよ」

  リーザロッテはホッとして、良かった、と呟くと

  「エルバルト殿下、何から何までお世話になりまして、本当に有難うございます」

  「良いんだよ。今日はもうゆっくり休んで、明日またゆっくり話そう」

  エルバルトは侍女に命じて、セレスティアの癒しの魔法が掛かったキャンドルを灯させると部屋を後にした  

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