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Scene15 最後の目的地
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ミーリエルは、空を飛んでいた。大きくなったノワールの真っ白な背中に乗って・・子猫の時もフワフワな毛並みが気持ちよかったが、こうして大きくなり高級な絨毯のような背に乗っていると、気持ちいいどころではなかった。
猫が空を飛ぶなんて常識では考えられないぶっ飛んだ状況に、ミーリエルは、こうなったらヤケクソ。楽しんでやると、なぜ猫が空を飛ぶのかなんて愚問について考えることを諦めた。
「マーカス様。そういえば、ブランは一緒ではないんですね?」
「あの子は、相変わらず妹にべったりなんだ」
「アリアナ様を相当気に入ってるみたいですねぇ。まあ、あの凛々しいお姿を見たら、たとえ動物だろうと虜になってしまいますよ」
「君もだろう?」
「はい!もちろん!」
ミーリエルは、満面の笑みで即答した。すると後ろに座るマーカスは、ミーリエルの身体を引き寄せて抱きしめてきた。
「ちょっ!?ちょっと、マーカス様!!」
「ん?どうしたんだい?落ちたら大変だろう?」
「落ちたら・・・そうですね。落ちたら大変ですね。もう、てっきり・・」
ミーリエルがそう言葉を途切ると、更に身体は密着し、耳元で「てっきり何?」と艶っぽい声がした。それにミーリエルは、顔を赤くしながらモジモジしていた。
「ふふ。君は可愛いね」とマーカスから言われ、頭をポンポンとされると、彼女の心臓は早鐘のようにうるさく鳴り響いたのだった。
◇◇◇◇◇
空飛ぶノワールとの旅は、思ったよりも早く目的地に到着し、終わりを告げた。ミーリエルたちが降り立ったのは、まさかの豪華な屋敷の前だった。
ミーリエルは、その大きな屋敷を見て驚いている。魔女の住処は、人里離れた森とか、そんな勝手なイメージを持っていたからだ。しかし、今目の前にあるのはどう見ても貴族の屋敷。
「えっと・・・ここが魔女の住む家ですか?貴族の屋敷ではなくて・・・」
「そうだね。間違いないよ。ノワールが連れてきたんだからね」
気付くと、ノワールは元の子猫に戻っていた。足元に体を擦り付け、甘えてくる。まるで連れてきたことを褒めてと、訴えているようだ。
ミーリエルは、そんなノワールを抱き上げると、ありがとうとお礼を口にした。すると、その横で門扉が音もなく開き、中へと招き入れているようだった。
一瞬、躊躇したミーリエルだったが、マーカスに伴われ、中へと足を踏み入れた。そこは手入れされた庭が広がり、恐らく左右対称なのだろう。植栽から花の色まで左右で同じだった。
そんな庭を抜け、玄関までやってくると、マーカスは迷うことなく扉を開けた。
「マーカス様!勝手に入ったらだめですよ!しかも魔女の屋敷!何か仕掛けがあるかもしれません!」
「大丈夫だよ。予習はバッチリなんだ」
「予習?何のことですか?」
「いいから、早く行こう。きっと待ちくたびれてるよ」
意味深な言葉を並べるマーカスに「誰が?」と問いかけるが、楽しげな笑顔が返ってきただけで、明確な答えはなかった。
(もう!この人ったら、ちょっと意地悪よね。イケメンだからって、笑顔振り撒いておけば許されると思ったら、大間違いなんだから)
ミーリエルが、そう心の中で呟いているうちにも、マーカスはずんずんと屋敷の中へ入っていく。その手は、しっかりとミーリエルの手を引いていた。否応なく後についていくが、ミーリエルは周囲を警戒し、見渡す。
煌びやかなシャンデリアに飾られた豪奢な玄関ホール。飾られている花瓶や家具も明らかに高価なものだ。
(魔女って、まさかの大富豪・・・?まさかとは思うけど、マーカスは魔女のヒモ?でなきゃ、さも知ってるように、入って行かないもん。あ~、もう私の小説はどこいったのよぉぉぉ)
そうこうしている間にも、奥の部屋へと進んでいき辿り着いたのは、2階の一番奥の部屋だった。マーカスは、一応ノックすると、中の返事を待たずに扉を開けた。
そこはミーリエルが見てきたのと同様、豪華な調度品で彩られた部屋だった。しかし、豪華なそれにも関わらずを、品のいい雰囲気を醸し出している。要はとても落ち着く部屋だった。そして扉の正面には、机と回転椅子が置いてあり、椅子は背を向けている
ミーリエルの腕の中にいたノワールは飛び下りると、椅子にまっしぐらに走っていった。どうやらそこに座っている人物の膝の上に乗るつもりのようだ。
「あっ!ノワール!」
ミーリエルが呼びかけると、聞き覚えのえる澄んだ声が聞こえてきた。
「あら、はじめまして。可愛いノワール。ブランとそっくりな瞳をしてる。とても綺麗よ」
その声にミーリエルは、繋がれたマーカスの手をギュッと握り返す。すると、優しく微笑みかけられ、マーカスは言った。
「君がお待ちかねの人たらしだよ」
「お兄様、それはないでしょう?人に大事な仕事を押し付けといて」
そう言って正面を向いた椅子から立ち上がったのは、愛おしそうにノワールの白い毛並みを撫でるアリアナだった。
「久しぶりですね。ミーリエル様」
猫が空を飛ぶなんて常識では考えられないぶっ飛んだ状況に、ミーリエルは、こうなったらヤケクソ。楽しんでやると、なぜ猫が空を飛ぶのかなんて愚問について考えることを諦めた。
「マーカス様。そういえば、ブランは一緒ではないんですね?」
「あの子は、相変わらず妹にべったりなんだ」
「アリアナ様を相当気に入ってるみたいですねぇ。まあ、あの凛々しいお姿を見たら、たとえ動物だろうと虜になってしまいますよ」
「君もだろう?」
「はい!もちろん!」
ミーリエルは、満面の笑みで即答した。すると後ろに座るマーカスは、ミーリエルの身体を引き寄せて抱きしめてきた。
「ちょっ!?ちょっと、マーカス様!!」
「ん?どうしたんだい?落ちたら大変だろう?」
「落ちたら・・・そうですね。落ちたら大変ですね。もう、てっきり・・」
ミーリエルがそう言葉を途切ると、更に身体は密着し、耳元で「てっきり何?」と艶っぽい声がした。それにミーリエルは、顔を赤くしながらモジモジしていた。
「ふふ。君は可愛いね」とマーカスから言われ、頭をポンポンとされると、彼女の心臓は早鐘のようにうるさく鳴り響いたのだった。
◇◇◇◇◇
空飛ぶノワールとの旅は、思ったよりも早く目的地に到着し、終わりを告げた。ミーリエルたちが降り立ったのは、まさかの豪華な屋敷の前だった。
ミーリエルは、その大きな屋敷を見て驚いている。魔女の住処は、人里離れた森とか、そんな勝手なイメージを持っていたからだ。しかし、今目の前にあるのはどう見ても貴族の屋敷。
「えっと・・・ここが魔女の住む家ですか?貴族の屋敷ではなくて・・・」
「そうだね。間違いないよ。ノワールが連れてきたんだからね」
気付くと、ノワールは元の子猫に戻っていた。足元に体を擦り付け、甘えてくる。まるで連れてきたことを褒めてと、訴えているようだ。
ミーリエルは、そんなノワールを抱き上げると、ありがとうとお礼を口にした。すると、その横で門扉が音もなく開き、中へと招き入れているようだった。
一瞬、躊躇したミーリエルだったが、マーカスに伴われ、中へと足を踏み入れた。そこは手入れされた庭が広がり、恐らく左右対称なのだろう。植栽から花の色まで左右で同じだった。
そんな庭を抜け、玄関までやってくると、マーカスは迷うことなく扉を開けた。
「マーカス様!勝手に入ったらだめですよ!しかも魔女の屋敷!何か仕掛けがあるかもしれません!」
「大丈夫だよ。予習はバッチリなんだ」
「予習?何のことですか?」
「いいから、早く行こう。きっと待ちくたびれてるよ」
意味深な言葉を並べるマーカスに「誰が?」と問いかけるが、楽しげな笑顔が返ってきただけで、明確な答えはなかった。
(もう!この人ったら、ちょっと意地悪よね。イケメンだからって、笑顔振り撒いておけば許されると思ったら、大間違いなんだから)
ミーリエルが、そう心の中で呟いているうちにも、マーカスはずんずんと屋敷の中へ入っていく。その手は、しっかりとミーリエルの手を引いていた。否応なく後についていくが、ミーリエルは周囲を警戒し、見渡す。
煌びやかなシャンデリアに飾られた豪奢な玄関ホール。飾られている花瓶や家具も明らかに高価なものだ。
(魔女って、まさかの大富豪・・・?まさかとは思うけど、マーカスは魔女のヒモ?でなきゃ、さも知ってるように、入って行かないもん。あ~、もう私の小説はどこいったのよぉぉぉ)
そうこうしている間にも、奥の部屋へと進んでいき辿り着いたのは、2階の一番奥の部屋だった。マーカスは、一応ノックすると、中の返事を待たずに扉を開けた。
そこはミーリエルが見てきたのと同様、豪華な調度品で彩られた部屋だった。しかし、豪華なそれにも関わらずを、品のいい雰囲気を醸し出している。要はとても落ち着く部屋だった。そして扉の正面には、机と回転椅子が置いてあり、椅子は背を向けている
ミーリエルの腕の中にいたノワールは飛び下りると、椅子にまっしぐらに走っていった。どうやらそこに座っている人物の膝の上に乗るつもりのようだ。
「あっ!ノワール!」
ミーリエルが呼びかけると、聞き覚えのえる澄んだ声が聞こえてきた。
「あら、はじめまして。可愛いノワール。ブランとそっくりな瞳をしてる。とても綺麗よ」
その声にミーリエルは、繋がれたマーカスの手をギュッと握り返す。すると、優しく微笑みかけられ、マーカスは言った。
「君がお待ちかねの人たらしだよ」
「お兄様、それはないでしょう?人に大事な仕事を押し付けといて」
そう言って正面を向いた椅子から立ち上がったのは、愛おしそうにノワールの白い毛並みを撫でるアリアナだった。
「久しぶりですね。ミーリエル様」
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