~【まおうすくい】~

八咫烏

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第27話『魔王の城』

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前回:第26話『侵入』を加筆修正致しました。
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魔王の城の門を守っていた、2匹のガルグイユを退けたユーカとヴェルのふたりは、門から伸びる舗装された道の真ん中を堂々と歩いていた。
門の先に足を踏み入れてからというものの、魔王の城から漂ってくる、独特の雰囲気に晒され続け、ふたりは、堂々としている行動とは裏腹に、いつも以上に神経を尖らせていた。
ユーカとヴェルだからこそ、この程度で済んでいたので、もし仮に、普通の人がこの場にやって来たとすると、とっくに気が滅入ってしまっているだろう。
そもそも、魔王の城の門の内側に秋を生み入れる事など、ユーカとヴェル以外には、そうそう為し得る事のできる者などいないであろう。
そんな異様な空気が立ち込める中を、ふたりは先へ先へと進んでいた。

「イヤな感じがするわね…。」

「しかし、庭は立派なものじゃの。」

「そうね、大きな作りで、左右は完全に対象になっているわ。」

「うむ、魔王はなかなか趣味が良いと言えるの。」

「そうかしら?私は機械的で、なんとも言えないけれど、そんなに好きでわないわ。」

「ほぅ、ユーカはどのようなものが好みなのじゃ?」

「そうね…自然の美しさを活かしつつ、人の手で芸術に昇華させた感じのものかしら?」

「そんなものあるのかや?」

「ボンサイと言うものがあると本で読んだわ。」

「ボンサイ?それは美味いのかや?」

「食べ物じゃないわよ…。観賞用に手を加えた植物の事よ。」

「ふぅん…。」

「ちょっと、食材を調理する想像は止めて頂戴。ボンサイは食べないんだから。」

「なななっなぜ分かったのじゃ!?」

「あなたの考えそうな事くらい、簡単に想像がつくわよ。」

「まさかユーカが、心を読む魔法まで心得ているとは思わなんだのじゃ。」

「そんな魔法があったら、これからがもっと簡単になりそうね。」

「我はそうは思わぬがの…。」

「どうして?」

「心では思っていても、行動に移すのは難しいからじゃ。」

「心が自分に嘘を吐いているという事かしら?」

「ユーカが心を読む魔法を、どのような場面で使おうと思っているのかは分からぬが、心で思っている事が全てではないという事じゃ。」

「見かけによらず、難しい考え方をするのね。」

「見かけによらずとは失礼じゃの…。我はこう見えてもチョー優秀なエリートなのであるぞ!」

「だから、見かけにはよらずって言ってるじゃない。」

「うむぅ…ユーカはイジワルじゃの。コレだからツンデレは困るのじゃ…。」

「ヴェルぅ、今の、聞こえなかったのだけど…もう一度言ってくれないしら?」

「あわわわわっ…我は何も言っておらぬぞ。」

「そう?なら別に良いわ。」

その後もふたりは、最大限に警戒しつつも、その素振りは一切として見せず、一直線に伸びた道の真ん中を歩き続けていた。
しかし、しばらく歩いていると、不意に、本能が全力で危険を警告してきた。
それと同じくして、ヴェルが短く叫ぶ。

「ユーカ、上じゃっ!」

ユーカはとっさに後ろへと跳び退き、上方へと視線を向ける。
ヴェルもユーカと同じように、後方へと身を引き、空に浮かぶ一点を見つめながら、即応態勢に入る。
ユーカもそれに倣い、どんな事が起きても、すぐに対応できるように意識を集中させる。
ユーカとヴェルのふたりが、臨戦態勢を整えた直後、先ほどまでふたりが立っていた場所に、爆風の様な衝撃波を伴い、ナニカが急降下で降り立った。

「へぇ、コレをよけるとは…キミたちなかなかやるじゃないか。」

現れたのは、奇抜な格好をした、ピエロみたいなナニカだった。
そのピエロは、とても大きな枝切りバサミを片手で持ち、トントンと右の肩を叩いている。

「ほぅ、我らを狙った攻撃じゃったのかや?」

「言うねぇ。だいたいキミたち、ココがどういう場所が分かっているのかな?」

「もちろんじゃとも。魔王の城じゃろ?」

「そう、その通りさ。分かってるなら話が早い。ハッキリ言おう、命が惜しかったら、帰る事だね。」

「それはできぬ相談じゃ、我らは皇帝の遣いとして来たのでな。」

「何?皇帝の遣いだって?バカも休みやすみ言ってくれ。」

「ヴェルの言う通りよ。正式な書状だってあるわ。」

そう言うと、ユーカはカバンの中から、クレアに貰った大使としての任命状と託された親書を取り出して、ピエロに見せる。

「ふぅん。まぁソレがホンモノだろうとニセモノだろうと、関係無いんだけどね。」

「それじゃ、仕方がないけど、あなたを倒して先に進むしかなさそうね。」

「ガルグとグイユを倒したんだろ?腕は悪くない様だが、今回は相手が悪かったな。」

「まるで私たちが、あなたに勝てない様な言い振りね。」

「全く、腹立たしい限りじゃの。こんなナンパなやつなぞ、我とユーカなら一瞬で片がつくじゃろうに。」

「威勢だけは良いじゃない、かっ!」

ピエロは最後まで言葉を発する前に、一気にユーカとヴェルとの距離を詰め、右手に持った枝切りバサミをふたりの方へと突き出してきた。
それをヴェルは、折り込み済みだとばかりに、一歩引くどころか、右足を半歩前へ進め、ピエロが突き出した枝切りバサミの刃の部分を、右手でガっと掴む。

「先ほどから思っておったのじゃが、やはり貴様の攻撃は遅すぎるの。ハエが止まりそうじゃぞ。」

「仕方ないでしょう?なにせ、ハエが2匹、城へと迷い込んでしまったのですから。」

「そう、じゃああなたは可哀想だけど、忍び込んだハエによって倒されてしまうわ。」

「キミは今、僕の速さについてこれずに立ち尽くしていたじゃないか。」

「あら、そう思うかしら?それじゃ、コレは何かしら?」

そう言うとユーカは、背中に隠していた左手を前に出し、その手の中に持つ小さなナイフをピエロに見せる。
すると、ピエロは驚きの表情を浮かべた後、自分の腰に手を当てる。

「まっまさか、いつの間に!?」

「教えて欲しいかしら?でも…教えてあげない。」

「おぉ、ユーカはナイフじゃったか。我はコレじゃぞ!」

そう言って、ヴェルも背中の裏に隠していた左手を前に出す。
ヴェルの手に持たれていたのは、とげとげしいムチであった。

「なっ…キミたちはナニモノなんだ!」

「私たちは…ただの皇帝の遣いよ。」

「ふんっ、良い気になるなよっ!」

「ねぇヴェル、気づいたかしら?」

「あぁ、薄々は感じていたのじゃが…今ので決定的じゃな。」

「えぇ、どことなく漂ってくるこの感じ…。」

ユーカとヴェルは、一度顔を見合わせた後、ユーカは「小者ね。」
ヴェルは「小者じゃの。」
と、声を重ねて、ピエロに向かって言い放った。

「良いだろう、僕の本当の力を思い知るが良い。『来い、ケルベ、ルベロ、ベロス!』」

ピエロがニタニタと気に触る笑みを浮かべながら、高々に叫んだ。
すると、ピエロの背後から、1頭のケルベロスが降臨する。
それを見て、ユーカとヴェルは、ピエロから奪った武器を左手から放し、自由になった左手で、各々の口元を必死に塞いだ。
しかし、ヴェルはすんでのところで、口元をふさぐのに失敗し、吹き出してしまった。

「ぶふぁっ!ふふふぁっ!くくくっ…。」

「なにがおかしい!」

ヴェルに笑われたピエロは、怒りのあまり、登場したばかりのケルベロスに、指示を飛ばすことも忘れて、笑い続けているヴェルに問う。
ヴェルは、それに応えるかのようにして、ユーカとの会話を始める。

「くふふっ…聞いたかユーカ、ケルベロスじゃと!」

「ちょっと…私は頑張って我慢してたのだから、邪魔しないでよ。ふふっ…。」

「だってのぉ、ケルベロスじゃぞ、ケルベロス!」

「そのようね、番犬の。」

「番犬ごときを出して、『本当の力だ』とは、笑えるの。」

「本当ね、番犬の意味をなしてないじゃない。こうして私たちは、堂々と城の敷地に入っているのだから。」

「うっ、うるさいぞキミたち!ケルベ、ルベロ、ベロス、あのふたりを片付けろ!」

『バウっ!』

ピエロが、番犬に向かってそう命令すると、ケルベロスは元気よく答え、ユーカとヴェルをにらめつける。

「ヴェル、私…犬は好きなのよね。傷つけたくないから、あなたが相手してくれる?」

「うむ心得た。そちらの小者は任せたぞ。」

「えぇ、サッサと片付けて、早く先に進みましょ。」

それだけ言うと、ケルベロスの事はヴェルに任せて、ユーカはピエロの元へと向かった。

「ほぅ、キミのようなチンチクリンがこの僕の相手とは、舐められたものだね。」

「かかって来ないなら、こっちから行くわよ。」

その言葉を聞いたピエロは、怒りに体を震わせ、手に持った枝切りバサミをユーカへと突き出す。
何度もなんども、目に見えないほどのスピードで突き出された枝切りバサミを、ユーカは特に焦ることなく、最小限の動きでかわしてみせる。
しばらくすると、疲れてきたのか、だんだんとそのスピードも落ちてくる。
スピードが落ちてきたところで、反撃に出ようと、ユーカは右足を一歩前に出そうとして、咄嗟に後ろへと跳び退く。
先ほどまでユーカの喉があった空間には、ピエロの枝切りバサミが存在していた。
先ほどまでの、疲れた素振りは演技だったらしく、その一撃は、今までのどの突き出しよりも速いものであった。

「あら、頭は悪くないのね。」

「キミこそ、あれを避けるとはなかなかだね、恐れ入ったよ。でも、所詮その程度だろ?」

「まぁ、私の事をどう評価しようとあなたの勝手だけれど、その評価が合ってるとは分からないわよ。」

「ふんっ、強がりは良い加減にするんだなっ!」

ピエロは、先ほどよりも5割り増しほどのスピードで、枝切りバサミの突きを繰り出してくる。
その突きは、的確に急所を狙ってきたが、ユーカも、一度すら掠る事なく、全て完璧に捌いていく。
ピエロとユーカ、ふたりの攻防は、まさに目にも留まらぬスピードであり、完全に常人には成し得ない、卓越したスキルによるものであった。
しかし、ピエロの方がユーカに劣っていたらしく、ついにその均衡が破られる事となった。
ユーカは、たったひとつだけ小さなフェイントを入れ、ピエロはそれにつられてしまったのだ。
そのフェイントに引っかかったピエロは、迷う事なくある一点に、枝切りバサミを突き出した。
フェイントが成功したユーカは、待ってましたとばかりに、右手を固く握り、その位置に向かって、横から右手を突き出した。
ユーカによって突き出された右手は、ピエロの持つ枝切りバサミの刃の部分を、真横から捉え、その刃を粉々に砕いた。
さらに、刃の部分を殴り飛ばされたピエロは、強い衝撃のあまり、自分の右手から枝切りバサミを放り、痺れる右手を軽く一瞥した。
ユーカがその隙を見逃すはずも無く、ピエロが視線を落とし、ユーカから目を逸らした一瞬のうちに、ユーカはピエロの懐へと入り込んだ。
ユーカはそのまま、力任せにピエロの顔面をめがけて拳を振るう。
ピエロが気づいて、ガードしようとした時にはすでに手遅れで、そのパンチは的確にピエロの顔面の中央に吸い込まれていった。
ユーカに殴り飛ばされたピエロは、弧を描いて、ドサリと地面に激突する。
ユーカはその間にチラりとヴェルの方を見ると、既にそこには、泡を吹いたケルベロスが横たわるだかりであった。
それを見たユーカは、ピエロから完全に意識を外し、こちらを見ながら、横たわっているケルベロスを、どこかで拾ってきたらしい木の枝でツンツンしているヴェルへと歩み寄る。

「相変わらず早いわね。」

「うむ?あぁ、所詮は生き物じゃからな。生き物の頂点に立つドラゴンに歯向かうなど、片腹痛いのじゃ。」

「へぇ、ドラゴンってそんなに偉かったのね。」

「本来はそうなのじゃぞ!この世はドラゴンを頂点とする食物連鎖で成り立っておるからの。」

「でも、私たちはドラゴンも倒すわよ?」

「ヒト種は野蛮なのじゃよ。好戦的で気性が荒く、それでいてムダにプライドが高いと来た。さらには数も多いしの。」

「あら、ずいぶんな物言いね。」

「ドラゴンを頂点とする食物連鎖から外れているのは、ヒト種だけじゃからな。」

「じゃあ、ヒト種は食物連鎖の外側に存在するという事かしら?」

「そういう捉え方もできるの。ヒト種は一方的に攻撃する、謂わば食物連鎖の破壊者じゃな。」

「あら、破壊するばかりではないと思うけれど?ヒト種の中には、保護活動をしている者もいるはずよ。」

「それはほんの一部に過ぎぬじゃろうよ。全体的に見れば、ヒト種はやはり、破壊者なのじゃ。」

「それじゃあヴェルは、ヒト種は嫌いなの?」

「それとこれとはまた別の話じゃ。我はヒトのつくるものがとても気に入っておるからの。」

「他のドラゴンはどう思っているのかしら?」

「なんとも言えぬの。ヒトに襲われたドラゴンは、ヒト種なぞ嫌いじゃろうし、その逆もまた然りじゃ。」

「そういうものなのね。」

「そういうものなのじゃ。して…あのピエロは何やら怪しい動きをしておるが、放っておいて大丈夫なのかや?」

「あらいけない、すっかり忘れてたわ。」

「では、我も手伝おうぞ。」

「助かるわ。ワンちゃんは良いのかしら?」

「しばらくは伸びておるじゃろうし、起きても我には手を出せぬよ。」

「私が危険じゃない…。」

「まぁ大丈夫じゃろう…。」


ユーカがヴェルと話しているうちに、意識を取り戻したピエロは、ふたりに隠れて、何やらコソコソと準備をしていた。
ピエロの足元には、立派な魔法陣が描き出されており、ピエロはその上に立って、ニタニタと嫌な感じのする笑みを浮かべていた。
ユーカとヴェルは、警戒しながら、少しずつピエロとの距離を詰めていく。
それを出迎えるように、奇声をあげながら、ピエロはふたりに向かって叫ぶ。

「キャハーっ!ようやく気付いたようだが、もう遅い!」

なおも続けて、

「イヒヒヒヒヒーっ!僕が、この僕がぁ、キミたち如きにぃ、負けるはずがないじゃないかーっかっかぁあっはぁーっ!」

「おいおいユーカ、お主が殴り飛ばした時に、変なところでもぶつけたのではないかや?」

「本当ね、少し打ち所が悪かったみたいだわ…。」

「僕がぁ、この城でぇ、どんな役職にぃ、就いているかぁ、知らないだろぉぅおう!」

「ピエロじゃないのかや?」

「ちっがぁーうっ!」

「あら…違うみたいよ?」

「僕はなぁ、この城の庭師なんだよっ!」

「ほぅ…庭師だったのじゃな。」

「だから枝切りバサミをメインウェポンにしてたのね。」

「カタチから入るというやつかの?」

「じゃあ庭師としての腕は大したことなさそうね。」

「うるっさぁいっ!僕のぉ、真のチカラにぃ、恐怖でぇその身をぉ、震え上がらせぇっ!」

すると、ピエロの足元の魔法陣が輝きを放ち、使用された事を、ユーカとヴェルに教えてくれた。
魔法陣が輝きを失ったと同時に、ユーカとヴェルを取り囲むようにして、周りに生えていた木や草や花が、意志を持って動き出した。
そして、意志を持った植物たちは、ユーカとヴェルに攻撃を仕掛け始める。

「ケヒヒヒヒーッ!これこそがぁ、僕の真のチカラ!さぁ、震えろ、震えて死ねぇっ!」

「なぁ、ユーカ…これって、どんなオモシロ仕掛けなのじゃ?」

「さぁ?あのピエロが手入れした植物たちは、意のままに操れるとか?」

「ならば、ピエロを倒したらこの植物たちは動きを止めるのかや?」

「分からないけど、そちらの方が手っ取り早いわね。」

「では、我が道をこじ開けるから、ピエロを頼むぞ。」

「分かったわ。ヴェル、気をつけてね。」

「なぁに、大丈夫じゃろ…毒に気をつければじゃが。」

「あら、あなたって毒が効くの?」

「それは分からぬ。なにせ喰らった事がないのでの。」

「そう、じゃあササっと片付けてくるわ。」

「うむ。信じておるぞ。」

ふたりは頷き合った後、ヴェルが集約殲滅の秘法を放ち、ピエロまでの突破口をこじ開ける。
みるみるうちに、道筋は閉ざされて見えなくなるが、その一瞬のうちにユーカは、ヴェルのつくった道を駆け抜け、ピエロの元へとたどり着く。
そして、今度こそピエロの意識を完全に絶つために、先ほどよりも強力な魔力を右手の拳に込めて、一気にピエロの鳩尾へと突き出した。
まさか、この植物たちの包囲を抜けれるとは、露ほどにも思っていなかったピエロは、驚愕の表情を最後に浮かべ、意識を飛ばされた。
ユーカの予想通り、ピエロの意識を飛ばした事により、動きを止めた植物たち。
それらを押し退けて、ヴェルの元まで向かうと、腹部に穴を開け、青い顔で血を流して倒れていた。

「ちょっと!どうしたのよ!」

「うむぅ、少し不覚を取った。まさか、持っていた小枝まで襲いかかってくるとはの…。」

ははは、と自称君の笑い声をあげながら、ゴポッと血を吐いた。

「ちょっと、しっかりなさいよ!」

ユーカはヴェルよりも顔を青くさせ、悲痛な表情をしながら、必死に頭をめぐらせて、ヴェルを助ける方法を考える。

「なぁに、そんな顔をするでない。我は大丈夫じゃから、すぐに追いつくから、先に行ってくりゃれ。」

「何バカな事言ってるのよ!怒るわよっ!」

「もう怒っておるではないか。ほら、早く行かねば、また厄介な敵が、来るぞ…。」

ヒューヒューと苦しそうに呼吸をしながら、ヴェルは必死にユーカへ言葉をかける。

「ちょっと黙ってなさい!ここでじっとしてるのよ!」

「うむ、分かった。少し寒いから、その辺りの植物を燃やしてはくれぬかや?」

「バカね、生木は燃えないのよ。」

「そうか…では忘れてくれ。」

「もうっ、本当にバカね。燃やせないとは言ってないでしょ。」

そう言うと、ユーカはヴェルの周りにある植物を見繕って、魔法で乾かしてから火を灯した。
パチパチと植物が燃えて、弾ける音を背にして、ユーカは足早にその場を後にする。
ユーカの目を見ると、闘志が燃え上がっているのを感じられた。









次回:第28話『潜入』
お楽しみにお待ちください。

9月10日 21時を更新予定にしております。
感想や誤字脱字の指摘などなど
よろしければお願いし申し上げます。



9月9日 14時加筆修正を行いました。
これからも引き続き、よろしくお願い致します。




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