鬼畜ゲーとして有名な世界に転生してしまったのだが~ゲームの知識を活かして、家族や悪役令嬢を守りたい!~

ガクーン

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新しい従者 その2

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 これでも俺は、迷惑をかけてきたつもりだったんだけどな。

 前世……、嘘でも上手くいっていたとは言えない家族関係。
 そんな家庭に生まれてきた俺は家族の愛に飢えていた。
 それが運命のいたずらか、この世界に転生することができ、無償の愛を分け与えてくれたこっちのお母様とお父様には感謝してもしきれない。

 もちろん、今の俺が一番信頼しているのはアルザニクス家の面々だ。
 だが、前世の話を家族にする。つまり、前世の話をお母様とお父様にして、この関係が崩れてしまったらと考えると、この一線は触れなくていいかと自分の心に境界線を引いていた。

 いいんだ。今のままでいい。


 今はまだ前世の事は隠しておき、アルスはこの世界で自分の大切な者達を守っていくと改めて決意を固めたのだった。



 アルスはサラと別れた後、エバンたちが到着したという知らせを受け、エバンの妹の治療をしていると伝えられた、病室へと足を運ぶ。

「やぁ、エバン。妹さんはいるかい?」

 扉を開け、エバンの人影を見つけると、アルスは声をかけた。

「あっ、アルス様! この通り、アイラは治療を受けて寝ている所です。アルス様には感謝してもしきれません……」

 エバンの妹はアイラと言うのか。


 エバンはまた涙を滲ませ、心底安心したように話す。
 エバンの隣には少し汚れてはいるが、綺麗にしたらとても可愛いと分かる少女が、一定のリズムで呼吸をしながらベットで横になっていた。

 多分、薬の効果で寝ているのだろう。

 そう考えたアルスはアイラには触れず、エバンへと視線を移す。

 えっ、エバンってこんな顔してたのか。

 さっきまでは暗がりで、エバンの顔を見ることが出来なかったが、よく見ると、エバンの顔は爽やかな青年といった様子で、かなりイケメンだった。

「それならよかった。これからなんだが、エバンにはこれからやってもらうことがたくさんある。けど、今日の所は体を休ませておくといい。あっ、もちろん衣食住はこちらが受け持つから、安心して妹さんとこの屋敷に住むといいよ」

 アルスはそう言うと、「また明日ね」と声をかけて、その場を後にした。


~アルスの自室~

 アルスはベットへと寝ころび、力を抜きながら目を閉じる。


 今日は本当に色々な事があったな。

 アルスは今日起きた事をざっと頭の中で振り返る。

 それにしても、優秀な仲間をゲット出来て良かった。

 エバンには色々とさせたいことはあるが、大前提として、まずは戦闘スキルを磨いてもらうとしよう。
 目標としては一年以内に来るであろう戦争までには武力を80にはしておきたい。

 だが、エバン一人だけで戦争イベントを乗り越えられるほど甘いイベントではない。
 一人だけ強くても、戦争は一人だけで出来るものではないからな。

 戦争の基本は多VS多。だからといって、エバンクラスを何十人も集めろと言っている訳では無い。そりゃ、優秀な奴を集めた部隊が一番いいに決まっているが、そこまで人材が揃う事なんて滅多にないからな。ただ、部隊を指揮する指揮官は優秀な奴を用意する必要がある。
 
 そうなると、兵は置いといて、要となる戦闘員があと2人は欲しい。

 一人は弓術のステータスが高い者。

 もう一人は統率と魅力のステータスが両方とも高い者だ。

 弓のステータスが高い者は、狙撃者として使う。
 指揮官を狙い撃ちし、打ち取れば兵は動揺し、陣が崩れるし、陽動作戦にも大いに使える。

 統率のステータスが高い者は集団の統率するのに役立つ。

 もちろん、エバンはどれをとっても一流の域なのだが、私の護衛としてエバンは側に置いておきたい。
 そうなると、エバンを抜いて、あと二人は強い奴が必要になる。


「他の町や王都へ行って、ステータスの高い者達をスカウトしてくる必要があるな」

 アルスは一つの答えにたどり着く。

「よしっ! 次は王都にでも行ってみるか!」

 目をバッと開け、ベットから飛び起き、大きな声で自身へと喝を入れる。

 そして椅子に座り、羽ペンと紙を取り出すと、忘れないうちに先ほどの考えを書き出し始めた。
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