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クリスマス詣で
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小さく息を吐くと、雲のようになった。それが一瞬で消える。
季節は冬、世間では今日はクリスマスと呼ぶらしい。
空では青色が広がって良い天気だけど、吹く風は冷たく凍えてしまう。思わずコートのポケットに手を突っ込み、マフラーに顔を埋めた。
「ごめんね」
隣でえるが申し訳なさそうに謝る。
「いやいや、こちらこそ」
僕は慌てて首を振る。
僕たちは年明けを前に、近所の神社へ早めの初詣に来ていた―初詣と呼んでいいのかは気にしない。
お互いにお正月が忙しいから、"クリスマス"に前倒しで来ていた。
僕は年末年始関係の無い仕事で、彼女はシンガーソングライターで、小さい会場だけれど、年越しライブをする予定だった。
と、そんな時期だからか、参拝客はほとんどいない。何人か、観光客のような家族やカップルがチラホラ見られるくらいだ。
うっすら雪が積もり、少々殺風景にも思える道を2人で進んだ。
少し長い階段をのぼり、賽銭箱の前に並ぶ。
パンパン、2度手を合わせてから拝む。
目を瞑りながら、僕は何を拝むべきか、今頃考える。やりたいことも夢もない。
ふと横を見やる。まだ拝んでいるえるがいた。
彼女とは、大学からの付き合いだ。恋人とは違う。でも親友とも違う気がする。それでも、卒業した今も一緒にいる時間は多い方だと思う。
曖昧な関係だ。周りから見たら、もしかしたら変な関係なのかもしれない。少なくとも以前は変えたいと思っていたことは否定しない。だけど今ではその思いも薄れた。むしろこのままでいられるなら、むしろちょうどいいのかもしれないと思っていた。もし1歩踏み出したせいで、全てがなくなってしまうなら―。
僕はもう一度目を瞑り拝んだ。
"僕たちの関係が『このまま』で続きますように"
「大丈夫?」
いつの間にか拝み終えていたえるが、僕を待っていた。
「色々お願いしてたの?」
帰り道歩きながら、笑いながら茶化されたけど、僕も笑って誤魔化す。
「えるは何をお願いしたの?」
うーん、と言い渋る様なリアクションのあと、
「今度のライブうまくいきますように!って」
少し照れ隠しのように笑いながら言った。
「大丈夫だよ、うまくいくよ」
言いながら、成功してどんどんえるが大きくなっていったら、『このまま』じゃいられないだろうなと、なんだか隣の彼女が遠くのように思えて少し寂しくなる。
「もしさ」
えるが不意に立ち止まった。
「もし、もっと売れることが出来ても、そばにいてくれる?」
心細そうな表情を見せるえる。
それはこちらのセリフだよ、と思いながら、えるも実は葛藤のような不安も抱えていたことを知った。
「大丈夫、ずっといるよ」
似合わないかもしれないし、お前が言うなよ、なのかもしれないけど、今の僕なら言える気がした。
僕は、並んで歩きながら、束の間かもしれない幸せを噛み締めていた。
季節は冬、世間では今日はクリスマスと呼ぶらしい。
空では青色が広がって良い天気だけど、吹く風は冷たく凍えてしまう。思わずコートのポケットに手を突っ込み、マフラーに顔を埋めた。
「ごめんね」
隣でえるが申し訳なさそうに謝る。
「いやいや、こちらこそ」
僕は慌てて首を振る。
僕たちは年明けを前に、近所の神社へ早めの初詣に来ていた―初詣と呼んでいいのかは気にしない。
お互いにお正月が忙しいから、"クリスマス"に前倒しで来ていた。
僕は年末年始関係の無い仕事で、彼女はシンガーソングライターで、小さい会場だけれど、年越しライブをする予定だった。
と、そんな時期だからか、参拝客はほとんどいない。何人か、観光客のような家族やカップルがチラホラ見られるくらいだ。
うっすら雪が積もり、少々殺風景にも思える道を2人で進んだ。
少し長い階段をのぼり、賽銭箱の前に並ぶ。
パンパン、2度手を合わせてから拝む。
目を瞑りながら、僕は何を拝むべきか、今頃考える。やりたいことも夢もない。
ふと横を見やる。まだ拝んでいるえるがいた。
彼女とは、大学からの付き合いだ。恋人とは違う。でも親友とも違う気がする。それでも、卒業した今も一緒にいる時間は多い方だと思う。
曖昧な関係だ。周りから見たら、もしかしたら変な関係なのかもしれない。少なくとも以前は変えたいと思っていたことは否定しない。だけど今ではその思いも薄れた。むしろこのままでいられるなら、むしろちょうどいいのかもしれないと思っていた。もし1歩踏み出したせいで、全てがなくなってしまうなら―。
僕はもう一度目を瞑り拝んだ。
"僕たちの関係が『このまま』で続きますように"
「大丈夫?」
いつの間にか拝み終えていたえるが、僕を待っていた。
「色々お願いしてたの?」
帰り道歩きながら、笑いながら茶化されたけど、僕も笑って誤魔化す。
「えるは何をお願いしたの?」
うーん、と言い渋る様なリアクションのあと、
「今度のライブうまくいきますように!って」
少し照れ隠しのように笑いながら言った。
「大丈夫だよ、うまくいくよ」
言いながら、成功してどんどんえるが大きくなっていったら、『このまま』じゃいられないだろうなと、なんだか隣の彼女が遠くのように思えて少し寂しくなる。
「もしさ」
えるが不意に立ち止まった。
「もし、もっと売れることが出来ても、そばにいてくれる?」
心細そうな表情を見せるえる。
それはこちらのセリフだよ、と思いながら、えるも実は葛藤のような不安も抱えていたことを知った。
「大丈夫、ずっといるよ」
似合わないかもしれないし、お前が言うなよ、なのかもしれないけど、今の僕なら言える気がした。
僕は、並んで歩きながら、束の間かもしれない幸せを噛み締めていた。
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