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最後の咆哮④

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蒸発した湖の水は渦を巻きながら蒸発した分の水分まで天に登るかのごとく、魔力の光が天を指すように上がっていった。

その魔力の光が少しずつ消えると、そこには暗黒の花の蕾のように触手一本一本が花びらのように、今に見咲き誇らんばかりに、湖畔にとてつもなく巨大な黒い塊のような蕾を付けていた。

その邪悪な蕾から魔力を放出させながら、滅びの実を付けて今にも咲き誇らんとばかりに湖畔の街だけでなく、世界に脅威を撒き散らそうとしていた。

その蕾には至るところにヒビが入り、その触手は崩壊しかかっているかのようにも見えた。

だが、その花びらが1度崩壊してしまえば、世界の崩壊の息吹の芽が咲き誇ることさえあり得た。

そして、その崩壊を止める手立てはその花が咲こうとする一瞬のチャンスにかけるしかなかった。

俺は急いで精霊体である実体を取り戻そうと必死であがいた。

一度散らばった『賢者の勾玉』身体を構築するのに、今の魔力では時間がかかってしまう。

元の姿に戻る前に、魔神が触手を開ききってしまえば、またもやあの化け物たちが復活し、魔神も動き出す可能性がある。

俺はその蕾が開く一瞬のチャンスをシンゾーたちが気づいてくれることに頼るしかなかった。
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