彼女と僕と

マイリトルジョー

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関係

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 それからは、学校で話すことが増えたかといったらそんなことも無かった。
 彼女は華やかな人達の中に自然と溶け込んでいた。

 僕はそれを、いつものメンバーで眺めていた。所謂、住む世界が違うんだな、と、実感する。
 何も思わないか、と言われたら嘘になる。少なくとも、"知る前"と"知った後"で、気持ちに変化が起こっていることは事実だ。

 だけど、別に今のままなら、気づく前の気持ちのまま過ごせるはずなのだ。
 だけど、どうにも意識してしまっている。恋愛的なものなのかはわからない。
 だけど、何かを思ったところで、この感情はどこへ向けるべきか、どうするべきかの答えなど見つからなかった。
 
 相も変わらない、いつも通りの帰り道で空を見上げると、雲のない夕暮れの空を鳥たちが飛んで行った。
 どこへ向かっているんだろう、なぜ迷わずに飛んでいけるんだろう。何の道しるべもないのに。
 
 今までは想像したことのないような、そんな考えに耽る自分を思いながら、1人帰路についた。

 「えるちゃん?」
 家につくと、家の前にえるちゃんがいた。
 「もう、遅いじゃん」
 「なんで―」
 わかったの、と聞きかけてから、幼い頃よくお互いの家を行き来していたことを思い出す。果たして覚えていたのかは分からないけど。

 いや、そもそもなんで来たんだ?最近は休んでいないし、彼女の家も恐らく今は近所ではないだろう。
 「まぁ、その辺はいいじゃん」
 何となくはぐらかされた。でも、無邪気に笑う彼女の笑顔は、記憶の中の彼女そのものだ。そんなところに、つい嬉しくなってしまう。

 と、彼女は近づいてきて小さく折りたたまれた紙を渡す。
 開くと、SNSのIDらしい数字が並んでいた。
 「学校じゃ聞きづらいかなぁ、と」
 嬉しさもあるけど、それよりも驚きとかどうして?という思いの方がつよい。今まで学校でもろくに声をかけられなかったのに。
 「ありがとう」
 だが、それを聞く勇気はなく、素直にそれを受け取る。まだ何となく、ぎこちなさが僕らの間には流れている。

 「じゃあ、帰るね」
 僕の横を通り過ぎていく。
 「あ、あのさ」
 「ん?」
 立ち止まるえるちゃん。
 「飯、食ってく?」
 少し考えた後、今日はいいや、と笑った。
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