思っていたのとは少し違うみたいです

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 侯爵令嬢ジュリエッタはその日の夜も何はともなしに鏡を見ていた。
 鏡に映る顔を見ながら、やっぱり悪役令嬢って完璧な美少女だわ、などと思っていた··········

  ん？  うん？  悪役令嬢？

 え、今ナチュラルにものすごく自然に客観的な感想入ったけど··········これ、私の顔じゃない？
 
 ペタペタと顔を撫で回す

 鏡の中でも同じように顔を撫で回す私の姿

 やっぱり私の顔。──────────嘘でしょーー、
私生まれ変わってる

 今当然のように23歳まで生きていた記憶が甦った

 そしてこの鏡に映る顔、そう、さっき正に思った悪役令嬢の顔、プレイした事のある乙女ゲームの悪役令嬢だ。

 ジュリエッタ・リーファット侯爵令嬢、第2王子の婚約者でヒロインを虐めて断罪される悪役令嬢。

 改めて鏡で観察してみる。 うん、完璧な美少女、まだ10歳だから幼いけど透き通るように白くて陶磁器のような滑らかな肌、少しキツめの青紫色の瞳をしたアーモンド型の目、ツヤツヤの形の良い赤い唇、金髪ブロンドのサラサラツヤツヤヘアー、成長途中だけどスラリと長い手足、どこから見ても非の打ち所のない完璧な容姿だ。

 ただまあ、今はこれは私の姿だから自画自賛みたいになってるんだけどね。

 髪とペンを用意するとそれを持ってソファーに座り落ち着いて思い出せる事を書き出していく事にする。

 ジュリエッタ・リーファット侯爵令嬢、私の名前
 アイザック・エラール第2王子、2年前に成立した私の婚約者
 ミーフィア・サンタナ男爵令嬢、乙女ゲームが始まる学園に入学する前に判明したサンタナ男爵の庶子、彼女がヒロインだ
 ジェイド・スターン公爵令息、レイ・ローランド宰相令息、レイモンド・キャンベラ騎士団長令息、第2王子の側近候補攻略対象者達

 まんまじゃん、ヒロインのミーフィア以外は既に皆出会ってる、関係は別に良くも悪くもないというところ。第2王子とも仲が悪くもなければ良くもない。婚約者として月に1度お茶会などをしているだけである。

 子供だから夜会のエスコートなんてまだないし、この先どうなるのかなんて分からない。

 今まで読んだ事のある悪役令嬢転生物だと、断罪を回避するために転生チートで色々開発したりなんだけど、流石日本人が作った乙女ゲームの世界なだけあって、上下水道完備電気もガスもある、シャワーやお風呂も完璧シャンプーリンス、トリートメント、入浴剤まで揃ってる。
 ただ、電気はあるけどTVや電話、車はなくて馬車っていう中世世界。
 あ、何故かオーブンと冷蔵庫、洗濯機はある。
 ものは知っててもTVや電話、車の作り方なんて知らないし開発しようがない。

 食べ物に目を向けてみよう。調味料は揃ってる·····マヨネーズなんかを開発して大人気に、なんてあるけどマヨネーズなんて当たり前のようにある。チョコレートもマカロンもケーキもクッキーやマフィン、パンも色んな種類がある。

 じゃあ内政チートは？   
 私のお父様は切れ者完璧出来る男である。10歳の小娘に口を出す隙なんてあるわけがない。

 家族の関係を良くする？  とても仲の良い家族です。切れ者出来る男でありながら家族思いで優しいお父様、そしてとても美形。優しく社交的、社交界の華の一人でとても美人なお母様。お父様に似て切れ者出来る男、クールな美形のお兄様。流石美少女のジュリエッタの家族なだけあって恐ろしい程美形家族なんだよね。
 完璧、改善するところなし！

 うーん、考えても出来る事がない。

 仕方ない、ぶっつけ本番で乙女ゲームが始まる学園までは今まで通り、始まってから考えようかな··········

 疲れた私はベッドに入って、でもなんだろう·····肝心な所を忘れているような気がする·····そんな事を考えているうちに眠ってしまった。