最弱種族の最強戦記

平山

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進む日常、来たる不穏 1

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                                 †

「なぁ、神様」

「何?」

「面白い事ないか?暇なんだよなぁ」

そう言うとシーンは欠伸をした。

「まぁまぁ、もうすぐ空気が凍りつくような事が発覚するから」

                                 †

朝礼が終わった後、スズム達は訓練に参加し、食堂で食事をとり、ハラさんに一通り軍基地内の事を教えてもらい、することもなかったので部屋でだらけていた。
するとドアがノックされた。

スズムがドアを開けると、眠たそうな獣人種のような顔つきの細身で長身の男が立っていた。

「どーも、スズムで合ってるか?後、俺の名前はシマダだ、よろしく」

「はい……なんですか?あ、あとよろしくお願いします」

「ハラがお前らの歓迎会をするらしい、ハラの部屋は知ってるか?」

「知りません」

「着いてこい、案内する」

「ちょっと待ってください、仲間呼んでくるんで」

スズムは皆がいる部屋の真ん中に行き、「歓迎会だって早く行こう!」と声をかけ四人揃ってシマダの前に立った。

「皆来たな、着いてこい」

有無を言わせない用な言い方が鼻につくが、根は優しい人なのだろう。
じゃなきゃ案内してくれないだろう。

数分階段をおりたり、曲がったりを繰り返していると重厚感溢れる扉の前に着いた。「ここが王都軍最高戦闘部隊長ハラの部屋だ」といわれたが幹部の部屋にしてはあまり他の兵士の部屋と見た目は変わらない。

「外はこんなんだけど、中はスゲーぞ」
シマダさん、俺らの心読んでない?
「俺の潜在能力『我前嘘無ノージョーク』だ。心が読めると相手の戦術がわかるから戦いやすい、あと、俺の前で嘘つけると思うなよ」
シマダさんがハラさんの部屋のドアを開けながら言ってきた、潜在能力って怖い。自分も持ってるけど。

スズム達は部屋に入った瞬間思わず声が出た。

レンガ調の壁に暖炉、ガラスのおしゃれなテーブルにはサラダやサンドウィッチやクッキーなど、沢山の食べ物が置いてある。その奥にはハラさんの仕事机があり、ハラさんが資料に目を落としている。
大きな観葉植物の下には沢山の包装され、ラッピングした箱がおいてある。

「おい、ハラ、スズム達連れてきたぞ」

ハラさんは目を落としていた、資料を引き出しに直しこちらを見て「もうすぐで他の人が来るまでそこらのイスに座って待っててください」と笑顔で歓迎してくれた。


数分経って、ソファーで座っていたスズム達が眠りこけている頃、扉が開くと、3人、人が入ってきた。

「よぉ、ハラ、スズム一行はこのソファーで寝てる子供たちか?」

「こんにちはニイヤさん、そうです、皆まだ幼いですよね」

「ハラは昔からそんな感じだもんねぇ」

「ハルさんも昔から美人じゃないですか」

「スズムやっぱり、お世辞うまいな」

「お世辞じゃないですよ、そう言うヒラタさんもうまいじゃないですか狩人時代も何人もの女性をお世……」

「その話はするなぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」

「うわぁぁぁあ!!」

ヒラタの悲鳴でスズムが目を覚まし、スズムの悲鳴でミオ、ユウキ、チトセが目を覚ました。

その後、大きな笑が起こり、スズムとヒラタが頬を赤くした。
笑いが落ち着いた後、スズム達が自己紹介をし、
ハラさんが一応もう一度と前置きし、
「この筋肉ムキムキの奴がニイヤさんでこの美人がハルさんでチャラそうなのがヒラタさんです……後、スズムさんに質問なんですが、女性ですか?」

「え?」

「いや、あの、声も高めですし、身長が男性にしては低いし、細身ですし、でも喋り方が男性のような感じですし」

するとニイヤさんが
「それだけで決めつけるのは良くないぜ、捨て身でヨシズミを倒したんだろ?男でもそんな勇気ないぜ?」

「あの……お、俺、喋り方こんなんですけど、女ですよ?」

ハラの部屋の空気が凍りついた。
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