教師と生徒とアイツと俺と

本宮瑚子

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53. 感情の矛先-3

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 里美と一緒に見かけて以来、学校以外で奈央と会う事はなかったのに、今日で三者面談が終わると言う日の朝。隣に奈央が住んでいても気付かなかったあの頃の方がきっと可笑しな話で、今朝はこうしてドアを開ければ、エレベーターを待っていた奈央と鉢合わせしてしまう。
 同じエレベーターに乗り込んで良いのかふと考えるが、先に乗り込んだ奈央は、その扉を閉めもせず開け放ったまま。それが乗っても良いというサインだと受け取った俺は、躊躇いがちに足を踏み入れた。
 奈央がいるのは操作パネルの前。俺は奥へと歩を進め、斜め前に立つ奈央の背中を見つめた。
 扉が閉まり静かに動き始めた個室の中。華奢な背中に手を伸ばそうと思えば簡単に届くほど近くにいるのに、

「母から電話がありました」

 突然、敬語で話し始めた奈央と俺との心の距離は、とてつもなく遠いものだと認識させられてしまう。

「今日の面談の事か?」
「はい。急な仕事で来れなくなったと。後で沢谷先生にも連絡を入れると言っていました」

 沢谷先生……か。

「そうか。分かった。でも予定通り面談はやるから、時間になったら教室に来いよ?」
「はい」

 後ろにいる俺を見もせず返事をした奈央。
 たったこれだけの会話を交わしただけで、この箱は一階へと到着してしまう。だが、扉が開いても【開】のボタンを押したままの奈央は動かない。

「降りないんですか?」

 同じく動けずにいた俺は、徒歩で学校に向かうべきか、奈央と別れ車を出すべきか思案していた。

「今日は車で行くから」
「そうですか」

 パネルから手を放した奈央が、狭いこの密室から出て行くと、一人残った俺の前で再び扉が静かに閉まる。
 何も触れてはいないのに動き出したエレベーターは、パネル上のオレンジ色のライトが、駐車場のある【B】の字を浮かび上がらせていた。降り際に奈央が押していってくれたのだろう。
 たったそれだけの気遣いが嬉しいのに、それでも一緒に登校するのを諦めたのは、周りの目があったからじゃない。振り向きもしなかった奈央の目を見たくなかったから。あの晩に見た、人形のように何も映さない奈央の瞳を、もう一度見る勇気がなかったからだ。





 今日も午後から予定通りに進む三者面談。窓を開け放った教室は、ゆるやかに流れ込む風のお陰で、丁度良い温度に保たれている。その中央に、横に二つずつ並べた机を向かい合わせる形にし、面談スペースとしていた。
 最終日の今日は、五組の面談が予定されていて、既に後半戦だ。

「どうもありがとうございました」

 三組目の生徒の親御さんが頭を下げ

「御苦労さまでした。お気をつけてお帰り下さい」

 と、出口まで見送りながら、次の面談者と顔を合わす。
 廊下に置かれたパイプ椅子には、穏やかに会話をする芹沢父子がいた。
 うちの父親と俺との関係とは、あまりにも違うほのぼのとした雰囲気に驚きながら、芹沢親子に目を合わせると、

「お待たせしました。中へどうぞ」

 二人を教室へと促した。

 ビシッとスーツを着こなしている、四十代半ばの芹沢の父親は、同年代の悩みの種である髪の毛とメタボの心配とは縁遠い体つきで、立端たっぱもある。
 顔のパーツは似てはいないが、芹沢がイケメンなのも頷けるほど、年齢よりもかなり若く見られるだろうその風貌は、笑えば芹沢にも共通する穏やかさを醸し出していた。

「沢谷先生、息子がお世話になっております。今回は、面談の日程まで変えて頂き申し訳ございませんでした」
「いえ、こちらこそお忙しい中、時間を割いて頂いてありがとうございます。奥さまの具合はいかがですか?」
「えぇ、家内は体が弱いものですから。今は自宅で休ませております」
「そうですか。あっ、どうぞお掛け下さい」

 立ったままで交わされた挨拶も済み、芹沢の面談が始まった。
 俺の前に父親。その隣に座った芹沢との面談は、医学部に進学志望と言う確認をしながら、スムーズに進んでいった。
 学力、学校内の生活面においても問題のない芹沢だ。担任である俺からの話も予定より早く終わる。

「私からは以上ですが、他に何かありますか?」
「一つだけ挙げるとすれば……。親である私が言うのも可笑しな話ですが、息子は本当に良くやってくれましてね。裕樹にはまだ幼い妹がいるのですが、体の弱い妻や忙しい私に代わって、自ら進んで面倒も見てくれる子なんです。その上、勉強もきちんと取り組んでいますし、我慢させているのではないかと、それだけが心配でして」

 父親の話を隣で訊いていた芹沢は、

「我慢なんてしてないよ」

 微笑みながら素早く否定した。
 芹沢の表情からしても、それは本心だろうと窺える。
 その芹沢に、「そうか?」と聞き返しながら、また父親は話を続けた。

「息子には何事にも努力はして欲しいですが、必要以上の我慢はさせたくない、好きな事をのびのびと自由にやらせてあげたい、そう思っているんです。時には、親を困らせたっていいんだぞ?」

 最後は、芹沢を見ながら言い聞かせていた。

 ……こんな父親なら、子供は素直に育つものなんだな。

「芹沢、素敵なお父さんだな」

 心底、そう思えた俺の言葉に、芹沢も柔らかな表情で、そしてはっきりと答えた。

「はい。尊敬してるんです」
「羨ましい親子関係ですね」

 俺には経験のない父子の姿を見て、本音が口をついて出る。
 こんな家庭で育った芹沢となら、奈央もきっと幸せになれる。そう思った時だった。

 ────バタンッ!

 和やかに話をしていた教室に、勢いよく引き戸が開かれる音が響いた。
 力に任せた乱暴なての音は、穏やかなこの場の空気を一瞬にして凍てつかせる。
 一斉に扉に向けられる視線。
 それを気に留めることなく、その音を作り出した張本人は、静かな足取りで教室内へと入って来た。

「お、おい、どうした? まだ面談中だぞ!」

 突然のこの行動に、意味が分からず慌てた俺の声を無視して、黙ってこちらへと向かって来る足は止まらない。

「時間になったら呼ぶから、もう少し廊下で待ってなさい!」

    厳しく言い募っても効果はなかった。

「その必要はありません。志望校は京都のK大に変更します。それだけお伝えしたかっただけですから。あとはもう話す事などありませんので帰ります」

 俺の前に立ち、俺を見下ろしながら冷静に口にしたのは、奈央だった。
 口調はいつもながらの優等生なのに、らしからぬこの行動。
 それに、K大って……。最初の予定では都内の大学志望だったはずだ。それだけでも、十分面談する必要性がある。

「水野。必要ないとはどういう意味だ? それも含めてゆっくり話を聞くから、もう少しだけ廊下で待ってろ。いいな?」

 やはり以前とは目つきが違う、と違和感を覚えながら、今度は落ち着いて俺も話し掛けた。

「ですから、私に面談は必要ないと言っているんです」
「これは決定事項だ。お母さんからも連絡を貰って、二者面すると伝えてある。受けないと言うなら、親御さんに水野の行動を有りのまま話さないといけなくなるぞ」
「どうぞご自由に。K大への進学を望んでいるのは親ですし、その方が話が早いかもしれませんね。それに……、」

 そこまで話すと、奈央は口端を皮肉気に引き上げた。

「先生が何を言おうと、親は私を信じてるんですよ?」

 いかにも挑戦的な態度は、口元に笑みは作っていてもどこか歪で、目付きはあざけるような冷ややかさだった。
 そして、優等生の皮を剥いだ奈央は、瞳同様、冷たく言葉を言い放った。

「夜な夜な男を取り替え遊んでる娘だなんて、気付きもせずにね」
「おまっ……な、なに言って…」

 この場には芹沢だって、その父親だっているんだぞ! そんなこと口にして、どう思われるか……。

 あまりにも予想外の言動に、思考は混乱をきたす。

「ではこれで。失礼しました」

 踵を返し、何事もなかったように教室から出て行こうとする奈央。何が起きているのか理解出来ず、茫然とし直ぐに動けなかった俺は、数秒遅れて奈央を引き止めにかかった。

「水野、待てッ!」

 椅子を倒しながら立ち上がった俺の怒声も虚しく、奈央は教室を出て行く。
 見れば俯いた芹沢は唇を噛み締め、膝の上で作った拳はわなわなと震えている。芹沢の父親も唖然とし、驚きを隠せない様子だ。

「すみません。受験で色々ストレスもあると思うんです。申し訳ないですが、このまま少しお待ちいただけますか?」

 両手を突き出し『待ってて下さい』とアピールすると、邪魔な机や椅子にぶつかりながら急いで奈央の後を追った。

「水野!」

 廊下に出た瞬間、感情のままに声を張り上げたが、それすら無視した奈央は階段の方へと曲がって行った。
 廊下を走り階段を駆け下りて、やっと強引に奈央の腕を掴んで動きを止めることが出来たのは、ニ階と三階の間にある踊り場だ。

「お前は何やってんだっ!」
「さっきお話した通りですけど?」

 あんな事を芹沢の前で言ったというのに、悪びれた様子も、後悔している様子もない。それどころかしたたかに笑みさえ浮かべている。

「とにかく戻れ。予定通り面談をやる。お前になくても俺には話がある」
「お説教なら迷惑です。その時間を勉強に充てたいので」
「志望校変更もお前の意思じゃないんだろ? じっくり考えろ。自分偽って親の言いなりのまま生きていく気か?」
「偽り……」

 そう一言呟いた奈央の顔から微笑が消え失せた。

「偽りも堂々と偽り続ければ、それは真実になるのかもしれませんね」
「どう言う意味だ? もっと分かり易く言えよ。なぁ、何があった? 芹沢に誤解されたらどうすんだよ! こんな後先考えねぇ行動とるなんて、普段のお前なら絶対にしないだろ?」
「普段の私? 笑わせないで下さい。先生の知っている私が全てだとでも?」

 氷のように冷たく、有無も言わせぬ鋭さが宿った残忍な目で俺を刺す。
 過去に見た冷たい視線とは桁外れのそれは、敵を見るような目で、荒んでいたと言う中学時代。もしかしたら、こんな顔つきをしていたのかもしれないと思わせる、付け入る隙を一切与えないものだった。

「……奈央」

 此処が学校だと言う事も忘れ、名前で呼んでしまった俺を見る奈央は、その視線をゆっくりと下へとずらした。
 その視線が止まった先は、奈央の腕を掴む俺の右手。

「離して貰えますか?」

 それでも、俺の知らない一面を持つ奈央の腕を離せずにいると、再びその口がゆっくりと動き出す。

「私に……触らないで」

 怒りを押し殺すように静かに震える声。
 拒絶の言葉が胸に深く突き刺さり、腕からそっと手を離せば、俺を取り残し階段を下りて行く。すぐさま後を追い、奈央の前へ回り込んで再び行く手を封じ込めた。

「夜、ゆっくり話そう。部屋に行くから出掛けないで待ってろ。何でもいい。お前の怒りでも何でも俺にぶちまけろよ。こんな事したのには何か理由があんだろ? そうだよな、奈央!」
「少しは場所をわきまえて話したらどうですか?」

 それだけ言うと、行く手を遮っていた俺の横をすり抜けて行った。
 此処が学校とか、誰かに聞かれるとか、そんなことどうでも良くて。突然変わってしまった奈央に、俺は教師としてだけではなく、一人の男としても放ってはおけない。

「絶対に行くから。お前も絶対家にいろ!」

 去って行く後ろ姿に呼びかける。
 その後ろ姿は、踊り場上部の窓から入る西日の逆光を受け、黒い影を纏っていた。
 それはまるで、今の奈央を表すようで、暗闇に迷い込んでしまったのではないかと、理由が分からないだけに、言いようのない不安を俺に与えた。

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