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未来編
第22話 いつか
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二人きりになって、急に緊張してきてしまった。その気持ちをごまかそうと、視線を外してタルトを口に運んだ。
と、光国が私の左手に手を乗せた。私は顔を上げて、「何?」と訊いた。光国は、優しく微笑むと、「別に」と言った。私は、最後の一欠片を口にする。終わってしまった。
「今日も、おいしかったね」
私の言葉に、光国が、
「ああ。タルトは他の所でも食べられるけど、ミッコのタルトは、全然違うんだよ。何が違うのかな」
きっとそれは、作り手であるミッコさんを知っているから。彼女の思いや、その優しさを知っているから、特別な味になっているのではないかと思った。でも、それは言わずに、
「そうね。何が違うのかしらね」
「永遠の謎だな」
二人で笑った。
「ねえ、光国。お願いがあるの」
一頻り笑いあった後、私は表情を改めて、話を切り出した。光国は首を少し傾げて、「何?」と言った。私は、彼をじっと見ながら、
「今すぐじゃなくていいんだけど、いつか私のこと、光国のご両親に紹介してほしいの」
「両親……か……」
俯いてしまった。
「光国。私は、いつか光国の家族になりたいと思ってるの。だから、光国のご両親に会いたいの。会って、私のこと、今日みたいに認めてもらいたい。そう思ってるの。やっぱり、それは難しい?」
お母さんの汀子さんへの負の感情が、光国を迷わせていることはわかっている。やはり、会わせてもらえないだろうか。
どれくらい経ってからだったろう。光国が、顔を上げた。その硬い表情に、私はドキッとした。断られる。そう思った。
「わかった。努力してみる。ミコもわかってると思うけど、オレにとって汀子は、最大の敵だ。だから、努力の結果ダメだったとしても、それは許してほしい。
それと、今すぐは無理だな。まず、自分がどうしたいか考えさせてくれ。ちゃんと答えを出すから。頑張るから。だから、時間をくれ。以上、よろしくお願いします」
光国が、軽く頭を下げた。私も頭を下げて、
「ごめんね、光国。でも……」
光国が、少し無理矢理な感じの微笑みを浮べた。
「ミコ。愛してるから。いつか、結婚しよう」
これは、プロポーズだろうか。
私が目を見開いて、口も半開きにしていると、
「いつか、だから。今すぐとか言わないから。オレも、出会ってすぐにわかったんだよ、おまえだって。だから、あと何年でもその日を待つ。おまえを束縛したいんじゃない。ただ、一緒に生きたいだけだから」
言葉にならなくて、私はただ頷いた。いつか本当にその日が来てほしいと、心から願いながら、何度も何度も頷いた。
と、光国が私の左手に手を乗せた。私は顔を上げて、「何?」と訊いた。光国は、優しく微笑むと、「別に」と言った。私は、最後の一欠片を口にする。終わってしまった。
「今日も、おいしかったね」
私の言葉に、光国が、
「ああ。タルトは他の所でも食べられるけど、ミッコのタルトは、全然違うんだよ。何が違うのかな」
きっとそれは、作り手であるミッコさんを知っているから。彼女の思いや、その優しさを知っているから、特別な味になっているのではないかと思った。でも、それは言わずに、
「そうね。何が違うのかしらね」
「永遠の謎だな」
二人で笑った。
「ねえ、光国。お願いがあるの」
一頻り笑いあった後、私は表情を改めて、話を切り出した。光国は首を少し傾げて、「何?」と言った。私は、彼をじっと見ながら、
「今すぐじゃなくていいんだけど、いつか私のこと、光国のご両親に紹介してほしいの」
「両親……か……」
俯いてしまった。
「光国。私は、いつか光国の家族になりたいと思ってるの。だから、光国のご両親に会いたいの。会って、私のこと、今日みたいに認めてもらいたい。そう思ってるの。やっぱり、それは難しい?」
お母さんの汀子さんへの負の感情が、光国を迷わせていることはわかっている。やはり、会わせてもらえないだろうか。
どれくらい経ってからだったろう。光国が、顔を上げた。その硬い表情に、私はドキッとした。断られる。そう思った。
「わかった。努力してみる。ミコもわかってると思うけど、オレにとって汀子は、最大の敵だ。だから、努力の結果ダメだったとしても、それは許してほしい。
それと、今すぐは無理だな。まず、自分がどうしたいか考えさせてくれ。ちゃんと答えを出すから。頑張るから。だから、時間をくれ。以上、よろしくお願いします」
光国が、軽く頭を下げた。私も頭を下げて、
「ごめんね、光国。でも……」
光国が、少し無理矢理な感じの微笑みを浮べた。
「ミコ。愛してるから。いつか、結婚しよう」
これは、プロポーズだろうか。
私が目を見開いて、口も半開きにしていると、
「いつか、だから。今すぐとか言わないから。オレも、出会ってすぐにわかったんだよ、おまえだって。だから、あと何年でもその日を待つ。おまえを束縛したいんじゃない。ただ、一緒に生きたいだけだから」
言葉にならなくて、私はただ頷いた。いつか本当にその日が来てほしいと、心から願いながら、何度も何度も頷いた。
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